「この人誰?」

ある日店に遊びに来た
いとこのテミンが
チャンミンを見て
不思議そうに尋ねた

「あ、僕は…」

不躾なテミンの視線に
チャンミンは、どぎまぎしながら
俺を振り返った

「彼はチャンミン
    ここに住み込みで
   手伝ってもらってる」

「へえ~、住み込み
   なおさらびっくりだ
  チャンミンさん、僕はユノヒョンの
  いとこのテミン
  よろしくね」

「こ、こちらこそ
   よろしくお願いします」

チャンミンは、伏せ目がちに
頭を下げた
彼は人見知りなのか、
必要以上には話したがらない

それとは対象的なテミンは
チャンミンに興味をもったらしく
あれこれ聞きたがった

「チャンミンさんはいくつ?」

「24です」

「以外、僕と同じくらいと思った」

本当だ、俺もチャンミンのこと
20歳くらいだと思ってた

チャンミンは
あまり自分の事を話したがらないから
俺も敢えては聞いていない

何か悩みを抱えているようで
時々大きなため息をつく

事情があって、この街に
やってきたようだ

それだけは
なんとなく、わかった

彼の儚げな印象のせいか
なんとなく、守ってあげたいと
思ってしまう
自分が不思議だった

「ねえ、何で住み込みなんて
   してるの?
   ユノヒョンが他人を受け入れるって
   珍しいよね」

本当にテミンは遠慮を知らない
それが、可愛いいとこでもあるが
返事に困る

「なんだそれ」

「だって~、人が嫌いだから
   こんな流行らない店やってんだろ?」

「そんなんじゃねーよ。
   型にはめられるのが嫌いなだけだよ
   だから、会社勤めが出来ねーの
  人が嫌いだったら、客商売は
   出来だろう」

大学は卒業したが、結局
会社勤めしないまま
じいさんの店を継いだのは
それも理由のひとつだった

「そっか、そうだよね。
   でも、なんでチャンミンさんは
   ここにいるの?」


「あの…」

チャンミンは困ったように
また、目を伏せて俯いた

「俺が、かたずけベタだから
   綺麗にしてもらってんの」

実際、チャンミンはとても
綺麗好きで
彼が来てくれてから
店の中が小ざっぱりしてきた

常連さんにも、
居心地よくなったって
言われたっけ

「あ!だからか。
   今日はなんか、店の感じ違うと
   思ったんだ
  なんか、ちゃんと営業してる
  店らしくなった」

「なんだそれ?」

「チャンミンさんに感謝しないとね
   ユノヒョン!」

テミンは、ニヤリと笑いながら
チャンミンを見た
チャンミンはきょとんとした顔を
して俺を見ている

「本当。チャンミンが
   綺麗好きで助かったよ」

俺がそう言うと
チャンミンは
本当に嬉しそうに
輝くような笑顔を見せた

そうして
少しづつ、
ここに馴染んでくれれば
いいなと思った