ここでの生活は楽しかった
今まで経験出来なかった
普通の生活ができた

僕の唯一趣味だった料理作りも、
テミン喜んでくれたから
役に立ったし、嬉しかった

ゲームをしたり、ショッピングしたり
僕があんな生活を選ばなければ
ずっと前に手にしていたんだと
思ったら
ジュネルとしての生活に
未練なんかなかった

ただ、時々スヒのことを思って
心が痛んだ

でも
このままチャンミンとして
ユノさん達と暮らしたい

それが僕の唯一の望み

ある日不安になって
このままここにいていいのか
ユノさんに確かめた

ユノさんは
本当に優しい

僕の不安を取り除くように
安心できるように
僕に語りかけてくれる

人を信じられなくて
逃げてきた僕の心に
ユノさんの
暖かさが、しみてくる
ずっと、ユノさんと
一緒にいたい
心からそう思った


なのに
ある日みんなで行った
ショッピングモールで

「ジュネルさんではないですか?」

いきなり声をかけれた
きっと、コンサートに来たことの
ある人なんだ
ピアニストの僕を知っている人の
中には、
ジュネルが僕であることを
知っている人達がいる


僕がジュネルであることは
ユノさん達は
知らない

ソウルから離れたこの街に
知っている人がいるとは
思わなかった

とても不安で仕方なかった

でも、何事もなく
月日は過ぎていった
だから
安心してしまってたんだ