熊本県庁の石頭に『くまモン』(の記述・イラスト)使用不可を言い渡され、この作品の存在が無意味にさせられました。

その部分を、本日、掲載致します。最後までお読みいただけると幸いに存じます。

 

 

■みんな貴方のことを忘れない■

 

  小惑星ボンヌが地球に迫り、熊本市に衝突するまで、あと四十時間に迫った。頼りのJAXAの軌道修正用追撃ロケットは、アンドロメダ星人によって破壊されてしまった。さらに、期待された四人の偉人たちの軌道修正作業も、偉人たちが謎の消滅を遂げてしまい、儚き夢と散った。唯一、偉人たちが残してくれたUFOが在るのみである。されば、誰かがUFOを操縦し、小惑星ボンヌに追突して、軌道を修正するしかない。危険な任務を遂行する責務は『ユートピア熊本』のメンバーに託された。

だが・・・若菜、智恵美、優樹、拓也は、命を捨てて小惑星に体当たりする勇気を持てずにいた。

「自らいのちを投げだして、人々を救えるのか・・・ああ、出来ない、死ぬのは恐い・・・」

「太平洋戦争で華々しく散った、神風特攻隊の若者たちの勇気が信じられないよ」

「ああ、こんなに自分が弱虫だなんて・・・」

「でも、手をこまねいてばかり居てもしょうがない・・・おお、神さま・・・」

「奇跡よ、おお、奇跡よ起こってくれ。この熊本をお救いくだされ」

 小惑星ボンヌ熊本衝突の正式報道が、熊本市役所の災害対策課から発令された。

「いよいよ、これで、熊本も終わりか・・・」
小惑星衝突を知らされた市民は一斉に逃げ出した。限界状況。命の存続を考えて、他人のことを考えることは出来ない。

避難を急ぐあまり多発する交通事故。炎上した車は多くの犠牲者を出す結果となってしまった。

さらには、避難時のいがみ合い、喧嘩が起きる。

どさくさまぎれの、強盗や強姦・・・

ああ、哀しや、人間というものは。優れた知性と感受性を持つ生き物であるはずなのに・・・

一つしか無いいのち。何とか助かろう、生き延びようとする。大災害を免れようと自分や家族のことしか考えきれない。

ああ、晩秋の空のため息ばかりが、静かに舞い降りる。

核シェルターに逃げ込んだ市民。一方で、多くの市民は、逃げることに疲れ果て、生きる気力を無くしていった。
 若菜、智恵美、優樹、拓也の四人は、車内で眠ろうとするが、なかなか寝付けない。母たちを見ると、疲労の限界が近づいているように感じられる。焦りばかりが先立つ。いらいらと脱力感が交差するお互いの脳内。死に直面すると、人間はこれ程までに混乱し、哀しくなるものなかのか・・・若菜は、突然立ち上がった。
「どうせ死ぬ。どうせ死ぬなら、やってやる。もうこうなれば、私がUFOに乗り、小惑星にぶつかってきてやる」
若菜はいきなりUFOに向かって走り出した。
「やめろ。おい、落ち着くんだ、若菜」
優樹が走って追いかけた。若菜に追いつき、説得した。
「ねえ、優樹君、優樹君はこのまま何もしないで、平気なの。目の前に一つの解決策が置いてあるのなら、それを生かさないって、愚かよね。行こう。やってみるだけ、やってみようよ」
真剣な眼差しで言い切る若菜。
「本気なのか、若菜。UFOで飛び立って宇宙空間に出て、小惑星ボンヌに体当たりできるのか」
優樹は若菜を抱き寄せ、彼女に問うた。
「うん。私、そんなに臆病じゃない。元々我が儘で、幼い頃から農業をやって来た野生児だもの。ユートピア熊本の代表者として、このまま何もしない訳にはいかない」
「ああ、そうだな。じっと時間を持ち、手をこまねいているより、行動した方がましだ。俺も行くよ。死ぬときは若菜と一緒に死にたい」
「ゆうきくん・・・」
二人はしっかりとお互いの軀を抱きしめ、その決意の程を感じ取った。
「さあ、行こう」
そう言うと、二人は、眩い光を放つUFOに近づいていった。幸い、ドアは開いたままになっている。階段を登り、内部へと入っていった。
「追いついた。俺たちも一緒に行くぜ」
拓也と智恵美も入ってきた。UFO内部は、様々なランプが点灯し、様々な部屋があるようだ。倉庫のような道具を置いてある部屋。机・椅子がセットしてあるのは、会議室だろうか。そして、廊下の周りにはたくさんの観測用望遠鏡が置いてある。
「おそらく、地下に動力室があるはずだ。そして、この階の何処かに操縦室があるはずだが・・・」
拓也が冷静に言った。
「ああ、皆で手分けして、操縦室を探すんだ」
優樹のその一言で、四人は操縦室を手分けして探した。そうして、
「あ、あった。此処じゃない。此処よ、操縦室は」
智恵美が大声で皆に知らせた。
「おお、此処だ。色々な機械があり、スイッチが並んでいる。スクリーンみたいな白膜がある。間違いない」
「よし、俺が、動力スイッチを見事探し出すから、待ってろ」
優樹が機械のスイッチを適当にいじくり回した。すると、
「キュユユーーン」
変な音がして、点灯していたランプはすべて消え、動力は停止したようである。
「しまった・・・どれが、出力スイッチなのか」
優樹の表情に焦りが見え出した。
「こんな時こそ、冷静に対処しなくっちゃ」
拓也が優樹の側で落ち着いて、いっぱいあるスイッチをひとつずつ確かめていく。
その時である。
「やあ、ユートピア熊本の皆さん、頑張っていますね」
と操縦室に入ってきた黒くて大きな身体が見えた。
「あっ」
智恵美は声を発した。
「くまモンだ。ああ、くまモン。どうして此処に・・・」
若菜が尋ねると、
「皆さんは、本当にすばらしいモン。その心の美しさに感動したから、ぼくがやるモン」

「えええーっ」
「ぼくが、宇宙に出て、小惑星の軌道を変えてくるモン。だから、皆さんは、UFOを降りて下さい」
くまモンが笑顔で言うではないか。
「そんな・・・。くまモン一人に任せるなんてできないよ。俺たちが行くから、くまモンは地上に居て」
優樹がくまモンに言った。
「皆さんの熊本の危機を救おうという気持ち、そして、勇気ある行動。ぼく、とっても感動したんだ。それで十分さ。ぼくはこのUFOの操縦の仕方を知っている。以前、熊本大使として、アンドロメダ星人とも交流があってね。その時、UFOの操縦の仕方を教わったんだ。だから、任せて欲しいモン」
「そんな・・・くまモン、分かっているんでしょ。小惑星にこのUFOで体当たりしたら、UFOは爆破するかも知れないのよ。そうなったら
、貴方のいのちは・・・」
若菜がくまモンに説教ぎみに言うた。
「それは、気にしないでね。ぼくは、ゆるキャラだから、平気だモン。さあ、皆、ありがとう。此処はぼくに任せて、UFOから出て」
くまモンがそう言うと、不思議な光が四人を包んだ。

四人の若者の身体は、UFOの開いたドアから押し出され、地面に降ろされてしまった。
「ああ、くまモン。そんな・・・貴方が居なくなったら、この熊本はどうなるの」
「あああ、神様。どうか、くまモンの命をお助け下さい」
若菜と智恵美は手を合わせ、目を閉じ、森羅万象、世界中のあらゆる神に祈りを込め、深く頭を垂れた。
「では、皆さん、ぼく、行ってきます。必ず、小惑星の軌道を変えてみせるから、心配しないで居てね」
そうくまモンが言ったかと思うと、UFOはヒューーンと音を立て、木の葉が天空向けて舞うように飛び立って、すぐに見えなくなってしまった。
くまモンが、UFOに乗り、小惑星ボンヌに体当たりすることは、ニュースで報道され、世界中の人が驚き、固唾をのんで見守ることとなった。
「ああ、くまモン、無理はしないでね」
「くまモンのことだからきっと成功させて無事帰ってくるでしょう」
「そうだ、そうだ。くまモンは、きっとまた熊本に帰ってくるさ」
とくまモンに大きな期待を寄せつつも、くまモンの無事を祈る世界中の人々が、口々にそう言った。
だが、三十分程経った時だ。
バーーーン・・・ドガーーーン
もくもくもく・・・南の空に大きな爆発雲が突如現れた。
「あっ、あああーっ・・・くまモンが、くまモンが・・・」
「きっとくまモンが乗ったUFOが、小惑星に衝突した爆発sたんだわ。ああ、あああ・・・・」
若菜と智恵美は、泣きながら大空に呼びかけた。何度も何度も叫んだ。
その時、パチパチパチパチ・・・と天空で大きな音がした。
見上げると、空いっぱいに、くまモンの顔が、笑顔が現れた。
てんてんと てんてんと
この笑顔は、何を・・・

 

ああ、くまモン・・・
可愛いらしい機敏でやんちゃな動きがすてきなくまモン
ほんわり優しく幸せな気持ちにしてくれるくまモンなれる
ゆるさに癒やされ喜怒哀楽を感じられるくまモン
コミカルで突拍子もないパフォーマンス
小さな手足を大きく動かす仕草がほんとに可愛いくまモン
ああ われらがヒーロー くまモン
いつまでも みんな 貴方のことは忘れません。
天国で、熊本のことを思い 世界中に笑顔を振りまいてください。
あああ、くまモン。

世界中の誰もが、彼の乗ったUFOが小惑星に衝突したことを悟った。だが、彼は、無事なのだろうか・・・
小惑星ボンヌの軌道が逸れたことが、JAXAとNASAの観測で確かめられた。恐れられた熊本市への衝突は回避されたのである。
くまモンの御陰で、熊本、いや世界の安全と安心は守られた。

くまモン あなたを想った
いつもぼくらと一緒に居てくれた 
楽しみが沸かない人へ 愛嬌を振るあなた
優しさを忘れた人へ 夢を届けるあなた
笑顔のない人へ 可愛いさを魅せつけるあなた
でももう逢えない ひとり またひとり 荊の道を歩むのか
くまモン ああ 勇気と希望 自信と誇り
くまモン ああ 空も谷も海も山も 泣き出しそうだよ
ぼくらは 渓谷の清らかな嘆きを抱えて 
みどり萌ゆる果てしない山々の嗚咽を受け止めて
逞しく ただ強く 此処で頑張って生きていくんだ
ただ残るのは 青い空 
それでも生まれ出づる 温かい生命(いのち)のほとばしり
いつまでもいつまでも永遠にぼくらの心に生き続けるんだ

ありがとう くまモン

 

お読みの通り、

まだまだ表現はこれからで、内容も不足。

書き直し・推敲作業をしようと思った矢先、

熊本県のくまモン使用許可申請をしようと、担当部署に電話したところ、

「小説でのくまモンの使用は出来ません」

との冷たい返事。

公式ホームページには『くまモンとくまもとサプライズロゴで熊本を盛り上げろ!』

と書いている。まさしく『JUNKユートピアKUMAMOTO』は熊本のことを

多くの人に知って貰い楽しんで頂こうと書いている作品だ。

それなのに、いろいろやかましいルールを決め、手続きを恐ろしく困難にして、

くまモンを使わせようとしない。なぜ・・・

理由その1=ストーリーを伴う利用をするな。

理由その2=他のキャラと交友のあるような表現はするな。

理由その3=かってにくまモンのイラストを加工変更はするな。

えらそうに、いちゃもんつけやがって、何様のつもりだ。

きっとくまモンが泣いている。

おい、コラ、県の担当の一番上の奴、出でこい!!決闘だ!!!