契約書の調印が終わった後
部屋を出て行こうとした僕は
スホさんに呼び止められた

「ジュネルさん、お時間を
    少し、とってもらえませんか?
    これからのことを
    話し合いたいと思います」

「私も同席します」

ソンホさんがそう行ったが
スホさんは首を横に振った

「ジュネルさんのマネージメントは
   我々の仕事になります
   これからのことをは
   彼と、直接話し合います」

スホさんは
僕に近づこうとする
ソンホさんを遮るようにして
僕をテヨンさんの前に押しやった

テヨンさんは
僕の肩に手をおいて
呆気に取られて呆然としている
ソンホさんを横目で見ながら
僕を促して、三人で部屋を出てた

会社の建物を出ると
車に乗せらて
何処かへ向かう

そして、連れて来られたのは
とある
ホテルのスィートルームだった
いつのまにか
僕はテヨンさんと
二人きりになってた

これから何が起こるんだろうと
身がまえる僕

テヨンさんは笑いながら

「誤解しないでください
   誰にも邪魔されずに
   話しをしたかっただけだから」

そう言って、僕を部屋に
招き入れた
広い部屋の中央にある
ソファに二人、腰掛けると
テヨンさんはじっと僕の顔を
見つめた

「私は、あなたに直接会って
    確かめたかったんです
    あなたが、どんな人物なのか

    あなたに、どれだけの
    価値があるのかを…

    あなたは、私が
    思った以上の人でした
    ジュネルさん」

テヨンさんは、
僕の瞳を真っ直ぐに見つめてる


「ジュネルさん….
   あなた
   本当にワールドツアーに出たいと
   思っていますか?」

いきなり切り出されて
僕はテヨンさんの言葉の意味が
理解できなかった

「どういう意味ですか?」

「あなたの本心が、知りたいんです」

テヨンさんは、優しい瞳をむけて
僕をみつめている

この人は何でこんな事聞くんだろうと
不思議に思った

この人に、僕の思いを打ち明けても
いいの?
本当は嫌なんだって
こんな事、したくないんだって
言ってしまっていいの?

わからないけど
ユノさんと同じ位
優しい瞳を見ている内に
僕は思っていることを
打ち明けたくなった

これまでの全ての思いを
テヨンさんにぶつけていた

テヨンさんは
僕の言葉をじっと聞いてくれた

全てを聞き終えると
テヨンさんは静かに口を開いた

「あなたに会わせたい人が
    いるんです」

そう言うと、テヨンさんは
寝室につながるドアを
開いた

僕は自分の目を
疑った

そこに立っていたのは
僕が一番会いたかった人だったから

「ユノさん!」