ピアノの森(一色まこと)

森のピアノを弾く少年と運命の出会い
 
これまで世に発表された、数ある「ピアノ漫画」の中でも、確実にトップ3に入る名作中の名作です。
 
漫画家・一色まことが描く感動の長編ピアノ漫画「ピアノの森」。

2015年に18年の長きに渡り連載された「ピアノの森」が完結しました。

連載途中には、掲載誌の廃刊やそれによる移籍、休載や不定期連載といった困難な時期があったが、18年間続いた感動的なフィナーレを迎えた時は、多くのファンが熱い涙を流したことは記憶に新しいです。

本作の最大のテーマは主人公・一ノ瀬海の成長物語です。

初登場時の海は、複雑な家庭で育った小学5年生の少年でした。
 
生まれも育ちも森の端の住人、水商売で生活をする母親が15歳の頃に産んだ子供で、父親もわからない状態でした。
 
恵まれた環境とは言い難い環境で成長していた海は、学校でも貧乏人と揶揄される存在でした。
 
でも、持前の負けん気でそんなクラスメイトをけちらし、誰も弾けない森のピアノを弾く日々を過ごしています。

そんな彼の森のピアノを捨てた本人である、元天才ピアニストの阿字野壮介が、森のピアノを弾く海の音を聞くことで、彼らの運命が大きく変わります。

かつての天才ピアニスト・阿字野壮介は、過去に起きた交通事故で最愛の恋人と自分の左手の自由を失っていたのです。
 
自分の生きる意味をすっかり見失っていた彼が、自分が生きている意味を海の成長を通して強く感じていくシーンは、涙なくして読むことはできません。

海の輝く成長が、阿字野壮介の生きる意味を示していくのです。

長期連載の割には、全26巻なので大人買いするにも丁度良い、おススメのコミックです。