DTMで作曲を行う場合、大抵はドラムパートをドラム音源を使った打ち込みによって作ると思います。

ただ、DTM初心者の人にとって、ドラムパートの打ち込みは少し難しい作業になるのではないかと思います。

ドラムのプラグイン
ドラム音源

DTM初心者の人が特に間違えてしまうのが、一つのトラックでドラムパートを全て打ち込んでしまうといった事です。

そうした間違いによって、ドラムパートを一から作り直していかないといけなくなってしまい、挫折するきっかけに繋がったりするので、この記事では、DTM初心者の人が起こしやすいドラムの打ち込みについて紹介したいと思います。

バスドラムやスネアなどを一つのトラックで打ち込んでしまう

先ほども言いましたが、ドラムのパートは、DTMに限らず、スタジオ録音で作っていく際にも、スネアやバスドラム、ハイハットなどの各打楽器は、必ず別々のトラックに分けます。

ドラムの打楽器を分ける
バスドラムとスネアなどはトラックを分ける

なぜなら、ミックス作業時に、バスドラムの音質をイコライザーで調節しようとすると、スネアやハイハットなど、他の打楽器の音質も調節されてしまうからです。

もし、マルチティンバー音源でレイヤーごとにドラムセットの各打楽器をセットして、MIDIチャンネルを振り分け、8ビートなどを鳴らす場合においても、トラックは分ける必要があるので注意してください。

ドラム音源の方で音質調節を行ってしまう

DTM初心者の人がやってしまうドラムパートに関してのもう一つの間違いが、ドラム音源に備わっている音質調節機能で、各打楽器の音質を調節してしまう、という間違いです。

音質調節が付いているドラムプラグイン
音質調節が付いているドラムプラグイン

ドラム音源のプラグインの中には、プラグイン画面上でドラムの音質調節が行える機能が搭載されているものがあります。

ただ、プラグインの機能の一部である音質調節機能は、単体のコンプレッサーやイコライザーのプラグインと比べて、音質を調節できるパラメーターが限られており、対して音質を整える事が出来ません。

ですので、バスドラムやハイハットなどの各打楽器の音質調節は、トラックごとにコンプレッサーやイコライザーをインサートして行うようにしてください。

MIDIというデータの規格で扱う演奏データには色々なデータがありますが、実際にDTMを行う際にMIDIシーケンサーで入力や編集を行う演奏データは以下の三つになります。

  • ノート(ノートオン・ノートオフ)
  • ベロシティ(Velocity / 音の強さと弱さ/コントロールチェンジ)
  • ピッチベンド(Pitch Bend / 音程の変化 / コントロールチェンジ)

ノートという演奏データ

MIDIデータの中で最も扱う事が多いのが「ノート」(note)という演奏データです。

ノートには、ノートオンとノートオフのデータが含まれています。

ノートオンとノートオフ
ノートという演奏データ

ノートは、五線譜で言うところの「音符」の役割を果たす演奏データであり、ノートの縦の位置が音の高さになり、ノートの長さが音の長さになります。

DAWソフト画面やMIDIシーケンサー画面で再生を行った際に、ノートの左端にシークバーが来ると、ノートオン(音を鳴らす命令)が入力されて音が出力され、ノートの右端にシークバーが来ると、ノートオフ(音を止める命令)が入力されて音が途切れるようになります。

ベロシティという演奏データ

ベロシティは、ピアノロール画面に打ち込んであるノートの音の強弱を調節する演奏データで、棒線グラフで調節を行います。

ベロシティの調節
ベロシティという演奏データ

ノートの真下にある棒線が高いと音が強く鳴らされるようになり、棒線が低いと音が弱く鳴らされるようになります。

ピッチベンドという演奏データ

ピッチベンドという演奏データは、ピアノロール画面に打ち込んであるノートの音程を変化させるための演奏データで、棒線グラフ、または、折れ線グラフで調節を行います。

ピッチベンドの調節
ピッチベンドという演奏データ

グラフの真ん中に位置している線がノート本来の音の高さになり、その中央の線よりも上に線を描くと、ノートの音程が高くなり、下に線を描くと、ノートの音程が低くなります。

MIDIデータにおける演奏データでは、この「ノート・ベロシティ・ピッチベンド」という演奏データを調節出来れば、ほとんどDTMの打ち込み作業で困る事はありません。

また、MIDIチャンネルごとに、ベロシティとピッチベンドの値が反映されるので、マルチティンバー音源などを使用する場合にも、ベロシティとピッチベンドを調節して演奏データを送信しましょう。

MIDIというデータの規格の中で、使う機会が意外と多いのに、理解するのが難しいデータに、MIDIチャンネルというデータがあります。

MIDIチャンネルは、MIDIデバイス(プラグインなどのMIDI音源)に対してMIDIデータを送信する際に、16のチャンネルに分けて送信するためのチャンネル情報の事です。

MIDIチャンネルとは
MIDIチャンネルとは?

MIDIチャンネルの設定は、DAW付属のMIDIシーケンサーであれば、フリーソフトの外部MIDIシーケンサーであれ設定を行う事が出来ます。

MIDIチャンネルの設定

今回は例として、有料版のReaperというDAWソフト内蔵のMIDIシーケンサーを使用して、MIDIチャンネルの設定方法を解説していきたいと思います。

MIDIシーケンサー画面には、必ずMIDIチャンネルを設定するための項目がどこかにあり、その箇所をクリックすると、1~16のMIDIチャンネルで、どのチャンネルを使用するかを設定する事が出来ます。

MIDIチャンネルの設定

また、MIDIチャンネルは、MIDIシーケンサー側だけでなく、DAWソフトのトラックのMIDI入力においても設定する事が出来ます。

トラックのMIDIチャンネル設定

トラックの録音ボタンを右クリックすると、そのトラックの入力設定を行うためのダイアログボックスが表示されます。

トラックのMIDIチャンネル設定
DAWのトラックのMIDIチャンネル設定

この画像を見て分かるように、MIDI入力で選択したMIDIデバイスにマウスカーソルを合わせると、MIDIチャンネルを選択するためのダイアログボックスが表示されるので、そのボックスで受信したいMIDIチャンネルを選択します。

また、トラックのMIDI入力設定で、接続しているMIDIキーボードからのMIDI入力を受信したい場合には、MIDIキーボードを選択した上でMIDIチャンネルの設定を行い、トラックに挿入しているMIDIイベントのMIDIデータを受信したい場合には、全てのMIDIデバイスからのMIDIデータを受信する設定を選択した上でMIDIチャンネルの設定を行いましょう。

トラックのMIDIチャンネル設定(MIDIデバイス選択)
MIDIデバイスを選択してからMIDIチャンネルを設定する

マルチティンバー音源でのMIDIチャンネル設定

MIDI音源(プラグイン)には、マルチティンバー音源と言う同時に複数の楽器の音色を出力する事が可能なタイプが存在します。

マルチティンバー音源を使用する場合には、先ほど紹介したMIDIシーケンサーとDAWソフトのトラックにおけるMIDIチャンネルの設定以外に、マルチティンバー音源内でのレイヤーにおけるMIDIチャンネル設定が必要になります。

マルチティンバー音源のMIDIチャンネル設定
マルチティンバー音源のレイヤーごとのMIDIチャンネル設定

マルチティンバー音源では、DAWのトラックごとにプラグインをインサートするように、レイヤーごとに楽器をインサートして、そのレイヤーごとにMIDIデータを受信するMIDIチャンネルを振り分けます。

そうする事で、MIDIチャンネルごとに打ち込まれたノートやベロシティの調節状態が、マルチティンバー音源のレイヤーごとに受信されて、複数の楽器で別々の演奏音を出力させる事が出来るようになります。

お金を使わずにDTMを行いたい人は、フリーソフトを使うと良いと思います。

フリーソフトというのは、無料で利用する事が出来るソフトウェアの事です。

フリーソフトシンセプラグインsynth1
フリーソフトのシンセで有名なSynth1

DTMのフリーソフトはかなり沢山あって、DAWソフトやプラグイン、ASIOドライバ、仮想MIDIデバイスなどなど、DTMを行うのに必要なソフトが全てあります。

その中でもおススメなDTMフリーソフトを紹介したいと思います。

フリーソフトのDAW

フリーソフトのDAWとしておススメなのは、ReaperというDAWソフトです。

Reaperには有料版と無料版の二種類がありますが、どちらでもマルチトラックレコーディングが出来ますし、各トラックごとにMIDI入力やMIDIチャンネルの設定を行えます。

フリーソフトDAWのReaperv0999
フリーソフトのDAWソフト-Reaper(リーパー)

ただし、Reaperに付属しているMIDIシーケンサーはかなり使いづらいので、別途、MIDIシーケンサーのソフトをダウンロードした方が良いと思います。

フリーソフトのMIDIシーケンサー

フリーソフトのMIDIシーケンサーでおススメなのは「Domino」と「世界樹」です。

どちらも使いやすいMIDIシーケンサーソフトですが、それぞれに違いがあるので、どちらを使うかご自身で判断してください。

MIDIシーケンサーDomino

DominoというMIDIシーケンサーは、初心者におすすめのMIDIシーケンサーです。

Dominoの画面を見てもらえば分かりますが、画面のどのエリアで何のMIDIデータを入力・調節するのかが感覚的に分かります。

フリーソフトのmidiシーケンサーdomino
フリーソフトのMIDIシーケンサーDomino

また、Dominoでは、MIDIデータを出力するMIDIデバイスの設定やMIDIチャンネルの設定を、画面左側のトラックセレクトペインに表示されているトラックごとに設定する事が出来ます。

MIDIシーケンサー世界樹

世界樹というMIDIシーケンサーは、少し使い方が難しいMIDIシーケンサーソフトです。

世界樹の画面で、ノートを打ち込む画面はデフォルトでは表示されておらず、メニューバーの表示項目からピアノロール画面を表示させるようにする必要があります。

フリーソフトのmidiシーケンサー世界樹
フリーソフトのMIDIシーケンサー世界樹

ただ、世界樹には打ち込んだノートの音の高さと長さを、五線譜で音符に割り当てて表示させる機能があります。

もし、五線譜で確認しながら打ち込み作業を行いたいのであれば、世界樹を使ってみてもいいかもしれません。

もちろん、世界樹でもMIDIデバイスの設定や、MIDIチャンネルの設定などをトラックごとに行う事は可能です。

DTMを始める人の一つ目のハードルになるのが、「MIDI」と呼ばれるデータの規格についての知識だと思います。

MIDI(MusicInstrumentDegitalInterface)とは、音の高さや長さ、音の強弱、音程の変化といった演奏情報を扱うデータの規格です。

MIDIとは
MIDIとは?

MIDIというデータを扱うには、MIDIシーケンサーと言うソフトを使います。

MIDIシーケンサーは、DTMで使うDAWというソフトに付属されているツールです。

DAWとは?

DAWとは、Degital Audio Workstation(デジタルオーディオワークステーション)と呼ばれるソフトで、楽器の録音、ミックス・マスタリングなどの作業を全て行う事が可能なソフトウェアです。

DAWとは
DAWソフトとは?

このDAWと言うソフトにはMIDIデータの入力や編集・調節をする事が可能なMIDIシーケンサーと言うツールが内蔵されていて、トラックに挿入したMIDIアイテムを内蔵のMIDIシーケンサーで開いて、MIDIデータの入力や編集を行う事が出来ます。

ただ、MIDIシーケンサーで演奏情報の入力や、MIDIチャンネルなどの設定を行うには、MIDIというデータの基本的な知識がないと難しいので、DTMを始めるにあたって、まずは、MIDIというデータがどういったものかを勉強するところから始めてみましょう。