ヤッホーと常識 | MIO~リスペクトワールド

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音楽人MIOの部屋です。音と言葉をやってます。ブログでは主に詩をアップする人です。

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今日は礼人の友達が
我が家に泊まりに来ている。

お風呂をわかして二人を浴槽に放り込んだ後、
夕飯の支度をしていると
開けた窓の網戸越しに、
向かいのマンションのベランダから
まだ小さい子供が誰に言うともなく
可愛い声で「ヤッホー!」と言っていた。

何度も何度も繰り返すのが可愛くて、
アタシは「ヤッホー!!」と小さめの声で返してみた。

子供は驚いたのか
しばらく黙ってから、
また「ヤッホー!」と言って来た。

アタシも「ヤッホー」と返した。


何度かやり取りが続くと、
声がしなくなった。

見ると、
向かいのベランダの窓が閉められていた。

しばらくしてカーテンも閉められ、
子供の声は完全に消えた。





アタシは夕飯の支度を続けた。


胸を蚊に刺された礼人が裸のままリビングに出て来た。

「今日の夕飯はなぁに?」

「んー、パスタにしようと思って。
ひき肉も入れたよ。」

「ほんと?
きっと◯◯君も喜ぶよ。」

「うん。そうだといいな。」

礼人は
普段飲まない牛乳を飲んで
また笑顔で浴室へ走って行った。


ひき肉を投入した鍋を混ぜながら
妙な気持ちになった。



しばらくすると小さな声でまた「ヤッホー」と聴こえて来た。

お父さんらしき男性に抱かれた子供が、
別の小さな窓から
またアタシに呼びかけていた。

アタシはまた「ヤッホー。」と言った。
男性は軽く会釈をしてくれた。

アタシも会釈を返した。







世の中には正しいも間違いも、
良いも悪いも、在る。


世の中には正しいも間違いも
良いも悪いも、無い。



アタシは
今日、息子の部屋で可愛い寝息を立てるだろう
この友達の母親が、
慈善活動と言う名目で家を空け、
週の半分を男に費やしていることを知っている。

子供は良いことをしているママを困らせたくないからと、
淋しいけれど無理は言わないと言った。


横顔がとても可愛い。
明日起きたら、
おいしい朝ご飯を作ってあげたい。

一緒に笑いながらご飯を食べたい。
そう思った。


そう思ったんだ。



世の中には良いも悪いもない。


世の中には
良いと悪いは

無いのだ。


それが常識だと
思えば良いのだ。




さて、

そろそろ
パスタがゆであがる時間かな。











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