障害者自立支援法きっかけで引き取りを決意した親のBlog

うちの娘は重度知的障害児です。

小学5年から高校2年になる今まである入所施設で普段は暮らしています。

4月から成人施設で施行されている障害者自立支援法が10月に児童施設にも及ぶ事となりましたが、2006年8月現在、自治体レベルで具体的な事が何も決まっていません。噂される入所費用の負担増、現場の混乱、その他諸々の要素が重なり、自宅引取りを決意した親のブログです。

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説明無いまま、契約??

この2006年の9月末まではこれらの子供たちの入所に関わる判断・実務を「措置」という児童福祉法に基づいた形で児童相談所が行ってきました。児童相談所の福祉士さんが、それぞれの家庭の事情(一人親・病気がち・生活の苦しさ・虐待など)や障害の重さを鑑みて丁寧な対応をされていました。それがこの10月から措置が支援法に切り替わる事で措置から施設との契約に変わり、難しく言ってしまうと「応能負担」から「応益負担」に切り替わります。金銭の事は、また後で書こうと思っています。

ところが、今日2006年の9月15日の時点で、地方自治体から1通の手紙が送られてきました。

「10月1日から支援法に基づく契約になるけど、国からの説明が遅れていて事務処理が遅れています。ご理解下さい」という内容でした。でも先日の自治体の説明では、「契約を急いで下さい」という説明のみで、実際の負担はどの様になるか?という疑問に答える内容でありませんでした。



つまりは、「やるよ、10月からやるよ」と言っているのに、どうするのかがまるで提示されていない状態なのです。契約って双方が同意したから交わすものでしょう?契約内容も提示されてない、しかも負担が増えそうだ、という話しか聞こえないのに「契約を急いでくれ」というのは振り込め詐欺と大して変わらないと思ってしまいます。


地方自治体も困惑しているようです。この4月から老人施設を含む成人施設は支援法対象になりました。支援法に移った事により役所の事務処理が増えた上に様々問題が出ているようで、児童施設の議論が殆どなされないままなし崩し的に、支援法への移行だけが決まりました。しかし国から出ているヴィジョンがふら付いているので、地方自治体もどうしていいかわからない、という状態のようです。


児童相談所も同様です。児童障害者施設に関しては措置以外の部分は権限を剥奪され、情報も貰えていない状況のようです。

僕は障害児行政において児童相談所がやってきた業績は評価されるべきと思います。


障害者行政からお金もそうですが、心が失われていっているように思えて仕方がありません。


入所施設って

とりあえず、入所施設について書きたいと思います。


入所施設って存在は知ってるけど良く知らない方が多いと思います。僕も関わる前はそうでした。


施設は18歳以下の人が利用する児童施設、それ以上の人が入所する成人施設の2種類があります。

児童施設には児童身体障害者施設(肢体不自由の人が利用する施設)、児童養護施設(何らかの家庭の事情で保護され、親元を離れて入所する児童の施設)、そして娘の利用する児童知的障害者施設があります。

 成人もほぼ同じようですが、養護施設に相当するものがありません。


入所するきっかけはどのようなものなのでしょうか


それは、その子供を持つ家庭によってまちまちではあります。

障害者施設では主に入所する児童の障害の重さと家庭の事情です。


例えば親が一人しか居なくて働かなければいけないけれども障害のある子を一人で家においておくことが出来ないとか、親が病気がちで入退院を繰り返しているとか、親からの虐待があって離されているケースもあります。


つくづく、閉じた世界

私たちがこのブログを書こうと決めたきっかけを簡単に話します。


この10月に成人施設(18歳を越えている人の施設)に続き、児童施設(18歳以下の人の施設)にも障害者自立支援法が適応されることとなりました。何が変わるかという事はおいおい書くとして、今まで「措置」という制度の下で入所を決めていたものを、施設と利用者(児童の場合は親)との間の「契約」という形に切り替える、ということです。また法の精神には、「障害者が社会に参画し自立するため」という精神も盛り込まれているようなのですが、体のいいコストカットというのが現状です。


確かに、コストの増大が一つの要因になった事は否定しません。でもね、もっと色々あったんですよ。決心するにあたって。


彼女が入所していたこの数年はとても一度には書ききれませんので徐々に書いて行きますが、様々な関わりはやっぱり「閉じた世界」でありました。障害に関わっている人と、そうでない人。感覚にもかなり温度差がでます。沢山考えて助けて頂いている方が多くいらっしゃるのも良く知っています。この辺は伝えるのが難しいんですが、ここ2-3年、関わっている人の感覚のずれからか、制度のせいなのか分からない、「閉じた世界」故に起こる様々な事がありました。その辺も含めて正直な僕らを今書く事が大事だと思っています。