目のかすみ・乾燥肌・免疫力の低下…“ビタミンA”不足のサインです
スマホの画面がぼやけて見える。
肌がカサつき、どんな保湿をしても追いつかない。
風邪をひきやすくなり、治りも遅い──
もし、これらの悩みに心当たりがあるなら、それは単なる“年齢のせい”ではなく、「ビタミンA不足」から来ているサインかもしれません。
ビタミンAは、視力や粘膜の健康を守るだけでなく、全身の免疫機能を司る「守りのビタミン」とも呼ばれる重要な栄養素です。
そして実は、40代以降の女性の多くが、知らないうちにこのビタミンAを“赤字”にしてしまっています。
今回は分子栄養学の視点から、ビタミンAの役割と不足による影響、そして日常での取り入れ方までを、わかりやすく解説します。
ビタミンAが不足すると、何が起きるのか?
「ビタミンA」と聞くと、視力に関係があるというイメージが強いかもしれません。
けれど、それだけではありません。
ビタミンAは、体を守るための“第一防衛ライン”=粘膜のバリア機能を維持する役割を担っています。
目・鼻・喉・胃腸・子宮頸部などの粘膜が健康でいられるのは、このビタミンのおかげです。
不足すると、以下のようなトラブルが起こりやすくなります:
🚨視界のかすみ、夜間の見えづらさ
🚨肌の乾燥、くすみ、敏感肌
🚨鼻や喉の粘膜が弱くなり、ウイルスに感染しやすくなる
🚨胃腸の粘膜が荒れやすくなる
🚨生殖器系の粘膜トラブル(かゆみ・乾燥)
🚨炎症が起こりやすく、治りが遅くなる
🚨貧血気味、疲れやすい
特に女性は、妊娠・出産・月経などでビタミンAが失われやすく、皮膚や粘膜の状態にそれが直結するのが特徴です。
ビタミンAの主な働き
分子栄養学では、ビタミンAは「防御の要」として重視されます。
以下のように、全身にわたる働きを持っています。
1. 粘膜の保護・修復
ビタミンAは、皮膚や粘膜の細胞を正常に保ちます。
外敵(ウイルス・細菌・アレルゲン)の侵入を防ぐ「物理的な防御壁」を作ってくれるのです。
2. 視力の維持
暗いところで目が見えるのは、ビタミンAのおかげ。
特に「ロドプシン」という視覚色素の材料になっています。
夜間視力が落ちたり、画面を見続けるとすぐ疲れるという人は、A不足のサインかもしれません。
3. 免疫力の維持
ビタミンAは免疫細胞(リンパ球・マクロファージ)の成熟と機能維持に関わり、感染防御や炎症抑制に寄与しています。
風邪を引きやすい、治りが遅い、胃腸炎になりやすい──そんな人は要注意。
4. 鉄の利用効率を高める
ビタミンAは、鉄の代謝にも関与し、貧血予防にも役立ちます。
鉄を摂っているのに貧血が改善しない人は、Aの不足が隠れているかもしれません。
なぜ40代女性に“ビタミンA欠乏”が多いのか?
意外かもしれませんが、日本人女性のビタミンA摂取量は、年々減少傾向にあります。
理由は以下のとおりです:
🚨動物性食品(特にレバー)を避ける傾向
🚨低脂肪食・ダイエット志向(脂溶性ビタミンの吸収が低下)
🚨加工食品中心の食生活
🚨胃腸機能の低下により吸収効率が悪くなる
🚨鉄・亜鉛・脂質の不足によって活性化しにくくなる
🚨ビタミンAの前駆体(βカロテン)をうまく活用できない遺伝的背景
特に「植物由来のβカロテンをビタミンAに変換できない体質(遺伝的多型)」の人は、意識的に“レチノール”としてのAを摂る必要があるのです。
ビタミンAが多く含まれる食品
ビタミンAには、大きく分けて2種類の形があります。
1. 動物性:レチノール(吸収が良く、体内ですぐに使える形)
・レバー(鶏・豚・牛)
・卵黄
・魚の肝(アンコウ・タラ・ウナギなど)
・バター、チーズ
2. 植物性:βカロテン(体内で必要に応じてAに変換される)
・にんじん、かぼちゃ、ほうれん草、小松菜などの緑黄色野菜
・モロヘイヤ、しそ、春菊など
植物性は「摂っていれば安心」と思いがちですが、変換率が個人差+加齢で低下するため、特に40代以降は“動物性A”も意識的に摂ることが重要です。
効果的な摂り方と注意点
✅ビタミンAは脂溶性ビタミンのため、油と一緒に摂ると吸収率がUPします。
⇒ 例:にんじん×ごま油、かぼちゃ×バター炒め など。
✅過剰摂取に注意(特にサプリやレバーの常食)
⇒ 妊娠中・妊活中はサプリでの摂取量に注意
✅サプリを選ぶ際は「レチニルパルミチン酸」や「レチノールアセテート」など表記を確認
✅βカロテン(野菜)と組み合わせると、過剰の心配なく摂取バランスが整いやすい
分子栄養学的視点:ビタミンAは「粘膜・免疫・鉄」のハブ栄養素
分子栄養学では、ビタミンAは単なる抗酸化ビタミンではなく、身体の“入り口”すべてを守る戦略的な栄養素と捉えます。
💡鼻、口、目、胃腸、生殖器、皮膚など「外界と接するバリア」に作用
💡免疫細胞の成熟と調整に関与
💡鉄の利用を助け、貧血の改善にもつながる
つまり、Aが不足すると、“体全体の守り”がボロボロになってしまうのです。
乾燥、炎症、かゆみ、感染──その影に、静かにA不足が潜んでいます。
今日からできる!ビタミンA習慣
✅週1回はレバー(鶏レバーの甘辛煮など)をメニューに
✅卵を1日1個+にんじんやほうれん草を油と一緒に
✅βカロテン豊富な野菜を“加熱調理+油”で吸収率アップ
✅「肌や目、喉が乾燥してきたな」と感じたらAを意識
✅食事だけで難しい場合は、医師の指導のもとサプリも選択肢に
まとめ
目のかすみ、肌の乾燥、風邪をひきやすい──
それは、あなたのせいでも年齢のせいでもなく、“ビタミンA不足”が関わっているかもしれません。
粘膜・視力・免疫・鉄代謝までカバーする、守りの要・ビタミンA。
40代からの体の変化を穏やかに乗り越えるために、今日からビタミンAを味方につけた暮らしをはじめてみませんか?