なぜ、いま涙が出そうになるのか。


ゴールデンウィークが終わった途端、ふと鏡の中の自分が他人に見える。
子どもを送り出した後の静寂が、なぜか不安で。
朝の光さえ、肌に冷たい。

「これって、もしかして——5月病?」
そんな自問が胸をよぎる。
でも、検索して出てくるのは、学生や新社会人の話ばかり。

40代、母親、主婦、キャリア途中の自分。
私のこの“もや”はどこに分類されるの?

5月病は、季節のせいじゃない。
それは、“春の期待”と“現実のギャップ”が織りなす、心のデトックス現象。

特に40代ママは、【多重役割・未完了の疲労・社会との距離感】という、三重のトリガーを抱えている。

見えない疲れは、ただの「気のせい」ではない。そこには、立ち止まる価値がある。


5月病は「エネルギー構造の歪み」


5月病とは、エネルギーが“空回りする”現象だ。
冬の間にため込んだ希望と「新年度こそ変えたい」という決意。
それが4月の多忙さで消耗し、5月に“燃え尽き”として噴き出す。

とりわけ40代ママにとっての5月は、「何もしていないのに疲れる」時期だ。
 ⭕️子どもの新学年への適応サポート
 ⭕️家族の生活リズム調整
 ⭕️PTAや地域活動の開始
 ⭕️仕事の再始動と「自分らしさ」の模索

これらが同時多発的に押し寄せ、しかも“母親だから当然”という空気がそれを透明化させる。
見えない労働。
見えないストレス。
見えない不調。

結果、「どこが疲れているのか分からない」「何をすればいいか分からない」状態に陥る。

それはつまり、「自分自身のシステムが、今の現実と同期していない」というサインなのだ。


5月病は“魂の棚卸し”である


視点を変えよう。
5月病はただのメンタル低下ではない。

これは、「今の自分と、本当の自分」とのあいだにできた“ゆらぎ”の可視化である。

忙しさの中で置き去りにしてきた感情。
「私は、これでよかったんだっけ?」という微かな違和感。
「何か、もっと違う形があったんじゃないか」という静かな叫び。

5月病は、それらを無理やり沈黙させてきた心が、“再起動”を要求してくる現象だとも言える。

つまり、
これは終わりではない。再構築の始まりだ。


問いを、ひとつだけ残しておく。


あなたが今感じている、その“だるさ”や“泣きたさ”の正体は、
ただの「五月病」だろうか?
それとも、「本当の自分」に会いにいくための準備期間だろうか?

目の前の生活は変わらなくても、
見ている“意味”を変えることはできる。

——あなたは、どんな5月を選びたい?

(答えはすぐに出さなくていい。ただ、この問いを、ポケットに忍ばせておいてほしい。)