生後3ヶ月で
娘が受けた手術は
「シャント術」という

心臓の右心室が小さく
酸素を多く含んだ血液が
肺へ流れる量が少ないため
人工血管を繋ぎ
血流を作る

簡単にいうと
こんな内容になる

***

4時間半に渡る手術

集中治療室で再会した娘は
胸の中央
鎖骨から胃の辺りまで
切開した大きな傷

口からは気管へ
呼吸器の管が入り

抑制のため
ベッドサイドに括り付けられた
両手には
計11本の点滴

そして胸には
輸血の管が入り

また
術後の出血が滞留しないよう
両側の肺の下辺りから
出血を外に出すための
ドレーン(管)が2本

そしてもちろん
尿管も入った状態だった

大体の説明は
事前に受けていたものの
目の当たりにすると
さすがに脈が上がり
全身が小刻みに震える

そんな状態だった

それでも不思議と
涙は出なかった


娘に手を伸ばし
「よく頑張ったね」と
そっと頭を撫で

そして
「やっと前進したね…」と
旦那さまと言葉を交わした


目の前の光景は
心がもげてしまいそうだけれど
これは
私たちにとって
未来への大きな一歩だから

***

新生児はまだ
臓器の成長が途中のため
ある程度
臓器の大きさが決まるまで
人工血管に頼る形で様子をみる

そして
個々の成長度合いにもよるが
だいたい
1歳を迎えるまでには
判断がくだされ
次の手術へ踏み込むことになる


今回の手術の際
右心室の大きさも
確認したそうで
やはりその大きさは
通常より
かなり小さい…と

この大きさにより
手術の種類が変わってくる

そして今後
娘が背負うものも
大きく変わっていく

酸素ボンベを必要とする
生活になるのか

更に先には
女性で在るが故に
抱えること

妊娠・出産の可否…など

挙げたら
きりがない

***

親で在るが故に
目をそらせない現実

目に焼き付け
心に刻み込みながら
手を取り合い
前をしっかり向いて
一歩一歩
歩んでいくしかない

過去に原因を探し
例えそれが分かったところで
何も変わらない今が
ここにある

私たち家族は
そんな「今」を
共有する経験を通し
相手を「思いやる」気持ちを
育みながら

そして日常の
小さな「幸せ」を
思い出し
取り戻し
積み重ねながら
生きていく