少し昔の話。

私の小学校は、夏休みの登校日に戦争の話を聞くのが恒例になっていた。

長崎県の隣の佐賀県なので、話は長崎の原爆の話が多かったと思う。

小学校の時、長崎の悲惨な原爆の話を聞いて、その後学校の廊下にズラーっと並んだ長崎の原爆直後の写真展を見ることになった。

血まみれの裸の死んだ男性や子供。死に絶えた馬など白黒写真だったが強烈だった。

小学校1年生の私は、この写真が辛くてショックが大きくて、思わず怖くて目をそらした。

その瞬間、ベテランの女教師から酷く怒られた。「何してるの!!しっかり見なさい。目を閉じるな!!」

写真への恐怖、先生への恐怖でいっぱいで無理して写真展を見たせいか私はその数日間怖くて寝れなくなった。

その後、何回か戦争の写真を見たがその時の恐怖がフラッシュバッグし、今だに戦争の映像や原爆ドームは怖くて入れない。


さて、この話を最近、中学校の教師をしているおばさんに何気なく話した。そしたら、おばさんの顔色が変わった。

「それは、その先生がおかしい。戦争は悲惨な事だけど、その教え方はどうかと思う。私たち大人も原爆の写真を見るのが辛いのに小学校1年生の子供に無理やり見せるなんて」と言われた。

当時はまだその言葉がなかったが、PTSDだったのだと今では思う。

空襲の映像や戦争の映画を見ると怖くて夜眠れない。これは今でも正直続いている。

夏が近づくと私は、この思い出がいつもよぎる。あの怖い怖い白黒写真が。

しかし、この恐怖すら罪悪感があった。これを口に出してはいけないと思っていた。逃げているのは悪いことなのだと。

ただ、おばさんが「あなたは悪くない。教師の教え方が悪かったのだ」と言われた日から少し楽になった。

おばさんの言葉に今は感謝している。