『こころ』を読んで ― 高校生の今、出会えてよかった一冊
高校の授業で『こころ』を扱ったことがきっかけで、興味を持ち、人生で初めて文豪の作品を最初から最後まで読み切った。
正直、授業で読んでいたときは、Kの生い立ちや思想、そして彼がなぜ自殺に至ったのかを考えさせられる物語だと思っていた。
でも、改めて一冊通して読んでみると、そんな単純な話ではなかった。
『こころ』は、人の心の奥底にあるどうしようもない寂しさや、明治から大正へと時代が移り変わる中で、人々の考え方や生き方が揺れ動いていく様子を、静かに、でも確かに描いている作品だと感じた。登場人物たちの葛藤は、時代背景の中にありながら、今を生きる私たちにも通じるものがあるように思う。
高校生のうちに、文学の奥深さをここまで実感できたことが本当に嬉しい。その一方で、今までこうした作品の面白さに気づかずにいたことが少し悔しくなるほど、この作品との出会いは大きかった。
きっと10年後、20年後にもう一度読めば、今とはまったく違う部分に心を動かされるのだろう。
そのとき、自分はどんな人生を歩んでいて、どんな「こころ」でこの物語を読むのか。そんなことを考えさせてくれる一冊だった。