叔母から聞いた話はこうだった。
夜いつものようにお休みと寝室に行った父。
翌朝になっても起きてこない。
とっとと朝ごはんを食べて欲しい母。
パジャマも早く洗濯したい。
怒りながら寝室に入ると父は既に冷たくなっていた。
すぐに救急車を呼んだ母。
病院以外で亡くなった場合、警察を呼んでくださいと救急隊員に言われてその通りにした。
事件性はないと判断され、お通夜とお葬式の準備をすることに。
ここで真っ先に母がしたこと。
美容院に行って頭髪を整えた。
段取りが分からないと嘘泣きし、全て叔母と叔父に丸投げした母。
何も分からないと言いながら、香典の金額だけはこまめにチェック。
娘に知らせたのに面倒くさいから行かないって言われたよ親不孝だよねと嘘を言った。
父は心不全と診断された。
解剖の結果、苦しむことなく荼毘に干された、たぶん本人がいちばん驚いてると思うと言われた。
‥‥苦しまなかったのか。不幸中の幸いだ。
叔母には本当のことを言った。
亡くなったと連絡があったのはつい最近のこと。
遺産は渡さないから相続放棄しろと言われたこと。
金輪際会わないと約束した。なので私を探そうとしてても居場所を言わないで欲しいと伝えた。
そんなことだろうと思ったと叔母は呆れていた。
父がいろいろお世話になりましたとお礼を言い、電話を切った。