本日のご紹介は、こちらです。




※本文抜粋※

他人の芝生は青いもの。
一見、不公平のようでも誰もが何かを背負っている。その中で小さな喜びや希望を見つける。
なぜこんなひどい目に?と思っても、それをちょっと脇において祈る。
そうして長い人生のなかで苦しみをどう消化し、どうお終いを迎えるか。




絆とは壊れていくものであって、人間が絶対的に変わらないものを持ち続けるなんてことはないと思う。




世の家族が崩壊しないのは、女の粘り強さですよ。
女が土台となって“始”って漢字になる。全ての始まりの土台を作るのが女だからね。
そこがグラグラしてるんですよ、今の世の中は。
(略)
女っていうのは、きっとその人生が終わったときに、いい意味で泣いてもらえる。
いつまでも“いてくれて良かった”と思われる存在になるんじゃないかな。


※※※



色々なインタビューを受けた際の記事が
集約されているものですが、
どのコメントをとっても
ご自身のことを、とてもよく理解されており、
たくさんの葛藤も
目をそらすことなく生きてこられたことが
伝わってきました。


そして、
「どんな生き方をしたいのか」が
とても明確で。



あえて「欲」を持つことで
簡単に引き下がらない道を選び
歳を重ねてできなくなっていくことさえも
面白がる姿勢。



希林さんは
「楽しむ」と「面白がる」を
明確に区別されていて、
「楽しむ」は客観的であり、
「面白がる」は中に入って面白がること。

自分のことだからこそ
客観的に楽しむのではなく
ちゃんと自分の中から面白がるのだと。



また、
子どもの頃からずっとあったという
「生きることへのしんどさ」が
夫・娘・自分自身について
並外れて執着心が無いことへと結びついた。と。



その「執着」については
こんな風にも言われています。



「欲や執着があると、それが弱みになって、人がそこにつけこみやすくなる。」


希林さんにとっての「欲」は
あえて持つことで
生きることに意味を生み出すためのものであり
自分にも
家族にさえ「執着」が無い(愛情深く無い、情がないとも言っています)ことには
それまでのご自身の生い立ちがあり
そうなった経緯があってのことですが
特に執着が無いことで
人から「怖い存在」と
思われてきたことも明かされていました。



たしかに
「欲」と「執着」は
生きているうえで切っても切れないもの。


欲に振り回され、執着に雁字搦めになる。


自分はどんなことに「欲」を持ち、
なに(誰)に「執着」している(しやすい)のか。


自覚しているようで
案外自分自身が目を背けやすく
人に気づかれやすいものだからこそ
人につけこまれやすくなる。



きっと、どんな人だって
それぞれに
いろんな形で「生きづらさ」を抱えていて
日々葛藤しているのでしょうが、
人様の人生、隣の芝生ばかり眺めていないで、
自分がどう生きたいか?

そして、そのように生きるために、
自分の中の清濁併せ呑みながら
どう振る舞うか?

自分の生き方に、どう意味を持たせるか?


そんなことが
問われているように受け止めました。



**



上記で抜粋した文に
「女の粘り強さ」という言葉がありましたが
「我慢強さ」ではなく
「粘り強さ」という言葉を使われていることにも
深い思い入れのようなものを感じました。


家族の中での「粘り強さ」。
家族という単位では、女性が土台になる。

その言葉には
女性としての尊厳を感じとれました。


これが「我慢強さ」では
「何に?誰に?」となり
家族の中での女性の立場が弱いもの
その役割が
軽んじられてしまう危うさを含むと思うのです。


男尊女卑的な、養われて生きる女に、
「自分の人生」を選び・築く自由はない。
というような、、




でも「粘り強さ」だと、
その中にはもちろん
時と場合により「我慢」も含むでしょうが
その根底には「自分の人生」があり
その中に「家族」が含まれる。


自分の生き方を明確にしたうえで、
家族を築く。


社会でどんなに男女平等が謳われても
男性に子供は産めません。

結婚するのか、しないのか。

子供を望むのか、望まないのか。

現代においては、子育てと仕事の両立はどうするのか。

ということも全て含めて、
生き方を考える。


何かが、足枷になるから、何かを諦める。


そんなことで人生を投げ出さず、
どう生きるか?をとことん追求し、
執着は手放し、欲を持つことで
生きる意味を持ち、
人との関係を築き、家族の絆を深め、
力強く(粘り強く)生きて欲しい。


今を生きる女性へのエールであるとさえ
感じることができました。



樹木希林さんが
女優であるまえに
人間であり、女性であったこと

ひとりの人間として
言い訳することなく
生きることに真っ直ぐ向き合われていた軌跡が
まとめられた一冊でした。




一冊の本には人を動かす力があり、
人を変える力もある。



本って、本当に素晴らしい。


それでは、また。