大仰なタイトルを使っておりますが
特定の宗教を賞賛したり否定するものではなく
個人的な興味関心でまとめるとともに
「神道」の考え方を通して誰かの心の教養になって貰えれば、という趣旨で行っております
ご了承ください


神道とは日本の宗教である
「宗教」と分類されているがキリスト教の聖書や仏教の経典のような書物はなく
神典とされる「古事記」「日本書紀」「古語拾遺」「宣命」に書かれていることも
混沌としていたものが天地に分かれ世界がはじまり(天地開闢)
イザナミ・イザナギの2柱の神が作り出したのが日本のはじまりとする日本神話と
その日本神の末裔とされる歴代天皇を主人公とした物語であり
教祖や創始者による「こういう風に生きなさい」という戒律と言えるものはない

そもそもそれらの神典は各地の伝承や歴代天皇に関する書物を編纂したものである

日本神は大きく「天津神」と「国津神」に分かれる
天津神は所謂「天の神様」、つまり高天原に住まう神
国津神は日本国で誕生した神々を言う
基本的に天津神の子は天津神、国津神の子は国津神である
「アマ」「アメ」とつけられる神は天津神、「クニ」がつく神は国津神とされる

神道は「万物に神が宿る」という考えに基づいており
例えば受験の際に学問の神様を祭る神社にお参りしたり
その年の豊作を祈って祭事を行うといった風習がそれにあたる

戒律と言える物はないが「祟り」という考え方がある
「荒魂(あらみたま)・和魂(にぎみたま)」という考え方が存在し
1柱の神様でも荒魂という人々に害をもたらす面と、和魂という人々に恵みを与える面を持つとされる
疫病や飢饉など大災害が起きるのは神が怒り荒魂を強くしていると考え
その神の荒魂による人間への害を「祟り」という

有名な逸話としては「菅原道真」のものがあり
あらぬ罪により左遷され子供が流刑に処されるなど非業の生涯を遂げるが
道真の死後、都では変死や落雷などが相次ぎ
これは雷神となった道真の祟りと考えられ
怒りを静めてもらう為に「天満天神」として祭ると異変は収まったという
現在でも大宰府で学問の神様として有名である

江戸時代になると神には「荒魂」「和魂」の他に「幸魂(さきみたま)」「奇魂(くしみたま)」があり
その四魂を「直霊」がコントロールしている「一霊四魂」という考え方が生まれた
それに因れば
荒魂=「勇」:行動力があり、外向性が強い
和魂=「親」:平和や調和を望む
幸魂=「愛」:思いやりや感情を大事にする
奇魂=「智」:観察力・分析力・理解力が高い
神に四魂の側面があるように人間の心にも四つの面があるとしている

日本書紀に四魂が存在していることは確かだが
人の心にもそれがあてはまるというのは論拠不十分とされる
本来、幸魂は幸運を以って間接的に、奇魂は奇跡を以って直接的に
人々に恵みをもたらすという和魂の分類だとされる
幸魂は「豊」、奇魂は「櫛」と称され名称として使用される


余談だが三波春夫氏の「お客さまは神様」も神道らしい考え方である
この言葉は『歌う時に私は、あたかも神前で祈るときのように、雑念を払って
澄み切った心にならなければ完璧な藝をお見せすることはできないと思っております。
ですから、お客様を神様とみて、歌を唄うのです。
また、演者にとってお客様を歓ばせるということは絶対条件です。だからお客様は絶対者、神様なのです』
(※三波春夫オフィシャルサイトより引用)という意味である。


よく漫画作品などで使われる「(三種の)神器」の元ネタの
八咫鏡(ヤタノカガミ)・八尺瓊勾玉(ヤサカノマガタマ)・草薙剣(クサナギノツルギ)も神道に由来する
伝承によれば神代の頃から存在し、日本神の住まう高天原から授けられたもので
現在でも天皇継承の証として現存してる
余談だが「ささみさん@がんばらない」に登場する邪神(やがみ)三姉妹の名前もこれに由来し
同作品も神道および日本神話の要素を多く取り入れている

神道を紹介する上で欠かせないのは「出雲大社」だろう
出雲大社は10月になると全国の神様が集うというのは江戸時代からの伝承ではあるが
神代の頃に大国主が住まう場所として作られたのがはじまりとして
単なる民間信仰ではなく国を挙げて建てられた天皇家とも関わりの深い神社である

イザナギが禊を行った際に生まれた三柱の神が
アマテラス・ツクヨミ・スサノオでありこれらを総称して三貴子(三貴神)という
アマテラスは太陽、ツクヨミは月、スサノオは海原の神とされる
この中でもスサノオは八岐大蛇を退治したり、草薙剣を高天原に献上するなど
日本神話において一部主人公的な描写がされる
またスサノオと櫛名田比売(くしなだひめ)の娘の嫁ぎ先が後の大国主である

三貴神は日本神の中でもイザナギが生んだ最も貴い神を意味し
神々の住む高天原の統治を任されたアマテラスの末裔が
初代天皇:神武天皇とされる

祖霊は山に帰り、田の神は山から降りてくるなど、山は異界であるとする概念がある
日本は山が多いためか、こういった山岳信仰が多いのは特色と言える
こういった霊験あらたかな山々を「霊峰」といい、富士山も霊峰の1つと数えられる

生死に関しては「死者は死後の世界に行き、そこから子孫を見守る」という概念である
家をご先祖様が守ってくれるという「祖先崇拝」の原則である
江戸時代以降は「幽冥(ゆうめい)思想」が当時の研究者により広められる
幽冥(かくりよ)とは向こうから現世は見えるが、現世からは向こうは見えない、
マジックミラーのような今で言う平行世界があり、ご先祖様は幽冥から子孫を守護するというもの
またその幽冥を収めるのも出雲大社の祭神・大国主大神とされる
詳細は不明だが現在の辞書には幽冥(界)=黄泉の国としている
しかし本来「黄泉の国」は特定の地名を指すのが日本本来の思想であり
イザナギ・イザナミの黄泉の国でのやりとりを考えると矛盾が生まれる
基本的に幽冥界=天国/黄泉の国=地獄という理解で良いだろう
便宜上天国という言葉を使っているが幽冥界=高天原というわけでもない
あくまで高天原は天津神の住まう世界である

「黄泉竈食い(よもつへぐい)」とは「黄泉の世界で調理された(竈で煮られた)食べ物、またそれを食すこと」を指す
口にしてしまうと黄泉の国から戻れなくなると言う
イザナギが見たイザナミの醜い姿はイザナミがこれを行ったためである
これが由縁でイザナミには「黄泉津大神(ヨモツオオカミ:黄泉の神の意)」と呼ばれる

日本神の正式名称は「属性」「名前」「号」の3つから為る
●「属性」とは「何の神様か」をあらわすいわば苗字
最も多いのが「天(アマノ/アメノ)」、基本的に高天原に住まう天津神に使われ
国津神に使用される場合、天気や気候を指すと思われる。
●「名前」とは「固有名詞」、文字通り神の名前を指す
「ツ」+「チ・ミ・ヒ(霊)」は自然神によく付けられ、
「キ・ヒコ・ヲ・コ」で終わると男神、「ミ・メ・ヒメ」で終わると女神などの法則がある
●「号」は尊称、「ミコト(尊、命)」と「オオカミ・オオミカミ(大神)」

・・・とまぁ自分なりにまとめてみました

「自然信仰」「アニミズム」の他に神道の徳として
「浄明正直(浄く明るく正しく直く)」があります

「日本人は無宗教」とはよく言われますがこうして見ると
日本人は神道が身に染み付いてるのかもしれませんね



【余談】
・遊戯王OCGのスピリットモンスターや「武神」モンスターは
日本神話の神またはそれに関わりのある名称が用いられてる

・「神社」と「寺・仏閣」の違いは神道と仏教の違いである
一応日本では「神」と「仏」でそういう施設は区別される

・仏教のルーツはインドであるが、現在日本で確率してる仏教は
神仏習合(神道と仏教を混ぜる考え方)により独自のものとなっている

・神道の起源は不明、日本最古の書物「古事記」に記述、それが編纂されたのが712年
「日本書記」によると仏教が日本に伝来したのが552年であり
記述の内容によると少なくとも仏教伝来の頃には日本特有の信仰として確立していたらしい
しかしながら男女一対の神が国の始まりとするのは聖書のアダムとイヴを彷彿とさせるなど
他国の伝承に似通った点が多数見られることから別に起源があるのではという説もある
もちろん確たる証拠はないので偶然の一致であることも十分ありえる

・遊戯王のスピリットモンスターに「阿修羅」というカードがあるが
元となる「修羅」は仏教の神である
創作などで「阿修羅」や「スサノオ」が戦いを象徴するものとして名付けられることが多いが
実際この2柱の神の逸話には類似する点がある

・「巫女」がいるのは「神道」の神社である

・日本神話は日本最古のラノベであるという見方もある

・八百万の神様の「○○の神様」という考え方は擬人化の元であるともされる
実際に「海(の神様)がお怒りだ」というような表現は擬人法である

・植村花菜さんの「トイレの神様」はまさにこれである

・いわゆる「妖怪」と言われる類は仏教と神道のものが混ざっている
生前の恨みを果たそうとする祟り神や長い年月を経て意思を持った付喪神は
神の名があるように神道の影響が見られるが
「天狗」や「鬼」は悪さをする神とされながら仏敵・天魔・魔縁など
仏道から外れたもの(外道)や地獄からの使者(獄卒)とする仏教上の性質も持ち合わせている

天狗と鬼はそれぞれ日本神話上の「猿田彦」と「酒呑童子」と姿が似ており混同される場合が多い
また「天狗」「鬼」そもそも「妖怪」という単語自体中華で最初に使われたものであるため
仏教が中華から伝来してきたときに入ってきた=ルーツは仏教とするのがベターだろう

・お盆は「仏教」を由縁とする行事とされる
キュウリの馬、茄子の牛は「精霊馬(しょうりょうま)」という

・「相撲」も日本神話に関係し、神事(神に捧げる行事)として神社で行われもする。
一説には「国譲り」の際、タケミナカタ(オオクニヌシの子)とタケミカヅチが力比べをしたことが由来としている。
拍手(かしわで)は神々への感謝、四股(しこ)は土の邪気を祓う為の儀礼としてであり、
横綱が注連縄(しめなわ)をするのも「神の依り代である」という名誉を表すものである。

・ゴーストライター騒動で記憶に新しい「天地神明に誓う」という言葉も神道に関するもの
「神明」とは神道の神々の総称であり、「天地」とは天と地、
つまり「天地神明」とは総ての天津神・国津神を意味する。

・神道における五色といて青(緑)・赤・黄色・白・黒(紫)がある。これらは五行がルーツとされ、青=木、赤=火、黄=土、白=金、黒=水を指す。現在では青より緑、黒より紫が主流とされる。

・神道式の葬儀では、「御霊のご平安をお祈りいたします」と言葉をかける。