地元漁民のことを考えた尖閣諸島の解決策を目指せ! | 岐路に立つ日本を考える

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 私は日本を世界に誇ることのできる素晴らしい国だと思っていますが、残念ながらこの思いはまだ多くの国民の共通の考えとはなっていないようです。
 日本の抱えている問題について自分なりの見解を表明しながら、この思いを広げていきたいと思っています。


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 「週刊FLASH」の最新号(10月23日号)に、「片道8時間…いま敢えて尖閣諸島に行ってきた!」という記事が載りました。

 これは週刊FLASHの記者が石垣島に乗り込んで、地元の漁師の漁に同行して、今の尖閣諸島を巡る実際をルポしようというものです。

 この記事の中には、地元の漁師の話がいろいろと載っていて、現地では今回の騒動がどのように受け止められているのか、見えてくる部分も多いです。

 9月18日に、国有化後に初めて魚釣島に上陸した二人がいましたが、あの二人を漁船に乗せて連れて行った漁船の船長がとんだとばっちりを受けていたという話が載っていました。漁船は仮差し押さえになり、警察から2日間事情聴取を受けるなどし、休業を余儀なくされたそうです。それで上陸した二人に金銭的な補償を求めたところ、うち一人とはその件でトラブルになってしまったそうです。

 漁民の方に対して与える影響を考えずに、自分の主義主張を優先して行動し、結果責任も負わないというのでは、「愛国無罪」で無法活動が許されるなんておかしいと、中国を批判することもできないものだと思います。こういう行動には猛省を促したいと思います。

 さて、石垣の島民と台湾の住民との関係は、私たちが思っている以上に強いようです。

 例えば、台湾の豪華客船が年に40回ほど石垣島を訪れていて、毎回大きなお金を石垣島に落としていってくれているのだそうです。尖閣諸島の騒動が大きくなってからも、相変わらずやってきてくれるそうです。しかも、石垣島でパイナップルやマンゴーを栽培している台湾人も多く、石垣で結婚する人もいるのだそうです。

 さらに、尖閣諸島騒動が起こるまでは、尖閣の海では台湾の漁民と石垣の漁民が仲良く漁を行っていて、台湾の漁民の網が引っかかっていたらほどいてやるなんてこともやっていたそうです。お互いにお互いを暗黙のうちに思いやって、仲良く漁を行っており、海保も少々の領海侵犯は見逃していたのだそうです。中国から尖閣諸島まで300キロ以上あるため、燃料代を考えると割に合わないから、中国船が尖閣沖にやってきているのを見たことはないのだそうです。

 こうした関係が今は完全に崩れてしまったそうで、元の関係にいつになったら戻れるのかというのが、石垣の漁民の思いのようです。こうした石垣の漁民たちの気持ちに寄り添った解決策を、日本政府にはぜひとも考えてもらいたいところです。

 玄葉外務大臣が日台漁業協議の早期再開を台湾側に呼び掛け、これに対して台湾の外交部も日本の考えに同意したとの報道がありました。こうした動き自体は大いに歓迎したいと思います。中国と台湾の間にくさびを打ち込む役割も果たしますし、石垣の漁民にとっても台湾の漁民にとっても利益になることだと思います。

 ただ、玄葉外務大臣が台湾の馬英九総統の提唱した「東シナ海平和イニシアチブ」を評価していると伝えられているのが、いったいどの程度までなのかが、やや気になるところです。というのは、「東シナ海平和イニシアチブ」には、「台湾が主導」した「共同資源開発」が盛り込まれているからです。

 漁民のことをしっかりと考えていくことを基本に据えながらも、我が国の主権は何があっても譲らないという原則を踏み外さずに、中国と台湾をうまく分断できるように、最終的な解決方向を探ってもらいたいと思っています。すなわち、我が国の主権を認めさせた上で、台湾の漁民の漁業権を承認し、台湾にも資源開発に参画してもらうように導きながら、中国をそこから除外していくというような解決策に導いていく動きはできないかということです。

 口で簡単に言えるほどやさしいことではありませんが、中国国内の体制が動揺に晒されてきていて、見かけほど強固ではなくなっている時だけに、その隙に割り込んで進めていくやり方はあるのではないかと、個人的には思っています。

 石垣や台湾の漁民の利益をしっかりと考えながらも、老獪な戦略で中国と台湾の間にくさびを打ち込む政策を日本政府は考えていくべきだと考えられる方は、クリックをお願いいたします。


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