仕事帰りに最寄駅に到着。

自転車で息子を迎えに行こうとしたら何やら視線を感じた。

渡辺さんと他数人がこっちを見ていた。


無視して帰ろうとしたら呼び止められた。

いったいなんの用?

渡辺さんが照れ臭そうにこう言った。


渡「結婚間近の女性がいるって同僚に話したら是非会ってみたいって言うもんだから飲み会の前に連れて来たんだ。」


‥‥結婚間近じゃないし。


同僚さんの1人がこう言った。


同「初めまして。いつもお噂は予々。うちのおばはんって言うからもっと歳上の人かと思ってたら若くて驚きましたよ。」


私「そうですか。」


同「渡辺さんの何処が良かったんですか?」


私が聞きたいくらいだよ。

いい機会だから同僚さん達に私の気持ちを聞いてもらおう。


私「時間がないのでかいつまんで言います。先ずは結婚間近ではありません。

父が亡くなった時側にいてくれたのでいいなと思ったことはありましたが、今は大嫌いです。」


ここでえ?と言う顔をした皆さん。

そのまま続けた。


私「私が作った食事を不味そうに食べて文句言うし、私の子供を泣かせるし、汚れた洗濯物をわざわざ持ってくるし、もううんざりなんです。

挙句に勝手に合鍵作って私がいない間にお鍋のものを食べるし。これって不法侵入ですよね?

今すぐ鍵返してください。

偉そうにウチでふんぞり帰ってますが食費もらってないんですよ!おかしいと思いません?

何度も来ないでって言ってるのに都合の悪いことは聞こえないみたいで辟易してます。

皆さんが証人になってください。

もう会いたくないんです。

鍵返して。

二度と私と息子に近寄らないで。」


驚く同僚さんと鳩が豆鉄砲を食ったような顔の渡辺さん。


同僚さんの1人が鍵返した方がいいですよと言ってくれたので、渡辺さんはキーケースから1つ外し、震える手で私に差し出した。