2018年3月26日(月)、国連大学でノーベル平和賞を受賞されたバングラデシュのムハマド・ユヌス博士の講演会に参加いたしました。ムハマド・ユヌス博士は、貧困層の女性に少額の融資をすることで自立を支援するマイクロ・クレジットの仕組みを世界に広げ、2006年ノーベル平和賞を受賞されました。
より詳しい情報はネットやWikipediaを参照ください(https://ja.wikipedia.org/wiki/ムハマド・ユヌス)。
前日まで仕事が詰まっていたため参加できるかが難しかったですが、何人もの人に協力いただいたおかげで参加することができました。本当に感謝申し上げます。
ユヌス博士を知らない人は大変多いと思いますが、私は途上国支援事業をしている財団に勤務していた際にそのようなトピックにはよく触れていたので、「すごいことを考えて実行する人だ」と思っておりました。
それがやっと生で話を聞くことができ、本当に貴重な経験でした。
70年代のバングラデシュの農村は少額のお金を高利貸しに借りることで貧困から全く抜け出せないスパイラルにはまる家族だらけだったそうです。
そこで、ユヌス博士が始めたのが、高利貸しに代わり、目の前の女性に商売の資金として自分のお金を貸すことでした。それはごくわずかなお金でした。そして、そのお金がきちんと返済されたことで、その仕組みをユヌス博士は発展させたのです。
今では、途上国だけではなく先進国の貧困層も対象となり、全世界で3億人の人(90%以上は女性)に少額融資を行っているそうです。
今日の講演会を拝聴して、ユヌス博士はただの学者ではなく、ただの活動家ではない、素晴らしい事業家であることを知ることができました。
日本の社会起業家と言われる人たちからの質問に、ユヌス博士が話されると、難しく込み入った問題も、幹をブラさずに一歩一歩の処方箋が具体的に話されることに驚きました。
ユヌス博士は若い世代への期待を強く持たれていましたが、この点については、若いとか中年とか高齢とか関係なく、目覚めて始める人は常に若いと捉えておきたいと思います。
ユヌス博士は社会起業家としての成功にスポットライトが当たることがよくあります。
どうして、最貧困層の人たちにも無償で支援するよりもビジネスという形をとって利益を出すようにして問題解決を図ったのか?
ユヌス博士によれば、無償で便利な機械をあげたとしても、そのメンテナンスをどうすればいいかすぐ困ることになる。無償は非効率的なので、ビジネスという手法をとることが継続性を考えると重要になるのです。
第二部は場所を日本財団ビルに変えて、学生向けな感じで、日本の社会起業家や研究者が登壇されていました。時間の都合で、社会企業家の方々のセッションは見ることができませんできませんでしたが、お二人の研究者の方のお話は素晴らしいものでした。
第一部では企業家精神をあらゆる人が発揮することが大切であり、ユヌス博士を始めとする社会起業家の方々の勢いが前面に出ておりましたが、第二部ではその具体策を話し合われたような感じです。ソーシャルビジネスとはいっても、企業活動となんら変わることがない、というのがポイントでした。
東北大震災の被災地で立ち上がった主婦による手仕事による物品を販売するコミュニティビジネスがたくさん発生しましたが、継続的にできたところとそうでなかったところで明確な違いがありました。その違いは、マーケティングと販路だったそうです。
いくら目的がコミュニティや自然環境保護や世界平和であっても、ビジネスの基本がないと継続することができないのです。そのため「ソーシャルアントレプレナーです」という起業家は世界中であまりいないそうです。なぜなら、彼らは社会問題をひとつのビジネスチャンスと捉えて起業した、ただの起業家だから。(しかし、聴衆の学生はあまり満足気ではなく、ソーシャルビジネスという冠をつけたがっておりましたが。笑)
今日の講演会は、これからの事業活動に生かしていきたいと強く思える貴重な経験でした。