日本の経済的なプレゼンスを大きくすることにエネルギーを集中させよ! | 岐路に立つ日本を考える

岐路に立つ日本を考える

 私は日本を世界に誇ることのできる素晴らしい国だと思っていますが、残念ながらこの思いはまだ多くの国民の共通の考えとはなっていないようです。
 日本の抱えている問題について自分なりの見解を表明しながら、この思いを広げていきたいと思っています。


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 アジアにおけるアメリカのパートナーとして最もふさわしいのはどの国かというのを有識者に尋ねた場合の回答を集めたデータというものを見つけました。やや古いデータですので、ここ5年ほどがどうなっているのかがわからない点はご了承下さい。ちなみに、青色が「日本」という回答をした人の割合、赤色が「中国」と回答した人の割合です。



 1994年においては「日本」と答えた人が79%であるのに対して、「中国」と答えた人はわずかに12%であったのですが、2009年には「日本」と答えた人が36%にまで大幅に低下したのに対して、「中国」と答えた人が56%にまで大幅に増加しています。15年間で日中の位置づけが完全に逆転したということになりますが、この変化をもたらしたものは何でしょうか。

 1994年というのは、日本のGDPが世界のGDPに占める割合が18%程度あった時です。世界経済における日本のプレゼンスが非常に大きかったわけです。ところが近年はこの割合が徐々に低下して、恐らく現在では6%程度にまで下がっていると思われます。つまり、「構造改革」などにうつつを抜かしてきたこの20年ほどの間に、日本経済の世界においてのプレゼンスは1/3にまで低下してしまったわけです。そしてこの日本の経済的なプレゼンスの低下とアジアにおけるアメリカのパートナーを「日本」だと答える人たちの急減は、密接な関係があると思われます。同様にして、中国の世界経済におけるプレゼンスがどんどん大きくなっていることとアジアにおけるアメリカのパートナーを「中国」だと答える人たちの急増にも密接な関連があるものと思われます。

 アメリカで中国製のドックフードを食べたために多くのペットが亡くなったことは有名です。鉛や発がん性物質を含んだおもちゃが多く中国から輸出されたこともまだ記憶に新しいところです。2007年のデータですが、アメリカ人の82%が中国製品の購入に懸念を抱いているというアンケート結果もありました。中国が中共の独裁国家であることも、当然アメリカ人は知っているはずです。中国製の通信機器にバックドアがついていて、情報が中国に送信されるようになっていることから、中国製の通信機器が米国内で使用不可になっていることも、当然アメリカ人は知っているはずです。それでも経済的なプレゼンス(さらには軍事的なプレゼンス)の大きさが大きければ、それだけパートナーとしてふさわしいと考える傾向が強いということに、私たちは目を向けておくべきです。

 こうした感じ方をするのは、何もアメリカ人だけに限らないでしょう。経済力の大きい国であればあるほど重要な国であるとの認識が強くなるというのは、世界中のどの国民にしても変わらないかと思います。

 こうした観点からも、我々は日本の経済的なプレゼンスを大きくすることにエネルギーを集中させるべきではないでしょうか。即ち、財政政策をタブー視せずに、経済成長を最優先する政策を取るべきだということです。これは単に私たち自身が豊かになるという意味があるだけでなく、我が国の安全保障の条件を高めて行く上でも重要であるわけです。このような当たり前のことを見過ごしている政治から離脱する道を日本の政治が選択することを、心から願っています。


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