前回、20代からのリーダーシップ開発の必要性について書いたが、今回は開発手法について。

 

立教大学の石川先生は、リーダーシップの定義を「職場やチームの目標を達成するために他のメンバーに及ぼす影響力」と定義している。私は、「想い」×「実現力」と定義しており、自分の意思をもち、周囲の人の力も借りながら、やりたいことを実現していくことが出来る人になってほしい、という願いを込めている。

 

石川先生がおっしゃる、「影響力」は、意図して発揮する影響力もあれば、意図せずとも発揮している影響力もあるかもしれない。

これを、意図した影響力を発揮出来るようになることと、より大きな影響力を発揮出来るようになることがリーダーシップを開発するということと言えるのではないだろうか。

そう考えたとき、リーダーシップをとは、意図したこと(想い)を、実現することが及ぼす力(影響力)と言い換えられるかもしれない。

 

例えば、ある新入社員が配属された営業所が、挨拶を殆どしない営業所だったらしいが、その新入社員は、4月から、毎日大きな声で、「おはようございます!」「お先に失礼します。何か手伝えることはないでしょうか?」と声をかけ続け、6月に職場の雰囲気が変わったという話を聞いたことがある。その新入社員に詳しく話を聞くと、明るい職場にしたいと意図してやっていたとのことだった。職場の扉から入出してすぐに自分の席に向かわず、いろんな人の席を通り、挨拶をしながら自席に着いたという。

 

これは、職場のおける大きな影響力と言えるだろうし、それは、職場を明るくしたいという想いを実現した事例ともいえる。いずれにしても、リーダーシップを発揮した事例と言えるだろう。

 

なぜ、この新入社員はリーダーシップを発揮出来たのか。どうすれば、リーダーシップを開発していけるのか。

次の手順を提唱したい。3ステップだ。

 

1.周囲への影響力に繋がる強みの自覚

まず、周囲への影響力に繋がる、自分の強みは何かを明確にすることだ。

例えば、先ほどの新入社員の例だと「粘り強さ」という強みがあるかもしれない。

自分は、粘り強さという強みを活かしてリーダーシップを発揮出来るんだということを自覚することである。

 

2.リーダーシップを発揮している場面(事実)の自覚、リーダーシップを発揮出来たけど発揮しなかった場面(事実)の自覚

自分が周囲への影響力を発揮していることを自分で自覚出来ないことが多い。自分では、当たり前にやっていることが、周囲に喜ばれいていることがあったりする。ZOOM会議で、いつも笑顔で反応していることで、場が明るくなって、話しやすい雰囲気をつくっているといったことだ。その人の強みが発揮されて周囲に影響を及ぼしている場面をフィードバックすることである。

 

先ほどの新人においては、毎日、職場で挨拶を続けていることが、粘り強さという強みを発揮していることを承認し、伝えることである。一方で、例えば、企画会議であまりアイデアを出せなかった場合においても、決まった企画を浸透していくフェーズにおいては、粘り強さという強みを発揮出来るかもしれない。そんなことも伝えていくことである。

 

周囲は後押しをすることだ。ポジティブFBだけではないが、ネガティブFBもあくまでも、その人のリーダーシップ発揮のためにすることが重要である。

 

3.リーダーシップを発揮した場面を振返り、持論化する

自分って、こんな場面でリーダーシップを発揮していたんだ。出来るんだ。こうすればいいんだといったことを、実践を事実ベースで振返り、持論化すること。

そうすることで、自信になるし、次にどのような場面で発揮できるかの応用がきくようになる。

 

このサイクルを回し続けることがリーダーシップ開発である。