明智光秀6話目①



*ネタバレしていますので、ご注意ください*



怪しい人物がいよいよ登場します!


怪しすぎる・・・

蝶々エピソード 6蝶々


五右衛門さんがお城に出入りするようになってずいぶんと経つ。


最初はピリピリしていた光秀様も、最近は五右衛門さんのいたずらを余裕でかわすようになってきた。


私は急いで光秀様の部屋の前までやってきた。


「光秀様、文が届きました」


光秀 「中に入ってくれ・・・」


「失礼します・・・」


部屋の中には光秀様、その側で五右衛門さんが寝転がって羊羹を食べていた。


光秀 「ところで、俺に届いた文というのは・・・」


「はい、こちらです」


光秀様は黙って読んでいたが、表情がみるみる硬くなっていった。


五右衛門 「誰からだよ?」


光秀 「・・・今川義元」


五右衛門 「なんであんたのところに文を?あいつは島流しになったはずじゃ・・・」


光秀 「ああ、その幽閉先が俺の領内にある」


光秀様はまじめな表情で手紙を最後まで一気に読んだ。


やがて、光秀様は顔を上げた。


光秀 「・・・俺と連歌を楽しみたい?どういうことだ」


五右衛門 「ちょっと見せてくれ。・・・できれば麗しき女子と一緒に来てくれ、って・・・なんだ、そりゃ?女なんてあいつの目の前に出したら、何されるかわからねえぞ」


光秀 「それをお前が言うのか」


光秀様と私は思わず苦笑した。


「でも、そんなに怖いお方なんですか?」


光秀 「あの男を普通の人間とは思わない方がいい。冷静沈着で、頭も抜群にいい。その上、残酷だ。信長様が止めたからよかったものの、もしあのまま京に攻め上がっていたとしたら、今頃、この国はどうなっていたか・・・」


五右衛門 「だからよ、女子を連れてこいと言われてもな・・・。なんぎな申し出だぜ・・・」


「わ、私が行きます!」


二人は驚いた顔で私を見た。


「誰かが行かないといけないんだったら・・・」


光秀 「そんなところに○○を連れてはいけない。危険すぎる」


「でも、光秀様のお役に立ちたいんです」


光秀は口を結んだ。


しばらくして、光秀は私の肩にそっと手を置いた。


光秀 「分かった。その代わり、○○は絶対、俺が守る。危険な目には合わせない」


五右衛門 「もちろん、俺も行くぜ」



風が全くなく、今日の琵琶湖は不気味なほど静かだった。


竹生島(ちくぶじま)の桟橋に降り立つと、島を警備するお侍さんたちが近寄ってきた。


光秀 「義元と面会したい」


私たちは島の奥へと進んでいった。


警備 「このお部屋です」


五右衛門 「いよいよ、ご対面か」


光秀 「○○、私の傍から片時も離れるな」


「はい!」


警備 「・・・光秀様がお着きになりました」



襖が開き、私は光秀様に続いてお部屋に足を踏み入れる。



艶がかった黒い髪、すっと伸びた鼻筋に笑った口元。



かいだことのない不思議なお香の匂いが、部屋一面に漂っている。



義元 「久しぶりだな光秀。お前と再会出きるのを指おり数えながら待ってたぞ」



光秀様は軽く頭を下げた。



義元様は私に興味を持ったのか不思議な笑みを浮かべながら、じっと私を見つめている。