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昨年暮れから解析を依頼していました研究所から最終版の鉱物の成分解析結果が送られてきました。

まず最初にこの場を借りまして、今回の解析を担当してくださった蒜山地質年代学研究所の博士の皆様方及び御協力大学の関係者の皆様方に心から感謝の気持ちをお伝え申し上げます。
http://www.geohiruzen.co.jp/index.html
(今回は研究機関のお名前を開示しても良いと言う許可を頂きました)

以前、その中間報告をブログ「0005-2 成分分析結果 Parts @Mar 21 2007」に掲載致しましたが、今回の報告書は別のサンプル片「試料#27」を用いて同様の解析を行って頂いた結果です。
僭越ながら、博士に代わり私の方にてその解析手順をご紹介致します。

このサンプルは当初25Kg有った大きな石を30片に切断した中の試料#27です。
解析過程としてはまず試料#27の表面を研磨しその中から顕著な特徴が見られる一部を切り取り薄片を作り顕微鏡写真撮影し、さらに近辺の一部を微粉末化しX線回折分析(XRD)を行う、というような手順で進んでいます。
Photo-1 ~ Photo-4 に各部分の偏光顕微鏡写真(オープンニコル及びクロスニコル)と反射顕微鏡写真を掲載いたします。
また、同定のための成分分析場所はPosition-1 ~ Position-5で示された部分が使われました。

以下にそれらの解析から明確になった重要な項目を抜き出してみます。
(ちなみに前回の「MG0046」の解析にて
--- 「顕微鏡写真では生物起源と見られる粒子(生物遺骸など)は特に認められなかった」---
と言う結果が出ている事を追記しておきます)

・コンクリーション状の岩石試料は、その切断面全体で伸長したやや連続性の悪い同心円構造を持つ。同心円構造の一部は巨視的にも微視的にも層状構造となる。
層状構造はそれぞれが比較的類似した要素で構成されるが、顕微鏡観察によればそれぞれの層に特徴的に発達した鉱物が認められる。
・これらの鉱物は堆積作用、あるいは特定方向への応力下での変性作用で形成されたものではなく、それぞれがその場で自由に結晶化した可能性が高い。 
粘土鉱物はその板状構造が層状構造と平行しており、炭酸塩鉱物が層状に成長していく過程で試料中に取り込まれたものと考えられる。
これらの鉱物が形成する組織から試料「27」は堆積岩中で形成されたコンクリーション(ノジュール)である可能性が高い。

・構成要素
試料は大きく分けて炭酸塩鉱物部分、黄鉄鉱部分、白鉄鉱部分、鉱物脈部分からなる。 
それぞれの量比はおよそ60: 20: 15: 5 である。
炭酸塩鉱物部分、黄鉄鉱部分、白鉄鉱部分はそれぞれ層状に重なり合う(ただし黄鉄鉱の一部は資料中で放射状集合としても分布する)。鉱物脈は不規則に分布し定向性は認められない。
1) 炭酸塩鉱物部分
細粒鉱物とレンズ状に引き延ばされたやや粗粒の礫上部分からなる
細粒粒子はそのほとんどが炭酸塩鉱物であり粒径は直径4ミクロン程度である。
礫状部分(粒径平均約 0.02mm x 0.10mm)は隠微晶質であるが色調、屈折率及び複屈折から炭酸塩鉱物の集合体と考えられる。
 粘土鉱物 (炭酸塩鉱物部分の不純物として)
  粒径は最大で約 0.005mm x 0.018mm である。
 黄鉄鉱 (炭酸塩鉱物部分の不純物として)
  粒径は平均で約 0.008mm x 0.010mm である。
2) 黄鉄鉱部分
黄鉄鉱は長柱状~針状の結晶系を呈し、またこれらの結晶が樹枝状(急速な成長や過飽和溶液からの成長に広く見られる結晶の形態)の組織を形成する。 結晶に定向性は認められない。
黄鉄鉱の単結晶は粒径平均約 0.03mm x 0.45mm で、集合体は平均約 0.7mm x 2.3mmである。
3) 白鉄鉱部分
白鉄鉱は半自形の短柱状で粒径は平均で約 0.030mm x 0.063mmである。粒径のばらつきは小さい。
4) 鉱物脈部分
鉱物脈部分はそのほとんどが方解石様の炭酸塩鉱物からなる。鉱物脈部分の炭酸塩鉱物は粒径が「炭酸塩鉱物部分」と比較して大きく平均約 0.08mm x 0.11mmである。 また透明度が高く色はほぼ無色である。

以上がレポートの要約です。