みんまお アバター絵派生SS広場

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「んー…なんというか、もう帰りたい」

街から少し離れた場所にある小さな丘の上で一人ため息を漏らす青年がいた。
青年の名はトキア。それは丹精な顔立ちと頻伽の声が、人間も魔族も限らず女性を虜にしてしまう程の端麗な姿であった。
戦闘の実力も高く、ある部隊の団長を請け負うまでにある。部隊からの信頼も篤く、まさに秀外恵中といったところだ。
一つ欠点をあげるとしたら、それは度を超えた妹への愛情であろうか。
それも欠点かは判断に困るところだがトキアにとって妹の存在は過大とも云えるほどの存在であった。


「どうしたのですか、団長」


大きなため息が空気を切ったところで、トキアのお付である魔獣のリプトが話しかけた。

丘の上では気持ちの良い風が吹き、草木の香りが一面に広がっている。


「なんだか今回の任務、どうしてもやる気が起きないんだ。なんでだろうね」
「さぁ…そういえば、今回の任務って、コキュートス山脈に封印されていた魔族が復活したので、それを調査しにいく内容でしたよね?自分、コキュートスに封印された魔族の話なんて聞いたことありませんよ」
「それは、俺もだ。長年この辺りに住んでいるけれど噂の一つも聞いたことない」
「そんな情報、どこからやってきたのでしょうか…不思議ですね」
「上層部の考える事なんてわかりっこないさ。俺たちは言われた事を成せばいいんだ」
「まあ、そうですね。自分も考えるのは少し苦手です」
「ははは、俺もだ!」


リプトと他愛の無い話をして気を紛らわせる。
リプトはトキアがこの任務に初めから乗り気ではなかった理由が何処と無くわかる気がしていた。
トキアは魔族と人間の間子、つまりハーフである。どちらの種族からも迎え入れられる存在ではない。
部隊の上位者からはそれこそ忌まわしいとの扱いを受けており、今回のような不確かな情報に対して危険が生じるような任務を押し付けられる事が多かった。
トキアにとってはそういう任務を完了させれば功績の糧となるし奨金も随分を羽振りが良いことからあまり苦には思っていなかった。
今いる隊員も、トキアの実力は大いに認め慕っている。それはトキアが今までやってきた努力の成果であり、リプトはそんなトキアのお付である事に誇りを抱いている。

だが、トキアにとってなによりも優先したいものは妹の事で、今回は3ヶ月に会う約束していた妹との日が任務と重なってしまっていた。
トキアの所属する部隊の本拠地からコキュートス山脈まで往復3ヶ月の旅路になる。
それはつまり、妹との約束を破ることになる。トキア自身はどうしてもその約束を破るわけにはいかなかった。
しかし、始めは断るも上長の圧力には敵わず渋々任務を受ける事になった。
だからこそ空いた時間にこうして一人で妹を想い溜息を漏らすのだろう。
隊員が思うことは一つ、早くこの任務を終わらせてトキアが妹に会う日を一日でも早めてやりたいという事だった。


「夕方になると冷えそうですね。そろそろ宿に戻りましょう。隊員も待っていますよ」
「うん、わかった……お?あれは…」
「どうかしました?」
「ああ、日も暮れるというのに向こうの方で人影が見える。一体誰だろう」
「さぁ、旅商人ではないでしょうか?この街にやってきた者でしょう」
「そうか…」


隊員は早々と丘を降りていくがトキアはしばらくその人影を眺めていた。
旅商人が街を転々を歩き回る事は良くあることだがトキアにとって一つ気になる事があった。
それは、自分の過去の記憶に存在するある人物の面影が見えたからである。


「(こんな場所にいるとは思えないが…しかし、よく似ているなぁ)」


それは過去に知り合った人物の仲でも特に記憶に残る人物だった。
確かめてみようか、もしその人なら本当に懐かしい奴だ。挨拶くらいしよう。トキアは気晴らしがてらに丘を降りてその人影が街に着くのを待った。





「もう少しで街だ。今日はもう暗いし、そこの街で宿を探そう」
「うん…エイダン、大丈夫?」
「…大丈夫、大丈夫!」


エイダンとシータは夜を通して歩いていた。
人間よりも体力のある魔族としては1日中歩いたところで然程疲れることはなく、シータは疲れた様子もなく平然と歩いていた。
しかし、エイダンの足取りは重たく表情も疲れ気味だ。
人間の血を引いている事もあり、魔族よりも大分身体機能は低い。さらには、適度な睡眠を必要する体では、慣れない旅は身体的に疲労があった。
こんな状態で敵に襲われたりでもしたらエイダンの首は直ぐに空を切るだろうしシータの足手まといになるだろう。
放浪で急ぎのない旅だから、街を見つけたら出来るだけ休むようにしようとシータが提案した。


「宿、空いてるといいね」
「うん」


しばらくして歩いたところ、やっと街の入り口が見えた。
街は鉄檻のような塀で囲まれており、見えた建物は石造り。屋根は低めで全体的に小さな街だった。
しかし、夕方にになるというのに街からは祭りだ祝いだという大騒ぎの声が聞こえる。
一体なんだろうと思いエイダンとシータは早足に街の門に向かった。
しかし、入り口には街の門番であろう人物が二人程槍を片手に立ち塞がっていた。


「誰だ貴様等は」
「こんにちは、僕たちは西から旅に来た者です」
「西?あっちは人間が住んでいた気が…それに…」

一人の門番がシータの周りをうろうろし、もう一人がエイダンをやたらと嗅ぎ始めた。
訝しげな表情で門番は二人を見やる。

「なんだかなぁ…この女の方は問題なさそうだけど」
「男の方が妙に人間臭いぞ」
「何か隠してないか?」
「いや、何も?ああ、そういえば先程『勇者』と戦った時にそいつの血を浴びたかな」


それは嘘だった。
道中人間とすれ違う事もなく、また魔族と出会う事もなかった。
ただ、エイダンはハーフ独特の匂いは勿論、今まで人間と共に過ごしてきたエイダンにはその臭いが強く染み付いていたのかもしれない。
魔族の中でも凄まじい嗅覚を持った輩がいるが、そういうやつ等の鼻を掻い潜ることは難しいだろう。
しかし、目の前にいる門番等はさほど鼻が良くはないのか、それとも人間が住む土地とあまり距離が離れていないからか、どの道エイダンの言葉の真偽は分からないようでとにかく怪しむだけに睨んでいた。


「今日はずっと歩き続けているんだ、疲れてしまってね。どうにか街に入れてはくれないかな?」
「いや、こんな怪しいやつを街に入れるわけにはいかねぇな」
「ならせめて彼女だけでも…宿に泊めさせてやってくれ」
「うぅん…」


門番の一人が考えるように頭を抱えた。


「どうしたんだ」
「あ、トキア様」
「え…」


突然エイダン達の背中から声が聞こえた。門番はエイダンから目を逸らして声のする方へと目をくれた。
続いてエイダンとシータも背中を振り向くとそこには武器を腰に下げた細身の青年が立っていた。
髪は華やかな桃色で切れ長の目。細笑む表情は妖艶で魅力的な表情だ。
その顔を見た時、エイダンの顔は驚きに満ちていた。
トキア…門番は確かにそう言った。彼の名前だ。
そしてエイダンはその名前の人物を1人だけ知っている。
同じハーフで幼少の頃には共に過ごした懐かしい人物だ。


「トキア…?」
「あぁ、やっぱりエイダンか!久しぶりだな!」


軽快な声でトキアはエイダンに言葉を投げた。
未だ信じられないとでもいうようにエイダンの口は開いたまま塞がらない。


「まぁ、驚くのも無理ないよな。10年近く会っていなかったと思うし、まさかこんな所で会うなんて俺も思っていなかったよ」
「ホントだよ…まさか、君に会えるなんて!」


徐々にエイダンが驚きから嬉々とした表情へと変わり、直ぐトキアに駆け寄った。
こうして近くで見るとお互いの顔立ちや体格など、随分と変化していた事に気付く。それでも昔のように気兼ねない関係で話せる気に違和感は感じなかった。
再会を喜びお互い積もる話をするといわんばかりの時、門番の咳払いが二人の会話を妨げた。


「トキア様、そいつはだれですか?」
「あぁ、エイダンは俺達が幼い頃に一緒に暮らしていた仲なんだ」
「ふむ、お知りあいでしたか、これは失礼しました」


先程とは雰囲気も口調も随分と畏まった門番だった。
トキアに対しては手荒な言葉を使わないところからして、トキアはこの街にとって大事な存在なのかと想像する。

内にシータはエイダンに駆け寄り背中に隠れて肩の隙間からトキアを覗き込んだ。


「エイダン、彼は誰なの?」
「あぁ、シータ、紹介するよ。彼はトキア、昔の馴染みでね、僕の家族みたいな人だよ。トキア、彼女はシータ。よろしく」
「シータ、よろしくな」
「……よろしく」


軽く紹介を済ませ、トキアは門番のところに歩み寄りエイダンについて弁護した。
門番が「トキア様のお知りあいでしたらどうぞ」と躊躇もなく言うので、すんなりと街に入れてくれることになったのだ。

門を潜ると初めに聞こえた祭りのような騒ぎ声はすぐ近くで聞こえた。
街を見渡すとそこには魔族同士が会話を楽しんだり、忙々と街を駆け巡っていたり、物を売ったりしている。
その光景を見るとエイダンはふと人間の街を思い出した。どこの街でもどの種族でも同じような生活をしている事に変わりないなと感じる。
そして騒ぎは大層楽しそうなもので、軽調な音楽が流れ、衣装を着た女達がくるくる踊り、酒を片手に男が大笑いし、食べ物を運ぶ女は忙しそうにしていた。
何かのお祝いかとエイダンがトキアに聞くと、この街ではいつもお祝いをしている気がすると答えた。


「街を歩けば酒や食い物だと次々に差し出してくる。もう三日続けてこんな状態さ」
「門番といい、トキアは随分と気に入られているようだ。ずっとこの街にいるの?」
「いや、つい先日来たばかりさ。ただ着いた時、丁度この街が勇者の侵略に遭っていた時でね、それは散々な光景だったよ」


その言葉とともにトキアの表情が曇り掛かった。
勇者が魔族の住む街を巡り破壊していく話は聞いていた。エイダンの住む街では勇者の存在はまさに栄光讃えられし存在。しかし、魔族からすればそれは死を呼ぶ悪魔でしかない。
その事が心の底で引っかかるも、さぁこの話はまた後にして、という様にトキアが一変して表情に明るさを戻し、エイダンの肩に思いっきり腕をより掛けた。


「そんな事より、積もる話もある。急ぎの用でもなければ少し付き合ってくれよ。それに、お付の女性にも興味あるしな」


トキアは手軽そうにシータにウインクを投掛ける。
シータは一瞬驚いた表情を見せるが直ぐに口紐をきつく閉じてしまった。
あまりこういう人物には慣れていないせいか、またはエイダンの他に話す人は随分といなかったせいか、シータは自らトキアと話すような事はしなかった。


「俺、警戒されてるのかな?」
「シータはいつもこうなんだ。人馴れしないの」
「へぇ、そうか。まぁ、初対面だしな、仕方ないか。とにかく宿に行こう。そこならゆっくりできるさ」


再会した時と同じ様にトキアは妖美に細笑んだ。


早速エイダン達はトキアに街を案内されながら、宿にたどり着いた。
トキアが宿屋の女将に話を進めてくれた為に今夜はこの宿で泊まれる事になったエイダンはとりあえず一息ついたとばかりに安堵の息を漏らした。
シータが心配そうにエイダンの背中を擦る。


「二部屋なら4000ルピだってさ、金は持ってるのか?」
「うん、幾らかは持ってるけど…」


4000ルピといえば服がセットで購入できる程度だ。
しかし、エイダンとシータの所持金からして決して安いという金額ではない。
この先長くなるかもしれない事を見越すとあまり余分なお金を使うことは出来なかった。


「一部屋だけでいいかな?」


その一言と共に宿屋の女将は口角を上げ、トキアは驚いた表情に変わる。
すかさずトキアがエイダンの肩を掴んでそのまま部屋の隅に連れて行き、少しシータから離れたところで声を潜めた。
つられてエイダンもトキアに耳を傾ける。


「お前…随分成長したな…」
「え?どういうこと?」
「え?…いや、だからさ。あの子とそういう関係なの?」
「そういうって…」
「恋人なのかって聞いてるんだよ」


始め、何を言っているのか理解していないのかエイダンだったが、最後のトキアの言葉に一瞬で顔から耳まで真っ赤に染まった。
慌てた口調で否定をする。


「ち、違うよ!シータとはただの友達だよ…」
「なんだ、違うのか?二人で旅なんてするからまさかとは思っていたんだけどな」
「なっ!何言ってるんだよっ、そそそ、そんな事…」
「落ち着けって…まぁ、一応一部屋借りて、何かあればお前は俺の部屋で寝ればいいだろ」
「うん…」


トキアが変な事を言わなければな…と心の中で呟くが時既に遅く、シータを横目で見ては目を逸らしてしまうエイダンだった。
シータが訝しげな顔でこちらをじっと見ているので直ぐにトキアはエイダンの肩を掴んだ手を解き女将に一部屋頼んだ。


「白昼は大騒ぎだけど、夜は意外に静かなんだ。あまり騒いだりしないようにしなよ」


女将はそう言いながらも表情は柔らかく、察したとでも言いたげに一部屋分の鍵をエイダンに差し出す。
その表情の真意は裏目であるが何も言える事はなく、エイダンは面映くなり、俯いたまま2000ルピを女将に渡して鍵を受け取った。


「少ししたらお前の部屋に行くから」


トキアは笑みながら先に自分の部屋へと駆け足に宿の二階へ向かっていった。

部屋の番号を確認し向かうと中はこじんまりとした空間でベッドが一つと二人程座れそうなソファが置いてあるだけだった。
ベッドは綺麗にシーツに包まり、寝心地の良さそうなものだ。
ソファも座り触りがよく体の疲れも十分に取れるだろう。
小さな窓からは街が見えて賑わいが伺える。


「いい部屋だね」
「そうね」


エイダンの言葉にシータは短く答えた。
どこかつまらなそうな表情だ。
シータを良く知らない者からすればそう表情が変わる事など気付かないだろう。それ程シータの表情は無に近いものだが、付き合いの長いエイダンにはその変化も直ぐに気が付く事だった。


「どうしたの?」
「なんでもない」
「そうかな、浮かない顔だけど…」
「……」


エイダンがソファに寄りかかるとシータも隣に座る。
そして、そのまま腰を曲げてエイダンの膝に頭を寄りかけた。
この行動がシータの甘えである事をエイダンは知っていた。
頭を撫でてやると少しだけシータの硬い表情が和らぐ。


「さっきぶりだな、エイダン。少しは顔も冷めた…ん?」


ノックもせずトキアはエイダン達の部屋のドアを勢い良く開け中に入ってきた。
それにはっとエイダンはシータの頭を無理やり起こして髪の毛を整えてやるが既に遅く、トキアはその光景を見て再び顔をにやつかせた。


「おいおい、本当は付き合ってないなんて嘘だろう?熱いじゃないか」
「今のは違うって!」
「ん?違うって?女の子の頭を膝に乗せる事が違うって?」
「えっと…それは…」


うまく弁解が出来ずに言葉を濁してしまうエイダンにトキアは腹を抱えて笑い出した。
意地悪だな…とエイダンは悪態をつくがそんな事も気にせずにしばらくトキアの笑い声は収まら無かった。

少しして笑いつくしたかのようにトキアが息を大きく吸ってベッドに腰を下ろす。


「笑いすぎだよ」
「ごめんごめん、あまりにお前が慌てるからつい…シータもごめんな。ちゃんとノックして入るべきだったよ」
「…私は気にしない」
「へぇ、こっちはノリ気だったりする?」
「その話はやめようよっ」


再びトキアが喉を鳴らして笑いを堪え、さて話を変えるかと前かがみになり二人をじっと見つめ、昔話を切り出す。


「まあ、本当に懐かしいよ。お前にあえて良かった」
「僕もだよ」
「人間の街はどんな感じだった?」
「トキア達と暮らしてた時と変わらないよ。皆良い人達ばかりだったよ…」
「過去形だな…それに、引っ越した街はここからだと随分西の方じゃないか、…何かあったのか?」


トキアの質問に対してエイダンは苦虫を噛み潰したような顔で今まで街で遭った事を話した。
随分と暗い話になってしまったがそれまでに至る人間の街で暮らしていた事やシータと出合った話など、話し始めると尽きない程多くの記憶が蘇る。
同時に住んでいた街の雰囲気が恋しくなった。



「やっぱり人間にもハーフっていうのは受け入れられないもんだな」
「そうだね、人間にとっては脅威だもの。魔族にとっては恥曝しだなんていわれるしね」

「シータは魔族の純血か?」
「そうよ」
「でも何でまた人間の街の近くに住んでいたりしたんだよ」
「……色々あるの」


頬を膨らませてシータはトキアの質問に答えを逸らした。
それ以上はトキアも聞くことはしなかった。


「そういえば、エイダン。お前の母さんはどうしたんだ?」
「5年前に亡くなったよ。あまり体の丈夫な人じゃなかったしね」
「そうか。まあ、最後に自分と同じ種族の街で過ごせたんなら悔いもないだろうよ」
「そうだね、幸せそうだったよ」
「なら良かった」


「お前は?これからどうするんだ?」
「まだ決めていない。けれど、あまり種族にこだわらない地へ行きたいね」
「ならハーフの街に戻ってこいよ。多分、そこならシータも受け入れてくれるぜ」
「んー、ならいいんだけど」
「大丈夫だよ。街の人もお前の事忘れてないし、連れの女の子なら大歓迎だろうよ」
「そうなの?覚えててくれてるのか。嬉しいな」
「俺はこの後しばらく街には戻れないけど、まあお前なら街にたどり着けるだろう?」
「うん。トキアは用事があるの?」
「ああ、俺は今部隊に所属しているからな。今任務中なんだ」
「何かの討伐?」
「コキュートスの方でちょっと問題があってな。詳細は極秘任務だから言えないけど」
「そうなんだ。大変だね。コキュートスといったら随分遠いじゃないか」
「ああ、でもまぁ遠征なんていつものことだし。今回も早めに終わらせて帰る予定。…妹にも会いに行きたいしな」


「そうだ、妹さんは元気?」
「ああ、元気だぜ。随分成長して色付いてきたんだぜ」
「そうなんだ。やっぱり会ってみたいよ」
「もう少し年が経てばあいつも村を出てこれるようになるぜ。そしたら会わせてやるよ」
「うん、楽しみにしてる」
「大事な妹なんだ、惚れたりして手出すなよ?」
「トキアに殺されたくは無いからね…」


雑談を楽しんでいるとあっという間に時間は経ち既にあたりは暗く街のあちこちは街灯で照らされていた。
気付けば祭り騒ぎも随分を落ち着いた様子だった。


「話込んじゃったな。疲れてるのに悪いな」

「いや、いいんだよ、楽しかった」

「そうだ、二人は明日もこの街にいるか?」

「それはまだ決めていなかった。シータ、どうする?」

「エイダンに任せるわ」

「そっか。うーん…まだわからないや」

「ほう、もし明日もゆっくりしてるなら観光がてら街を案内してやるよ」

「そう?まあ考えておくよ。今日はもう今にでも眠りそう…」

「はは、お疲れさん。ゆっくり休めよ」


一頻り話が済んだところでトキアは部屋を出た。
それを見送るとすかさずエイダンはソファにもたれかかった。


「今日はもう寝よう。明日またゆっくりしよう」

「うん、そうだね。あ、ごめんね、シータ。昔話に付き合わせちゃって…」

「いいの、エイダンの幼い頃の話が聞けたから」

「う、うーん…恥ずかしいなぁ…」

エイダンが乾いた笑みを浮かべ、シータが小さく微笑んだ。

「シータも疲れたろう?ベッドでお休み」

「ううん。エイダンと一緒に寝るよ」

「さすがにベッドが狭すぎるさ、窮屈で休めないよ」

「でもエイダンは何処で寝るの?」

「僕はここ、ソファで寝るよ。気に入ったんだ。座り心地が良いからきっとよく眠れるよ」

「…体痛くならない?」

「大丈夫だよ」

「わかった…おやすみ」

「うん、おやすみ、シータ」


シータがブーツを脱いでベッドに潜り込むのを確認してからエイダンは部屋の明かりを消した。
始めに女将から羽毛を借りていたのでそれを体に巻きつけてエイダンもソファに寝転ぶ。
睡魔は当にやってきたので目を閉じれば間もなくエイダンは深い眠りに就くのだった。






【調整が必要なところ】
①トキアとの出会う場所
②ビスと会っていない期間(会話中)