この本は、ある哲学者がガンが悪化して亡くなるまでの2ヶ月ほど、人類学者との間で交わされた書簡を中心としています。


哲学者である宮野さんは治療不可のがんであり、肝臓を含む多発転移がある状態でした。

その後息切れを感じ、モルヒネを使い始め、骨転移からモルヒネでも効かないほどの痛みが生じ最終的になくなりました。


その間、宮野さんからの働きかけで、人類学者である磯野さんとの往復書簡で「自分の病気をネタにして」(ご本人がそう言っている)不確実性やリスクについて専門的に深めてみようとした物だったのが、最終的には命を終えることで本が終わってしまったのでした。


この本は難しくて、図書館で借りて一読しただけではあんまりよくわかっていないため、今度は購入して読もうと思っていますが、

現時点での読後感をメモしておこうと思います。


さらっと内容的なものを以下に記載(私の捉え方)

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まず、哲学者の宮野さんは専門家としての医者からの情報をもとに合理的な選択をしようと試みます。

医者からの情報は判断材料としての専門的なものしか必要とせず、「もし家族だったら」みたいな情緒を入れようとする他者に対して、それは違うと憤ります。

専門的な情報をもとにして不確実性を排除して見積もりをします。

その中で慎重に行動するのではなく、できる限り貪欲に行動して成果を残そうとします。


「治ったら」とか「もしこうだったら」ではなく、今やる。


しかし、どれだけ合理的に判断しようとしても不確実性があります。


不確実性は

かぜの場合は「不運」でおわるけど、

がんの場合は「不幸」になりうる。


不幸になるのは、死ぬかも知れないからだけど、でも死は誰にでもおとづれるからそれだけでもない。


プラスアルファ、他者との関わり方。


かわいそうにと言われて、「不幸」の枠に押し込まれるのではなく、

正当な(?)人とのやり取りの中で、心を通わせたり約束したりすることで、

起こった点としての出来事をラインとしての線に変えて関係性を作って生きることで未来に繋げる。


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みたいなことが、本の中身だと捉えました。


で、私も今、ガンでステージ4になったけど、

調べた通りにならないなあと思っているところだったので、

ちょっと参考になったりならなかったりしています。


たとえば胸膜播種だったら水が溜まるはずだけど、2年以上溜まってないなあとか。

再々再発の頃の見積もりでは、そろそろ死んでる予定だったのになあ、とか。


これを医者に聞いても調べても、その部分は偶然の範疇なんだろうから、無駄なことだということでしょう。

で、魂を通わせられそうな人がいなさそうな私としては、

2年半後に世界一周に行こうと思っていたけども、

とりあえず、とっとと空いてる時間で沖縄に行こう、と思います。