「君の気持ちを…聞かせて欲しい…」

そう言ったユノさんに
どう返事をしたらいいのか…

僕が答えに、困っていると
ユノさんは…

「ごめん…君を困らせたね」

そう言って、少し寂しそうに
笑った…

「返事はいらないって…言ったのに
やっぱり…俺は…わがままだな…」

そんな言葉を、ぽつりと呟いたユノさん

その姿を見つめて…

「そんな事ありません!」

僕は、思わず大きな声を出した

ユノさんに、悲しい顔をして欲しくなくて…
ユノさんに…笑って欲しくて…

僕は、勇気を出して言ったんだ…

「あなたの事が…好きです…」

ユノさんは…驚いた顔をして
僕の顔を見つめた

そして…ゆっくりと僕に近づくと

「ありがとう…」

僕の腕を引っ張った…

気がつくと、僕はユノさんの
胸の中にすっぽりと包まれていた

冬の海辺で…人影が無いとはいえ
まだ、明るい空の下で
ユノさんに抱きしめられている自分か
少し…恥ずかしかった…

ユノさんの胸に
顔を埋めるように抱きついた…

そんな僕を見て
ユノさんは…僕の顔に
自分の顔を近づけると

「俺の…部屋にいかないか?」

囁くように
そう言ってくれたんだ

このまま…
ユノさんに触れていたい気持ちを
強く感じて
僕はこくりと頷いた

だけど…ふと気がついて
思わず、ユノさんに尋ねた

「でも…家政婦さんが…」

僕が、気にしているのを知って

「この時間には…彼女は帰っているよ
通いで来てもらっているから…」

ユノさんは
柔らかい視線を僕に向けて
僕の顔を覗き込んだ

その返事を聞いて
なんだか…僕が…
変な期待をしているみたいで
急に恥ずかしくなって
赤い顔をして、ユノさんを見上げた

「俺も…二人きりがいいから…」

そう言って、くすりと笑うと
ユノさんは、僕の手を引いて
歩き出していた…