外で子供たちを遊ばせていると、同じアパートとママ友さんが3歳の娘を連れて帰ってきた。よく娘たちが遊んでおり「なっちゃん」と呼んでいる。
その人が涙声で「聞いてくださいよ」と話しかけてきた。
聞けば、3歳半検診に行ってたのだと言う。そこで「この子は異常ありなので、検査を受けてください」と言われたらしい。
何が異常なのかと聞けば、「人見知りがなさすぎて少し変です。3歳くらいの子は人見知りや警戒心が多少あるのが普通なので、検査を受けてください」と。
私から見れば、明るく人懐っこいなっちゃんは、どこが変なのかさっぱりわからない。
「ビックリしちゃって。誰でも話しかけるし、寄っていくし、楽しく遊ぶので良いことだと思ってたんです。そしたら、知能は問題ないけど、社会生活でこれから上手くやっていけない可能性もあるって言われて困惑してます」
そう言い出すと、お母さんは目に涙を浮かべていた。
私は素直に「え??それって良いことじゃないんですか?人当たりが良くて好かれると思ってましたよ。少なくとも私はなっちゃんが異常なんて思ったことないですよ」とその検査をした人が間違ってるんじゃないかと少し疑ってしまった。私は専門家ではないが、これが社会生活に支障を起こすほどの問題なんだろうか…。
とりあえず、市役所で検査を受けて問題ありと診断されたら病院に行くらしい。
さて、この話を同じアパートのシングルマザーにも話したら、軽くキレていた。
「最近、何でもかんでも発達障害だの色んな病気を作ってすぐ問題ありって言うんですよ。もう少し言い方ってもんを考えてほしいですね。私も最初の子供の時、言われました。動揺して泣きそうになりましたもん。もしかしたら病気じゃなくて、なっちゃんの良い所かもしれないのに。もしこれで、良いところが無くなったらそっちの方が問題だと思う」と。
確かに、人懐っこくて明るいなっちゃんは、良い個性の可能性もある。警戒心が強くて神経質な長女は、なっちゃんとはすぐ仲良くなった。なっちゃんは安心できるらしい。
それが、「この歳の子にしては異常」と言われると少し悲しい気持ちになる。
「きっと大丈夫ですよ。どこが変なのか少なくとも多少見てきた私たちには全くわかりません」と言うと「そう言ってもらえると、安心しますもう、ショックでショックで…、どうしようかと思ってたんです」と言って家に帰っていった。