会社で残業するのに食糧を買い込みに近くのコンビニへ行ったら、中国人の名札をつけてメガネをかけた大学生くらいの年齢の男性がレジにいた。


夕方だったが、彼は、今起きたばっかりみたいな感じで頭が働かない様子だった。オフィスに戻ってサラダを食べようとしたら割り箸が入っていないじゃないか!手で食べるわけにも行かないので、仕方なくコンビニへまた出かけた。


するとあの兄ちゃんがいた。割り箸が入っていなかったと文句を言うのも疲れ果てている私には面倒だったので、割り箸のセットとカップラーメンを買ったら、このときは割り箸をちゃんと袋に入れてくれた。


品物を袋に入れ、お釣りを渡してくれるのを待ちながら、「ボケてんなぁ、この兄ちゃん」と思いながら、パーマをかけた茶色い髪や顔を見ていたら、メガネをかけているものの、兄ちゃんの顔がとても美形なのに気が付いた。


松山ケンイチとヨン様を足して2で割ったような感じ。きれいな顔だ。色白に茶髪がよく似合う。目もきれいだ。私は思わず見とれてしまった。


そして1日おいて今日、また残業に備えて夕方コンビニへ行くと兄ちゃんがいた。今日は、なんとメガネをかけていなかった。うつむきかげんで、どんな目をしているのか見たいのに目をあわせようとはしない。まつ毛が長い。きれいな二重の目だというのはわかる。


兄ちゃんが言った。「1270円です。」はっ?やばい。100円玉3枚に500円玉を1枚しか出していなかった。「ごめんなさい。」と言ってもう1枚500円をおいた。すると「いいえ。」と言って、兄ちゃんは私の手の平におつりをおいた。すべすべして冷たい指先だった。


オフィスに戻ってトイレで自分の姿を見たら、髪がボウボウで化粧も剥げ落ちて激務でやつれ果てたもう若くない女が1人立っていた。私なんてまったく兄ちゃんの対象ではない。だけど楽しみが1つだけできてうれしい。コンビニの袋を開けた。そうしたらまた割り箸が入っていなかった。



コンビニの中国人