先日も未だに通貨安を忌避する様なコメントを見てがっかりしましたが、ビッグブラザーも未だ円高への幻想が消えてないのでは？

キャリートレードを持ち出してくるあたりでそう思いました。

三橋貴明著『崩壊する世界　繁栄する日本』

Ｐ．２２４～２２７

　日本は90年代末から事実上のゼロ金利政策を継続していたため、経常収支の黒字が大きいにもかかわらず、通貨が上昇しにくい環境になっていた。なぜならば他国、特にアメリカとの金利差が３％以上開くと、日本円を借りて高金利諸国に投資する、いわゆる円キャリートレードが活性化するからである。
（略）
　そして、ＦＲＢの利下げの結果、日米金利差が接近した。

　第五章の【図５－９】（Ｐ．１３２）を参照してほしい。00年には６％以上もあった日米金利差は、03年にはわずか１％にまで縮小し、キャリートレードが活発になる３％ラインを軽々と下回ってしまったのだ。
（略）
　日本円が上昇すると、日本から資金が海外に流出しにくくなる。それは大変に困るのである。

　誰にとって困るのだろうか。アメリカ及び世界の国々にとってである。

　当時のアメリカや欧州諸国、さらに新興経済諸国は、一部の例外を除き、海外からのマネーを活用して国内に不動産バブルを醸成しつつあった。特にアメリカは国内の住宅ローンを証券化商品として海外に販売し、売却益をさらに住宅ビジネスにつぎ込むモデルで成長していた。海外からの、特に莫大な資金を持つ日本からの資金流出の勢いが弱まると、これは大変に困ってしまう。
（略）
　すなわち、日本の輸出企業とアメリカの金融機関、それに世界中のバブル諸国が円安を望んだ結果、日本銀行の大々的な為替介入が行われたのである。

　先に、日本は相対的にグローバル化していないと述べたが、それはあくまで貿易や対内直接投資の話である。海外投資という点で見れば、日本のグローバル化は充分に進んでおり、世界中のあちらこちらで同時に進行した、バブル経済膨張の資金源となり続けたのである。

　割を食ったのが、日本の国内の消費者と中小企業だ。

　円安のおかげで輸出企業の業績は確かに好調だったが、日々、購買力を削られていった日本国民の消費は委縮し、主に国内を標的市場とする中小企業の業績も伸び悩んだ。

　また、日本の投資家も、国内より通貨が高騰する海外に優先して投資を行った結果、日本国内向けの投資は拡大せず、全体的なＧＤＰの成長率が抑えられたのだ。

　02年１月以降の長期的な景気拡大は「いざなぎ越え」と言われたが、同時に「実感なき景気拡大」とも呼ばれた。「いざなぎ越え」が、日本国民と国内中小企業を犠牲にした上で成り立っていたのであるから、当たり前の話である。

（強調は三橋）

日米欧英の政策金利推移

（アメリカ、ユーロ圏、イギリスは直ぐに同じデータが見付かったが、日本は三橋が用いたもの（恐らく誘導目標）が見付からなかったため、月平均を用いた）

低金利→円安→海外でバブル

金融緩和を批判する人たちのよりどころの一つ。

因みに、円安のせいで「日本国民と国内中小企業を犠牲に」していたから「いざなぎ越え」が「実感なき景気拡大」だったというのもおかしな話。

理由はもっと単純で、中々実感がわかなかったのは「好不況ラインの下で、景気の拡大がつづいた」から。

労働力と資本を無理なく、無駄なく活用するライン

http://www5.cao.go.jp/keizai3/shihyo/2010/1122/973.html

「情報戦争」の残りの部分に対して思った事。

純輸出や輸出の対GDP比率の高低だけでは産業構造が輸出に依存しているかどうかは分からない。

国債が国内で消化されている割合が高いという点では安全だが、金融機関が国債を購入できる量には限度がある。

「財政出動やりまくれる」とはいくらなのか？未だに50兆円を5年間続けろと言うのか？

それが出来たとしても、日本の公的債務対GDP比率は200％。国債を発行し続けた場合の世代間の不公平について何も答えていない。

デフレを脱却してもそれだけで輝かしい未来が待っているとは限らない。私（や楽観的な経済学者）は（願望も込めて？）潜在成長率を2％としているが、IMFや内閣府の予想（PDF）はもっと厳しい。

2010-11-24 08:40:47
情報戦争
http://ameblo.jp/takaakimitsuhashi/entry-10716562431.html
>確信犯です。

【確信犯】
道徳的・宗教的または政治的確信に基づいて行われる犯罪。思想犯・政治犯・国事犯などに見られる。
（広辞苑）

ビッグブラザー（三橋）に対して異を唱える者は犯罪者。

そのうち思考警察が私を逮捕しにくるんだぜｗ