私の親戚は、頭の良い人が多い。

また、どこか浮世離れしている者も多い。


そんな一家なので、旦那は私の実家へ行くと「緊張する。なんか世界が違う」と良く言う。

旦那の実家は、商売人の一家で浮き沈みの多い家だった。

失礼だけど、貧乏だったと思う。

友達も中卒の人が多いし、正直怖い系の人が多い。→ヤクザまがいの不動産の友達とかいるし。

「お前の親戚の所へ行くと、芸術、音楽、歴史って博学な話ばっかりでついていけねーんだよな。お前が世間知らずなお嬢さんってつくづく感じる」と私の実家へ行くとボヤいている。

また私の両親も「品がお前の旦那には感じられない」と嫌味を言われる始末。

まさしく板挟み。

両親と旦那は、育ちも環境もかけ離れ過ぎてるし、価値観の違いだから仲良くしてくれとも思わない。

喧嘩さえしなければそれで良い。

旦那が私の実家に劣等感を抱えてるのは知っている。

しかし、私の身内には絶対ない魅力が彼と結婚した大きな理由になっていることも旦那には知っといてほしい。


「気にすることはないよ。あんたは、確かにうちの身内にはいないタイプだけど、賢い人だと思ってるよ」とよく励ましている。

私は本気で旦那は、賢いと思っている。

何故か。

旦那の小さい頃の悪知恵は、感心するからだ。


夜中にコッソリ遊びに行くため自分の部屋に専用のチャイムをつけた。外からそのボタンを押すと自分の部屋だけ聞こえる装置。


夜遊びは、良くないが私は彼のその発想に驚いた。

旦那は、自分で何とかしようとする発想力が素晴らしい。

例えば、テストの回答。

もしわからない答えがあったとする。

私なら白紙で書く。

旦那は、恐らくわからなくてもダメもとで何か書くだろう。それが間違ってるとわかっていても。

また、旦那は上辺だけの付き合いができない。

身内から、歴史や政治の話を振られても愛想良く相づちができない始末。

「すいません、俺知りません」と空気を読まず堂々という。

ちょっとは、知らなくても愛想良くしなよと舌打ちすることもあるが、ある意味知らないことを正直に言える勇気は凄いと思う。

見栄を張らない。

良くも悪くも正直で嘘がない。

合わせることもしない。

でも、これが出来るって案外強い人しかできないこと。

勉強は大切かも知れないけど、私は学歴じゃないと旦那から教わった。

社会に出たら「対応して自分で考える力」が1番大切と言うことも。

だから旦那は職場で年相応の役職に就き、年収だって祖父や父と変わらない。

学歴なんて本当に小さい差なんだよね。

結婚は、自分と似たような家族とした方が長続きするって言われている。

それも一理あるだろう。

でもね、同時に他人と結婚するって新しい風をいれることなんじゃないかな。

旦那のようなタイプは、正直少なくなっている人種だと思う。

「この生活から抜け出す」と野心を持っている人はどれだけ今の若者でいるんだろう。

朝の番組で「人と同じでいたい。平均でありたい」と高校生が言っていた。

なんだか残念な答えだなと思って見てたけど、私の高校時代もこんな感じだったよなとも思う。

結局、平均ってなんだろう。

空気をよむってなんだろう。

私も旦那と会う前は、周りに流されて生きてきた人だったのだ。

最初に旦那に出会った時に言われたことがある。

「言いたいことがあるならハッキリ言え。お前の考えはないのか。気持ち悪い」

他人にそこまでキツく言われたことがなかったので衝撃だった。

でも、本当のことだった。

出会いは人を変える。

私は周りの目を気にせず好きなことは、好きと堂々と言えるようになったのもこの頃だ。

アイドルが好きなんて気持ち悪いと思われるかもって周りの目を気にしてたけど、今では全然気にしない。

自分は何が好きで、こういう意見を持っていると明確に意思表示をできるようになって随分心が楽になった。

親に教わることも多いけど、世界を広げてくれるのは残念ながら他人。

娘は、これから私が知らない人がどんどん増えていくだろう。

もしかしたら、私が理解できない人もいるかもしれない。

でも、多分彼女にとって無駄な出会いはないはず。

娘がこれから、人生を輝かせてくれる出会いがたくさんあることを願っている。