確かに最初に甘やかしたのは私だ。
洗濯も料理も1人分増えたとしてもさほど苦にはならないと思っていた。
だからと言って私が作ったご飯を当たり前のように完食し、味付けがどうこうとダメ出しされたらやっぱりムカつく。
わざわざ家から洗濯物の山ををウチに持って来て、アイロン掛けまでやらされた挙句あまり綺麗になってないねと言われた。
なら自分でやりなよと言ったら無責任と言われた。
そうそう
渡辺さんはコーヒーを半日かけて飲む。
朝私が淹れたものを冷たくなってもゆっくり自分のペースで飲む。
だからいつまで経ってもテーブルにカップが置きっぱなしの状態になる。
まぁ、別にそれは構わないのだけど、そのことでちょっとした事件が起きた。
常にカップにコーヒーが入ったままだからか、底が真っ黒になっていた。
ある日、漂白剤を入れ水を張ってシンクに置いていた。
しばらく放置している間に他の家事をしていたら、キッチンで渡辺さんが大声で叫んでいた。
なんと、漂白剤とは知らずに飲んだらしい。
俺を殺す気か!と怒っていたけど、普通に考えてシンクに置いてある得体の知れない液体を飲もうと思う方がおかしいと思うんだけど。
なんて言うか‥‥
渡辺さんは、今まで出会ったクズ達をミックスさせたような人だった。