その日、イベントの打ち合わせ
のために、取引先に向かった

その会社の製品を宣伝するために
大きな会場を借り
タレントを呼んで、大々的な
イベントを行う予定で
僕の会社M企画にとっても
特に大きな物件だ

イベント会場を決定して
確認をとろうと、打ち合わせの部屋を
出た時、前方から見慣れた姿が
やってくるのが見えた

「えっ⁉︎」

この場所で見掛けるはずがない
その人影から、身を隠して
やり過ごした

「あの、すみません
    さっき通り過ぎた人達の
    先頭にいた方はどなたですか?」

通りかかった、この会社の社員に
尋ねた

「ああ、あの人は
   親会社の監査室の
   チョン  ユンホさんですよ
   先月の監査の結果を報告に
   こられたんじゃないかな
 
   あの人は、親会社の
   社長の次男ですよ
   跡継ぎではないけど
   いずれは、重役かな?」

ユノさんが、この会社の関係者

初めて、知った事実に
かなり、ショックを受けた

彼は自分の事を何も話しては
いなかったから
嘘をついているわけではないけど
何故か、納得できなかった

それに出張と言っていた
3週間は、まだたってない

アメリカ行きは嘘だったの?
何故、国内のこの会社にいるの?

僕に嘘をついて
あなたは何をしていたの?

頭の中で、いろんな事実が
ぐるぐる回って
気持ちの整理できない僕は
気分が悪くなって
その場にしゃがみ込んでしまった

「君、大丈夫?」

聞き慣れた声が後ろから
聞こえた

僕は振り返った

「ユノさん…」

ユノさんは、
僕を見てびっくりしていた

「チャンミン!大丈夫か?
    顔色が真っ青だ!」

ユノさんは驚いて
僕に駆け寄り、抱き起こそうと
肩に手を伸ばした

バシッ

僕はその手を払い除けて

「僕に触るな!」

と、言った

「僕に触らないで…」

もう一度そう言いながら
僕は、そのまま意識を失って
倒れてしまった