sotf100

 当時のミノルタは100ミリの焦点域に3本のレンズをラインナップしていた。
 Gレンズ並の描写力を誇るAF100mmF2にAFマクロレンズの代表格であるAF100mmF2.8Macro、そしてこのAF SOFT FOCUS100mmF2.8だ。
 3種ともそれぞれ優秀なレンズでアマチュアからプロに至るまで、かなりの高評価を得ていた。しかし、AF100mmF2はF2という開放値のためにG指定されなかったせいか、兄弟分のAF85mmF1.4Gに人気で大きく差を開けられディスコン。このAF SOFT FOCUS100mmF2.8もデジタル化に伴う大幅なレンズラインナップ縮小の影響でひっそりと姿を消した。実際、100ミリではマクロレンズが人気と売れ行きで一番だったのは間違いない様だ。

 さて、AF SOFT FOCUS100mmF2.8は開放から口径食がない。STF135が発売されるまで、開放から口径食のないAFレンズはこのレンズのみであった。(ともに銀塩の場合)
 ミノルタはレンズ描写、特にボケ描写にかなりこだわるメーカーであったため、この100SOFTやSTF135等のレンズにはあえて一段大きな口径比で設計している拘りようである。そのために開放から口径食のないきれいな円形のボケ描写が得られるようになっている。
 ソフト描写は3段階で調整でき、F2.8でソフト目盛1とF4でソフト目盛2が同じソフト量という感じで、絞り1段に対してソフト1段が対応するようになっている。普段はソフト1~2で十分にソフト描写が楽しめる。
 しかし、このレンズの評価が高いのはソフトレンズとしてだけではなく、普通の100ミリレンズとしても優秀だからだ。
 その描写は開放からシャープで繊細な写りである。色味はややあっさりしており、全体的におとなしめで上品な印象を受けるが、破綻のない写りは信頼できる。このレンズを評価するプロの話を聞いた事があるが、この端正な描写のせいかもしれない。なんとも玄人好みなレンズだ。