読書のすすめ『想う十三夜の月に』 | 魅音ー 激動のはざまで

    ツキがないと 月を見上げれば 十三夜

     

    我が苦労は ただ風の前の塵に同じ

     

    ああ 君の声が聞こえる 天空の闇を照らし

     

    わたしに会うために 生まれなさい
    川面に映るおぼろ気な記憶をたどり
    優しさに溺れるのです
    ただよう月光にひかれ  もいちど至高の魂を喚び覚ますのです

    蒼い影の向こうに ほら 笑顔が
    それでも時のめまいに ふるえる指先
    あこがれは うたかたの夢

    抱きしめてた しがらみを解き放ちなさい

    そう 季節はめぐりめぐる

    新たな希望 あでやかな姿で

     

     

    そうか・・出逢いだけは裏切らないものな

     

    今まぶた閉じれば 己が起源は虚しかろ

    月のしずくに 遙かなる吐息を感じる 

     

    永遠(とわ)の安らぎを求め 気づく風の鼓動

    いいなあ 流れゆく時のはざまで 君と出逢えたこと

     

     

    わたしに会うために 生まれなさい

    赤の放射は ネレイドの願いとなる

    人の世の憂いを しっぽり濡らして

    突然花茎は伸びる その紅色を見なさい

    ほら 浮かぶ月が 鏡となりて 
    咲き誇りもまた 移りにけりな
    悔しいほどに人の心を 深紅に染めゆく

     



     

     

    そっと「恋しい…」と詠む今宵十三夜
     

    喜びも悲しみも この月が 月こそが
     

    やさしく さりげなく 潤してゆく

     

     

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