なんだか不安で落ち着かない…“鉄”を見直してみませんか?





理由もなく、なんとなく不安になる。
誰かと会う予定があるだけで緊張してしまう。
大したことではないのに心がザワザワして落ち着かない――。


40代に入ってから、こうした「説明のつかない不安感」に悩まされている女性は少なくありません。
ストレスやホルモンバランスの乱れと言われることもありますが、その背景に“栄養の欠乏”が隠れている場合があることをご存知でしょうか?


なかでも重要なのが、「鉄不足」。
単なる“貧血”の話ではありません。
鉄は、私たちの脳の神経伝達と心の安定に深く関わっている栄養素です。

「不安な気持ち」に寄り添い、栄養から根本を整えるヒントを、分子栄養学の視点からご紹介します。




40代女性が感じやすい「理由なき不安」の正体



「これといった悩みがあるわけでもないのに、不安になる」
「突然胸がザワつくような感覚に襲われる」
「SNSのちょっとした一言が気になって眠れなくなる」


こうした“理由のわからない不安”は、プレ更年期〜更年期にさしかかる40代女性に多く見られる心身のサインです。


その背景には、次のような複数の要因が複雑に絡み合っています。

🚨エストロゲンの低下による神経系の不安定化
🚨ストレス過多による副腎疲労
🚨自律神経の乱れ
🚨睡眠の質の低下
🚨栄養不足


特に最後の「栄養不足」は見逃されがちですが、実は“神経の安定”に必要な栄養素が不足することで、メンタルの土台が揺らいでいるケースが少なくありません。

その筆頭が、「鉄」なのです。




鉄の役割──「酸素を運ぶ」だけじゃない



鉄というと「貧血に関係する栄養素」として知られていますが、それはあくまで一面。
実は、鉄は私たちの体と心にとって、次のような幅広い役割を担っています。


血液中のヘモグロビンを構成し、酸素を全身に運ぶ
✅筋肉のミオグロビンにも含まれ、持久力や疲労に関係
✅免疫機能の維持
✅代謝酵素の補因子として、エネルギー産生に関与
✅脳内の神経伝達物質の合成をサポート(←今回の主題)


なかでも重要なのは、「セロトニンやドーパミンといった“心の安定”に関わる神経伝達物質の合成に鉄が必須」であるという事実。


つまり、鉄が不足すると“メンタルの材料”そのものが足りなくなり、漠然とした不安や落ち込みを引き起こす可能性があるのです。




鉄欠乏が引き起こす「心の不調」とは?



鉄が不足したとき、まず思い浮かぶのは「貧血によるめまい・立ちくらみ」ですが、分子栄養学の観点ではそれ以上に、以下のような“精神的な不調”にも注目します。

🚨不安感が強くなる
🚨気分の落ち込み、うつ状態
🚨パニックのような感覚
🚨集中力・判断力の低下
🚨人に会うのが怖い、外出が億劫
🚨寝つきが悪い、途中で目が覚める

これらは「気の持ちよう」ではなく、脳内神経伝達物質の材料が足りていない状態で起こる“栄養由来の不調”ともいえるのです。




40代女性が鉄不足に陥りやすい理由



40代の女性は、さまざまな理由で鉄を消耗しやすく、かつ補給が追いつかない状態に陥りがちです。


🚨月経が続いている限り、定期的に鉄を失っている
🚨ダイエットや糖質中心の食生活で、鉄の摂取量が減る
🚨加齢とともに胃酸が減少し、鉄の吸収効率が低下
🚨出産・授乳・慢性的な疲労で貯蔵鉄(フェリチン)を使い果たしている
🚨ストレスにより副腎機能が低下し、鉄の利用効率が悪化する

さらに、一般的な健康診断では「ヘモグロビン値」しか見ないことが多いため、“フェリチンが低い潜在的鉄欠乏”が見逃されていることも多々あります。




鉄を多く含む食品と、効率的な摂り方



鉄には「ヘム鉄」と「非ヘム鉄」の2種類があります。

ヘム鉄(吸収率が高い):赤身の肉、レバー、カツオ、マグロ、卵黄 など
✅非ヘム鉄(植物性で吸収率が低い):大豆製品、ほうれん草、小松菜、ひじき など


◎吸収を高めるコツ:
✅ビタミンCと一緒に摂る(例:レモン×ほうれん草)
✅動物性たんぱく質と組み合わせる(例:牛肉×ブロッコリー)
✅カフェインやお茶は食後すぐには飲まない(鉄の吸収を阻害)


サプリメントを活用する場合は、“キレート鉄”など吸収の良い形を選び、単独でなくビタミンCやB群も一緒に摂取すると効果的です。




分子栄養学的アプローチ:「心の材料」を整える



分子栄養学では、「不安」や「うつ」といった精神症状も“脳の機能低下”として捉えます。
神経伝達物質が正常に合成・分泌され、適切に受け渡されることで、人は安定した思考・感情を保つことができます。


この一連のプロセスに必要な材料こそ、アミノ酸・鉄・ビタミンB6・亜鉛・マグネシウムなどの栄養素。


特に鉄はセロトニン(安心感をもたらす)やドーパミン(やる気のもと)の合成に直接関与しており、不足すれば材料そのものが足りなくなるのです。


つまり、「なんだか不安」という症状も、心の問題ではなく“栄養の問題”としてリセットできる可能性があるということ。




今日からできる!鉄を味方につける生活習慣



不安感を減らし、穏やかなメンタルを保つために、今日からできる“鉄活習慣”をご紹介します:

朝食に卵を1つプラスする(手軽なヘム鉄源)
✅週に2回、赤身肉やレバー料理を取り入れる
✅サラダにレモンをかけてビタミンCを意識
✅鉄鍋や鉄玉子を使って調理し、自然に鉄分補給
✅食後のお茶やコーヒーは30分ほど空ける
✅鉄サプリを使う場合は、胃に優しいタイミングで少量から




まとめ



「なんだか不安で落ち着かない」
その正体は、心ではなく“脳の材料不足”かもしれません。

鉄は、酸素を運ぶだけでなく、脳の神経伝達やメンタルの安定に不可欠な栄養素。
特に40代女性は慢性的に不足しやすいため、日々の食事や生活習慣から意識して補うことが大切です。

不安感に飲み込まれそうなとき、まずは「鉄」の存在を思い出してみてください。
体の内側から、静かな安心感が戻ってくるかもしれません。