FXに関心がある方なら、現在日本国内で話題になっているGemforexについて
知らない方はいないと思います。
そこで今回は最近TwitterなどSNSで話題になっている
Gemforexについて話してみようと思います。

※この内容はあくまでも私の主観的な考えです。

 

私は経済に関心が高く普段からFX取引もしており、
国内ブローカーはもちろん海外ブローカーも使用しています。

Gemforexは海外ブローカーを利用する日本人の中では、
「MADE IN JAPANというタイトルで日本人が作った海外ブローカー」という理由で多くのファンを持つブローカーでした。

 

積極的なプロモーションとマーケティングで、海外ブローカーの中でもかなり
高い位置にあるFXブローカーだと思っていました。
 

そんなGemforexが突然、しばらくサービス停止をすると発表しました。

Gemforexは1,000,000,000ドルの価格(1387億4465万円)を
公表しましたが、これは自社の価値が1,000,000,000ドルであると
主張したことと変わらないと思います。

果たしてGemforexは1,000,000,000ドルの価値があるのでしょうか?

 

1387億4465万円に相当する時価総額を持つ日本企業には、

どのようなところがあるのか見てみましょう。

 

 

時価総額ランキングの600~610位圏内の企業がGemforexの主張する価格と

同等の企業であることがわかります。

上記の企業の中には皆さんが知っている企業もあれば、聞いたこともない企業もあるかもしれません。

それでは、Gemforexと類似業種(証券、商品先物取引業)の企業を

確認してみましょう。

 

 

1387億4465万円という価格は、

GMOフィナンシャルホールディングス(979億8300万円)をはるかに上回る価格です。

Gemforexは自社が証券、商品先物取引業種で6~7位程度の企業と

同じ価値を持っていると判断したようです。

1387億4465万円で買ってくれるところが仮にあるとすれば、

本当にその価格の価値を持つ企業になりますが・・どうでしょうか。

 

まずM&Aの交渉価格は、最初に財務アドバイザーを決めておく場合がほとんどです。1千億円以上のM&Aであれば、当然ディールの中でもビッグディールとして扱われ、このような価格交渉はグローバルでも有名なPE(PRIVATE EQUITY)の

ブラックストーンやCVC程度の会社が行うディールになるでしょう。

どのようなPEでもその程度の価格で買収をするというのは大きな取引だからです。

特に金融に関してはより慎重になります。

 

以前、ネッテラーとスクリルが合併した後、M&A価格39億ドル(5416億9201万円)ほどで取引されたことがあります。

 

この時、コンソーシアムとして参加した会社がブラックストーン(米国最大のPE)、CVC(欧州最大のPE)の2社でした。これらの企業も半々でこのようなディールを

行います。これをクラブディールと呼びますが、この時、Forex、ペイメント市場では最も大きなディールとして行われたという記事もあり、かなり話題になりました。

 

 

ネッテラーとスクリルはとても有名な会社なので、どんな会社かは

よく知らなくても、名前くらいは聞いたことがある人が多いのではないでしょうか。

この2社が合わせてGemforexの4倍の価格ということになりますが..... 

(2社だから1社あたり20億ドル?)

 

Gemforexが提示した価格で売れるかは疑問ですが、

あくまでも交渉提示金額なので…. (減る可能性も有)

一体どんな基準で彼らはこのような価格を主張するのか? 

通常M&A ディールをする時は下記のような状況が考慮されます。

 

1.     現在の売上高と営業利益そして純利益

2.     実際の顧客数

3.     将来の成長性

 

 

1. 現在の売上高と営業利益そして純利益

Gemforexは、1番について公開したこともなく、

きちんとした会計資料もないようです。一体本社がどこなのか、代表が誰なのかも

分からない不透明な会社で、財務諸表もないだけでなく、決済代行会社が50億円を

持ち逃げ、 10億円は別の決済代行会社が未払いであると主張していますが、

それに対する資料も証拠もないので信頼性に欠ける主張であると思います。

(自分のお金が他人の財布に50億円、10億円ある状態で放置していた..........?)

 

個人的な意見ですが、どれほど信頼できる会社であれば、このような大金を

そのままにしておけるのでしょうか (自分だったらそんなことはできないと思います)

仮にそういうこともあるとしましょう。日本警察に被害届を出したそうですが、

そのくらいの金額ならニュースにも出てもおかしくないのではないでしょうか。

 

でも..... 私のサーチ不足でしょうか。このようなニュースは一切見つかりません。

 

2. 実際の顧客数

GemforexはXM、Land-FX、TITANとは異なり、ライセンスもきちんと

保有していない業者です。 特にヨーロッパやグローバルで商売をするには、

当然イギリスやオーストラリアのライセンスが必要です。

イギリスやオーストラリアのライセンスでも持っていれば、

購入しようとする業者が判断する際の加算点になりそうですが、

Gemforexはメジャーライセンスがないと聞いています。

 

知っている人もいるかもしれませんが、以前この会社はアフィリエイトマーケティングとIBをしていた会社であり、ブローカーを広報していた会社でした。 

グローバルに何かをしているように見えますが、実際、ほとんどの顧客は日本の顧客であり、当然、日本の顧客だけを対象にしていると、顧客数の制限もあるでしょう。ライセンスもきちんと保有しておらず、ほぼ日本だけで営業していたブローカーで

ありグローバル企業とは言えないでしょう。

(海外の友人に聞いてみると....XM, FxPro, Exness, Land-FX, IronFXなどは

知っているけれど、Gemforexは聞いたことがないといいます)

 

さらに認知度の面から考えてみましょう。

以前、オーストラリアでペッパーストーンが上場しようとしたことがあるのですが、その時の目標IPO公募価格が800億円と公表されました。ペッパーストーンは信頼性、安定性もあり世界的に有名だった業者でした。このような認知度の高い業者ですら800億円なのに、外国人が全く聞いたこともないGemforexが1387億円というのは認知度の面でもおかしいと思います。

 

3.将来の成長性

現在Gemforexはサービスを停止し、すべての出金も停止した状態であり、

ユーザーはGemforexからの情報アップデートを待つことしかできない状況です。

ファンが多かった海外FXブローカーだったとしても....。

 

MADE IN JAPANというタイトルを掲げて運営していた海外FXブローカーに

裏切られた気持ちは、他の海外FXブローカーに比べて数倍、

いや数十倍強いかもしれません。

 

ここからはGemforexが公開した今回の理由の一つである 「集団による第三者取引と口座転売」この部分の内容について、話してみようと思います。

 

以前、とある相談サイトでこんな投稿を目にしました。「軽い気持ちで闇バイトをしてしまった、個人情報を売ってしまったが、後々犯罪に繋がるのではないかと不安

ボーナスを提供する会社を中心に、闇バイトグループがアービュージング取引を

行ったようです。

 

私が確認した限りでは、GemforexだけでなくHASTFOREX、FXGT、Land-FX、Bigbossなど複数の会社がターゲットになったようです。

 

複数の海外FXブローカーで同時期に出金遅延の問題があったことから、

集団による第三者取引と口座転売の内容は事実である可能性が高いと思います。

 

これまで何度もHPで告知を行ってきたGemforexですが、その中で、競合会社である他社の政策をまったく同じように案内している部分がありました。

一つはボーナスを提供する目的がマージン率を高めるためという内容、

もう一つは出金遅延によるお詫びとして出金申請額に対し年利5%を付与する

という内容です。

ボーナス提供目的に関してはどのブローカーであったか曖昧ですが、

5%年利に関しては間違いなくLand-FXが先に案内を始めた内容です。

 (実は私もLand-FXで出金申請をしていました。遅延に対してクレームを

入れたところ、年利5%をくれるというので我慢して待っていたら、出金されてから

残高に5%付与されました。)

 

上記の内容を見て皆さんはどう思いますか?

本当にM&Aを準備しているのか、

飛んだのか、

M&Aを偽装した新しいブローカーの誕生なのか

今はただ待つことしかできませんが....8月になったら明らかになるでしょう。

 

これまで日本で人気を得ていたブローカーなので、残念な気持ちが正直大きいです。

M&A直前までファンディングを進めた点、NFT(GEM Membership Pass)

販売開始した点、入金100%ボーナス開催頻度を増やした点など。

このような部分を見ると、Gemforexも出金遅延解決のために努力をしたのでは

ないかと思うのです。

ユーザーの立場から見ると、Gemforexは加害者であることは間違いないですが、

一方的に加害者だったのでしょうか....。

実際にはGemforexも集団による第三者取引と口座転売の被害者の立場だった

かもしれません.。

 

いつからM&Aを考え始めたのかは分かりませんが、私が感じるには3月までは

彼らも問題解決のために努力していたのではないかと思います。

 

ある瞬間から正常な運営が不可能になったようで、Gemforexが告知していた内容では現在の状況に至るまでには数多くの理由があったようです。
(自分のお金を出金してくれないから消費者は当然不安に震えるしかなく、

それに対して措置を取ったはずです。決済代行会社に連絡したり、

弁護士を雇ったり、もどかしい気持ちでSNSに投稿したり....)

 

このような悪循環が経営難を招いたのではないか....。 

ある面でユーザーとしてのもどかしさを表出したのがかえってブーメランのように

ユーザーに戻ってきたケースのように思います。
(もちろん何もせずに待っていたユーザーもたくさんいるとは思いますが)

Gemforexがもう少し行動で信頼を与えていたら、ユーザーももっと静観して

待ってくれたのではないかと思います。


サービス側のお知らせが、ある意味で悪い方向に作用した部分もあるように見えたGemforex、このようなことが二度と起きてはならないが、

再び起こらないとは限らないのも事実なのです。

 

インターネット上に海外FXブローカーは詐欺という書き込みが増加している中で、

頂点を迎えてしまった感じを与えるGemforexの突然のサービス停止、

今後どのような結果になるかは待ってみないとわかりませんが、国内FXブローカーと海外FXブローカーはそれぞれ長所と短所があり、ある程度サービス提供の実績が

あるところならもう少し信じて待ってみるのも方法ではないかと思います。

 

*使用する海外FXブローカー
XM、Land-FX、TITAN、Axioryなどを利用中であり、利用中のブローカーは現在出金に問題はないように見える。