娘が、

はじめて、


「パパに会いたい」


小さな声で言ったときの話です。





そんな娘の言葉に、

私は少し考え、
「あのね…」

そう言いかけました。

でも娘は私の話を遮るように、

「美桜(娘の名前)はね、美桜はね、
ママが一番好きなの」

今度は、
とても大きな声で言いました。



私はまた、
「あのね…」
説明しようとしますが、

娘はまた私の話を遮り、

「美桜はね、美桜はね、
ママが一番好きなの。一番好き……」



「美桜はね、美桜はね、ママが一番好き」

「美桜はね、美桜はね、ママが一番好き」

「美桜はね、美桜はね、ママが一番好き」



「一番好き」
「一番好き」

 

「でもね………」





何回言ったでしょう。

私が一番好きだと。



泣きそうになりました。私。



何度も何度も私が一番好きだと言い、


何度も言いかけようとした娘。



「おばあちゃんやおじいちゃんや…
……パパや………みんないると嬉しい…」



パパがいると嬉しい。




娘は4歳になったばかり。

そんな小さな子が、

必死に私を気づかい、

そして必死に伝えようとしました。




私は…心が押しつぶされそうでした。






 


離婚して3年が過ぎました。


あのときの私の決断は、
間違っていたのでしょうか。


離婚したことに後悔はなく、
離婚を選んだ私は、
私だけで娘を幸せにすると決めました。

娘のためにも、
2度とあの人に会う気もありません。

でもそれは、私だけの独りよがりで、

本当に正しいことだったのでしょうか。




この先、5年後10年後……
父親のいない生活は、娘にとってどう感じ、成長するのか。

父親がいることで得られる何かを、娘にはないことが、どれだけ影響があるのか。

父親がいないことが娘にとって、どれだけ大きいことなのか。


どれだけ悲しいことなのか…。


私はひたすら考え、悩みました。
離婚直前もかなり悩み決断したのですが、
今回はそれ以上に悩んだと思います。




でも何度考えても、

分かりませんでした。


未来が見えるわけでもなく、

娘が悲しんでることは解るけれど、

心の痛さは、痛いだろうと思えても、

私の心にその痛さを同じ分だけ感じらるわけではなく。

どうしても分かりませんでした。



ただ私は、あたりまえだと言われる、普通の家庭を築けなかった自分自身を責めました。

過去を変えることはできず。
父親がいないことが事実。

それが事実。





ごめん。美桜。

ママのせいやね。

ごめんね。。。






どうか、あの子にとって、

明るい未来になりますように。

幸せに包まれますように。



祈りました。




私はただ、

祈り頑張ることしかできませんでした。