2012年のアメリカ杯のショート6分間練習です。
初戦はフィンランディア杯で優勝。
羽生選手2つ目の試合です。
【2012/10/21放送 2012年GP シリーズ第1戦アメリカ大会男子ショート】より
解説 : 佐野稔

アナウンサー
「さあ日本勢、世界選手権銅メダリストの羽生。そして小塚も出て来ます。海外勢、ベルネル、ブレジナというチェコ勢に、地元アメリカ、ジェレミー・アボット」

佐野「このメンバーも超豪華メンバーですよね」
アナ「いやそうですよねー」
佐野「このまんまファイナルですって言ってもおかしくない」
アナ「おかしくはないですよね、確かに」
佐野「これで高橋くんは具合悪いって状況みたいなね(笑)それくらいのメンバーがこのスケート・アメリカで集まって、次のこのグループで滑るっていうのは、まあ~これは良いですね」
アナ「そうですね」
佐野「豪華メンバーが集まって、GP シリーズ初戦から大きなプレゼントっていう感じでね」

アナ「そして日本の小塚。この小塚も昨シーズンは非常に苦しんだ分、今シーズンに掛ける気持ちというのは非常に大きいと思います。世界選手権で銀メダルを取ってそして挑んだ昨シーズンだったんですが、なかなかこうファイナルにも出られず、世界選手権も11位という結果。それを受けてのまた新たなシーズンです」

アナ「そして佐藤由香コーチが映っていますが。佐藤コーチは直接的には次のジェレミー・アボットを教えている。で、この佐藤由香コーチのお父さんの佐藤信夫コーチが小塚を教えているという状況です。まあ、この佐藤由香コーチは今は完全にアメリカ、デトロイトに拠点を置いて今やアメリカを代表するコーチという形で色んな選手を教えています」

アナ「そしてアボットが映って来ました。アボットも昨シーズン、ファイナルには出たんですが5位。世界選手権8位」
(アボットの後ろは羽生選手)


(アボットの後ろでジャンプを跳んでいます)


アナ「場内、いま紹介をされて大きな歓声が飛んでいます。日本勢、もちろん高橋を含め注目なんですが、海外勢がこのオリンピック前、直前のシーズンにどれくらいの演技を見せて来るのかというのも注目ですよね」
佐野「そうですよね。まあ、これによってね。また、今シーズンまず一番大きな変化っていうのが、とにかくルールが変わってますから」
アナ「そうですね」
佐野「それを、皆どのように捉えて来ているのか、どのような形で表現して来るのか。これは、ある意味探り合いでもありますので」
アナ「はい」
佐野「ここにこれだけの人たちが集まって来るのは、ひとつそれもね、大きな意味がありますよね」

アナ「チェコのミハル・ブレジナです。ブレジナは昨シーズン、GP ファイナルに出場しました。去年のこのアメリカ大会、優勝したのがブレジナ。過去2回の世界選手権4位。そして昨シーズンは6位。」








アナ「大きなルールの変更と言いますと、ショートでも後半ジャンプの基礎点てが1.1倍になる。そして、フリーではコレオグラフィック・シークエンスという、ステップに変わる、更に表現力の幅が広がるようなそんなものがひとつ要求されます」
佐野「まあ、何をやってもいいという事ですから。まあ、ステップ得意な人はね、そこでね、かなりの表現ってものが出来てきますよね」









アナ「そして、日本、羽生が映りました」




アナ「何と言っても、この人は世界選手権のメダリストとして登場する。世界ランクも3位ですから」







アナ「このアメリカ大会、滑走順は最後なんですよね」






佐野「カッコいいですね」
アナ「はい」



佐野「今シーズンからね、拠点がカナダに移って、こないだも良い成績残してますからね」
アナ「はい。優勝しました」




(3トウループ)







アナ「昨シーズンは本当に一気に世界のトップに駆け上がって行って、そこから更に上を目指すシーズン」



アナ「阿部奈々美コーチの元を離れまして、ブライアン・オーサーコーチの元に渡りました。カナダを拠点にしました」


アナ「そして、フリーで4回転2つという新しい挑戦もしています」


アナ「本当に羽生は今シーズン楽しみですよね」
佐野「楽しみですね。どこまでね、羽生くんが伸びて行くのか」
アナ「はい」







佐野「まだ17歳ですからね」
アナ「ええ」


アナ「シーズン開幕前、10月の頭ですね、上旬フィンランディア杯で優勝しました。この時フリーでは4回転2種類成功させています」


アナ「先程の前半グループ最後のマヨロフの得点ですが、60.48という得点が出ています。マヨロフは4位です。町田がトップに立っているという前半グループの順位です」

アナ「そして、小塚ですが話を聞いても、本当に今シーズンは継続をすること。今、4回転挑んで行きましたが」
佐野「うん。両方の足での着氷でしたね」
アナ「継続。練習で毎日何かを掴むんだと。今回アメリカ入りしてからも、順位の事はほとんど小塚の口からは出てこない。何か本当に自分の世界に集中するんだというね、そんな雰囲気が伝わって来るんですが」
佐野「やはりね、それは非常に大切な事で、自分がやるべき事、やらなくてはいけない事、それをしっかりやって行く事で結果っていうのはね、後から付いて来ますから必ずや」
アナ「はい」
佐野「そこのところで自分自身の中での、まあ、自分との戦い。そこでの勝利という事になってくるんですけど、非常に大切な事だと思いますね」
アナ「そうですね。2シーズン前は、GP ファイナルで銅メダルを取り、全日本を制し、世界選手権で銀メダル。そして期待された昨シーズンですが、スケート靴の問題もありましてなかなか結果が出なかった。ですから小塚にとっては本当に真価が問われる今シーズンという事になってきそうです」

アナ「さあ、海外勢ですがアメリカで言いますとライサチェク。残念ながらこの大会、復帰戦、けがで欠場にはなったんですが。更にジョニー・ウィアも戻って来るという中で、アボットが全米チャンピオンとしてね、このアメリカ大会どんな演技を見せるのか」
佐野「まあ、4回転もこのアボットの場合、決めれば非常に良い4回転を持ってますから」
アナ「はい」
佐野「その辺のところでね、どうなるかって所だと思うんですけど」


(最後にトウループの確認中)






アナ「佐藤由香コーチの話では、このアボットちょっと緊張してるんじゃないかというこの大会」

☆☆☆☆☆☆
フィンランディア杯の放送がこの時点ではなく、実質カナダに渡っての試合の放送はこのアメリカ杯が初めてでした。
当時の状況が分かるように、6分間練習の解説は羽生くん以外の部分も全て書き起こしました。
当時の羽生選手は非常に勢いがありましたが、この時の日本のエースは高橋大輔。世界的にはパトリック・チャンが絶対王者として君臨していました。
ソチ五輪を目指し、彼らを打ち破るためにも2本目の4回転が必要だった羽生選手は、ショートプログラムに4トウループ1本、フリーのノートルダムに、トウループとサルコウの4回転を2本入れようとしていました。
この当時、フリーに4回転を2本入れていたのは、他にハビエル・フェルナンデス選手や、コフトゥン選手がいたと思います。
それも前半に2本入れていた時です。
あれから、4年でフリーに4本、5本入れる。しかも後半にも入れるようになるって想像をはるかに越えたスピードで難易度がアップしています。
もちろん羽生選手がその流れを大きく牽引してきたと言えますが

羽生選手は、単に勝つためにだけではなく、フィギュアスケート競技の技術的な発展と、そして自分がどこまでその技術を高めて行けるのかへの挑戦としても、複数の4回転を導入して来ました。
その挑戦の過程をふりかえると共に、オリンピック・プレシーズンの取り組みとして、2012年と2016年の比較の意味で、この試合を見て頂きたいと思います。
NHK杯までにアメリカ杯の記事を終わる予定だったのですが、遅れております!Σ( ̄□ ̄;)
妄想してたからかー

◆下のお写真はお借りしました。ありがとうございます。