ユノさんは、僕の体を離すと
今度は手を握り締めた

「チャンミン
   俺が1番見せたかったものがある」

そう言うと、2階へと上がり始める
そこには二つ部屋があった

「ここは?」

僕は片方の扉を指して尋ねた

「君の部屋だよ」

「僕の部屋?」

それって、どういうことだろう?
僕達は別々に寝るってこと…?
これが一番見せたかったものなのかな…

そんな想いが顔に出てしまったのか
ユノさんが微笑みを浮かべ

「そしてここが、俺たちの寝室」

ゆっくりと、2つ目の扉を開いた

部屋の中央には
白いシルクのカバーが掛けられた
大きなベッドがあった

ユノさんはそのベッドに近づき腰掛けると
僕を手招きして呼んだ

「チャンミン…ここに来てごらん」

僕は言われるがまま
ベッドに近づいた

するとユノさんが僕の手を引っ張るから
その勢いで僕達は2人とも
ベッドに仰向けになってしまった

「ユノさん?」

驚いてユノさんを見ると

「チャンミン…見て」

天井を指差した
ユノさんの指をたどって上を向くと
そこには広い天窓があった
その窓からは輝く星々が見える

「うわぁ   星が見える!」

あまりに綺麗で僕は見惚れた

「綺麗だろう?
   これが俺からの1番のプレゼント
   ここは高台にあって
   周りに灯りがあまり無いから
   星がたくさん見えるんだ」

「ユノさん…もしかしたら…?」

「そう  この天窓をつけたくて
    設計を変更したから
   この日までギリギリになったんだ」

「じゃあ  大きな契約の仕事というのも?」

「うん  この家の事だ
    1日も早く一緒に暮らせる家を
    完成させたかったんだ」

僕が寂しい思いをしたのはこの為…

この人はこの日に間に合わせる為に
いろんなことを犠牲にしてくれたんだろう

そして…寂しいと感じていた自分を
恥ずかしいとも思った

それを一番わかってくれていたのは
ユノさんだったんだ…

「でも…他の仕事は?」

「俺達の家の方が大事に決まってる」

そう言い切るユノさんに
僕は何も言えなかった

「俺にはチャンミンの方が大切だよ
    君といる時が1番幸せなんだ」

僕は貴方を幸せに出来ていたんだ…
溢れる涙が頬を伝いシーツを濡らした


ユノさんは僕に被さるように
体を覗き込むと
涙を拭ってくれた

「チャンミン…」

そして…そのまま
僕の指に自分の指を絡ませると
僕に深い口づけを落とした

「ユノさん…」

僕はそれを受けながら
ユノさんの温もりに包まれて幸せだった

僕を愛してくれる事
そして…大切にしてくれる事

僕は、この人に何を返せるのだろう

でも…今は何も考えず
この人との今この時を大切にしたい

僕は…ユノさんの触れる指の感触に
身を任せた

心地よい快感に溺れながら
ふと天井に目をやると
空に輝く星が落ちて来るような
感覚に襲われた

「あっ?」

僕が声を上げると
ユノさんが動きを止めて
僕の顔を除き込んだ

「チャンミン   どうした?」

「ユノさん  雪が降ってる」

雪が天井のライトに照らされて
星が降ったように見えてだんだ

「綺麗だ…」
  
そう言ってため息を吐くと
ユノさんさんはくすっと笑って
僕の額にキスをした

「チャンミン…君の望みは叶ったか?」

「ユノさん?」

「俺は前にも行ったけど
   仕事に熱中すると他が見えなくなるから
   君に寂しい思いをさせてばかりだった
   
   だけど、これから一緒に暮らせば
   何時も一緒にいられる」

ユノさんは真剣な眼差しで
僕を見つめてる

「ユノさん…
    僕も貴方にずっとそばにいて欲しい…」

「チャンミン…愛してる」

「ユノさん…僕も…」
  
僕達はどちらともなく唇を求めあった
お互いの気持ちが重なり
再び身体が火がついたように熱くなった

ユノさんも同じなのだろう
ゆっくりと動き始めた…

まるで、夜空の下で抱かれているよう…


こんな素敵なプレゼントのお返しに
僕は、ここを
ユノさんが癒される場所にすると心に決めた



白い雪が舞う夜
僕達の新しい家で
2人迎えるクリスマスは
今までで最高の1日になった

もちろん、一緒に暮らし始めるのは
僕が仕事を辞めてからになると思う

だけど…
ユノさんが僕の為に作ってくれたこの家
ここから僕達の新しい一歩が始まる

2人で永遠に続く道への…