営業マンがウチに来ることになった。
いよいよ話を聞いてもらえるのに、家に人を招いて話をするという経験がない。
以前は親戚がお線香を上げに行きたいと言われて家に上げたが、コ■ナでお互い様にしましょうとなって会うことはなくなった。
親しくなった女性はなぜか数年たつと遠方に行ってしまう。
ダンナさんの都合や仕事の都合でアメリカ、イタリア、中国・・・
おもてなしのド素人なのだ。
一番の問題は営業マンとどこで話をするか。
テーブルはダイニングにしかない。しかも二人掛け。
差し向かいで話すには距離が近すぎる。
先方はパソコンやタブレットを使うだろうし、カタログや図面を広げるとなると、少なくとも倍の大きさは必要。
お盆の時に、供物を置くために買った折り畳み式のテーブルを出してみた。
高さが1センチ程度低いがほぼ同じ大きさ。向い合せにしてギリギリイスを置けた。
キッチンに極力モノを置かないようにして準備オッケー。
休日のラフなスタイルから仕事着に着替えて住宅展示場に向かった。
歩いて10分のところにハウスメーカーの住宅展示場がある。
営業マンの提案で、まずそこで「今時の家」を見学することになった。
実際に見て、触れて、完成形をイメージしてほしいとのこと。
現地に到着すると、家の恰好をしているが玄関ドアが見当たらない。
大きな窓からキッチンやソファーが見えた。とにかく広い。
奥に進むと自動ドアがあった。長身の男性が見えた。
「●●様ですか？どうぞお入りください」
勧められたスリッパに履き替え、中に入った。
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