「はじめまして、
キム スンミです
よろしくお願いします」

事務員として、勤めてくれる
スンミ
長いウェーブがかかった髪
スラリと細身の身体なのに
ふっくらとした胸

俺とジュンは
同時に恋に落ちてしまった

そして、彼女が選んでくれたのは
俺だった

スンミは、ちょっと勝ち気だけど
それでいて、細かいところに
気配りしてくれる
とても、魅力的な女性だった

「ユノ、今日は何を食べたい?」

「うーん、ロールキャベツが
いいな」

料理も得意で、
夜遅く帰ってくる俺を
マンションで待っていてくれる

クタクタになって帰っても
美味しい料理を作って
待っていてくれる人がいて
彼女を抱きしめながら
眠る毎日

充実していて、仕事に燃えていて
何をやっても、楽しかった

そんなある日

今までにない、大きな仕事が
舞い込んできた

大手企業が、新しく作る美術館

その設計のコンペに
俺達の会社も参加することになった

この仕事が取れれば
俺達の会社の未来は安泰なる
俺達にとっては、
大きなチャンスだ

「ユノ、提案があるんだけど」

仕事の打ち合わせの時に
ジュンが言った

「何だ?」

「今度の仕事さ…
俺とお前とそれぞれで
設計してみないか?」

「急になんで?」

俺は戸惑った
いつも、アイディアを出し合って
共同で設計をしてきたから
何故、こんなことを言うのかとも
不思議に思った

「いつも一緒に作ってきたけどさ
今度は、俺も腕試しをしてみたい

こんなに、大きな仕事なんだ
自分の実力、試してみたい」

そんな事を言い出したジュンに
嫌だとは言えなかった

3ヶ月後に
社内コンペを行い
俺かジュンの、どちらかの
作品を出品することに決まった