少しの着替えだけを持って
僕はwithに行った

ユノさんには
今日、僕が家を出る事は
連絡している

「本当に、いいのか?」
ユノさんは、心配そうに
僕に聞いてくれた

「僕が、そうしたいんです」
僕は、はっきりとそう返事したから
ユノさんは
それ以上、何も言わないでくれた

「この部屋に住むといい」
ユノさんの一言で
僕は、withにあるプライベートルームで
しばらく暮らす事になった

父さんを説得する為に
外出をせずに
一週間過ごしたから、体が鈍っている

僕は、久しぶりにユノさんと
長い時間レッスンをした

ああ、やっぱり
僕はこの時間が好きなんだ…

少し、離れたことで
自分が本当にダンスが好きなんだと
感じる事が出来た

ユノさんの動く背中を見ながら
後を追う様に
体が自然に動く

その内に、動きが追いついていって
僕はユノさんと同じペースに
なっていく

ユノさんと同じ様には
踊れないけど
少しでも、この人に近づきたい

家を出た事で
余計に、その思いが強くなった

今は、何も諦めたくない
初めて自分で開いた
人生のドア

間違っているかもしれないけど
僕はこのまま進んでみたいんだ




そして、一か月程
ユノさんとのレッスンと
withでのバイトを続けたある日

ユノさんに連れられて
ユノさんが以前所属していた
芸能事務所に行くことになった