皆様こんにちは。
twitter の方で宣言をしたものの、書く書く詐欺になりそうでしたが
なんとか一つ書き上げました。
ダンサーに筋力って必要なの? というお話。
始めに言っておきますが、答えは書いていません。
私が師事しているオーストラリアの先生達はダンサーの筋力についてどのように捉えているのか、私が実際に言われた事や経験した事をただつらつらと書き並べただけです。
その先生自身の身体能力や経験の違い、また教える生徒のレベルによって当然言う事は変わってきます。
今回は先生方の紹介も一緒に載せてありますがその理由は初回だからという他に、一体どういった立場や経歴でこのような事を仰っているのか、という事も分かり易くする為です。
かなり長文なので、本当にお暇な時に眺めて頂けると幸いです。
また、ブログは私にとっての備忘録とアウトプットでもありますので、プロの先生やトップアマの方々のブログとは違う事もご理解下さい。
では。
1人目。私達が長くメインで通っているスタジオのオーナー先生。
私のパートナーでもある夫が前と前々パートナーと踊っている時からお世話になっている先生。最終的に私達を引き合わせてくれた先生になります。
夫にとっては第2のお母さんのような人。
10ダンス指導しますが私達のスタンダードの基礎はこの先生から学びました。
元オーストラリアトップ10ダンサー、今はWDSFのAランク審判員でもある彼女は50代後半の今でもパーソナルトレーナーをつけて体を鍛えたり、ピラティス指導員のコース履修経験があるなど、身体作りをとても大切にする先生です。
例えば生徒が(それがシニアの初心者だったとしても)競技を目指す意思はあるが踊る為の筋力が無いと判断した場合、彼女自身が直接筋トレの指導をします。
個人レッスンの最初の時間を使い、鏡とヨガマットを使って生徒に筋トレを教えているのはよく見る姿。また、生徒が慣れて来るとレッスン前や後に自主筋トレをするようにも指導します。
ピタッとしたタンクトップやヨガパンツ等のスタイルの事がとても多く、ダンスのテクニックを教える際には特に初心者にはできる限り身体のラインが出る格好をさせた上で、身体の使う部位一つ一つの動きを見せて説明します。できない場合はその為の筋力トレーニングを指導します。
とは言え、実際に踊る時には筋力重視のガツガツした踊り方では無く、しっかりと体幹バランスを取ったとても柔らかい踊り方を指導します。
また、姿の美しさもとても重要視する先生でもあり、鍛える事が美しさに繋がる、という考えもあるのだと思います。
彼女自身、両親がダンサーで教室経営者という環境で生まれ育ち、幼少の頃からダンスをしていた傍、10代20代の頃は地元のコンテストで賞を取ったり、某有名グラビア雑誌のモデルをしたりする程の美貌の持ち主でもあります。
2人目。ラテンの先生。
ブラックプール プロラテン ライジングスターチャンプ、プロラテン セミファイナリストでもあります。この先生も現在WDSFランクA審判員で、私達は暫くラテンから離脱していた時期があるものの、私個人では夫と知り合う前から習っており、一番長くお世話になっている先生です。
現在60歳のベテラン先生ですが、毎年メジャーな海外の大会には必ず訪れる他、ヨーロッパで行われるWDSFの講習会等にも参加、競技ダンスのトレンドを常に取り入れ自分の中で更新し続ける先生です。また、振り付けはとても洗練されていて踊り易く、プロ・アマ問わず多くのトップダンサー達が師事しています。
男性の中では小柄で華奢なタイプ、本人曰くダンス以外の運動はあまり得意ではないそう。
そんな先生に教えられたのは
筋力はあればダンスの助けにはなるけれど、
それよりも大切なのは『マッスルメモリー(筋肉の記憶)』
だという事。
一番大切なのはどんな時でも何年経っても変わらずにしっかりとした基礎ができる、基礎が染み込んだ筋肉、なんだそう。
ダンスは日々進化しており、一見昔と違うものに見えるけれど、結局はその基礎の上に何を乗せるかの違いである、というのが彼の理論。
例えば、スタンダードでの大きなホールドやラテンでの腕使いが煩くガチャガチャした踊りに見えるダンサーと、同じように大きく動いていてもパワフルでカッコ良く見えるダンサーがいますよね。その違いはそこにある、というわけです。
その為、ジムに行ったり体づくりをするのは「もちろん良い事」とは言いますが、わざわざ勧める事はしません。
とは言え・・・
忘れてはいけないのが、この先生はジュブナイルの頃からのチャンピオンであるという事。プロ時代はラテン専門のダンサーでしたがアマ時代は10ダンサーであり、ジュブナイルからアダルト時代迄、ラテンでもスタンダードでも数々のタイトルを勝ち取って来たダンサーなのです。
そして誰もが言うんです「彼は天才」と。
もう一つ
「初心者の指導には向いていない」とも。
この先生が指導するメインターゲットのダンサー達は既にある程度身体が使える事が前提です。
一見シンプルな基礎練でも相当なボディバランスを要しますし、身体の動きは教えてもらえますが、それをどうやったらできるか?どこの筋肉をどう使うか?という事迄も教える事は殆どありません。
ふらつけば「バランス!」「軸はどこいった!!」
と喝が飛ぶだけです。
先生自身がガッツリと筋力トレーニングの経験はなくても、既に幼少の頃から身体の使うべき所を使う事ができ、意識して鍛える必要が無かった、と考える事もできます。
ただ、筋肉が記憶する位に迄練習をする、踊り込む。
この考え方はダンスだけではなく、何かを極めたい人達がやらなければならない
それこそ基本なのだと思います。
最後に、ニューボーグとスタンダードの先生
この先生はアマ、プロ共にオーストラリアのニューボーグファイナリスト。
競技は数年前に引退しており、現在40代と私達の先生の中では一番若い先生です。
日本では馴染みの無いニューボーグという種目ですが、オーストラリアとニュージーランドで踊られており、アマチュアのオープン戦であればかなりのエントリー数のあるとても人気のある種目です。
ジムは嫌い、ダイエットはした事が無い、と仰るこの先生。
にも拘わらず180cm越えの長身に小顔、なで肩、長い首に細マッチョという典型的スタンダードダンサー体型。体のあらゆる部分を個別に動かす事ができる他、内転筋だけでスタジオのフロアーをスケートのように滑る事ができる、ある意味化け物のような筋力と体幹を持っています。
前の二人の先生方の様な華々しい経歴の持ち主というわけではありませんが、とても理論的にダンスを捉えている方です。また、引退する迄は定期的にアメリカやヨーロッパへ自身のレッスンを受けに行き、帰って来る度に教え方が分かり易くなっていたり、新しい技術や発見がどんどん更新されて行く楽しい先生です。
その他、大きな試合だけでは無く、ローカルの大会でジャッジをする事が多い為、他の二人とはまた違った評価の目線を聞く事ができます。
その先生に教えられたのは、
筋力はあるに越した事は無い。ダンスのサポートになる。
ただ、身体の使い方を知らなければ、いくら鍛えても意味が無い。
逆に2人の間できちんとコネクションができれば、個人にはそこ迄の強い筋力が無かったとしても大きな力が生み出せる、との事。
たとえ筋力のあるダンサー同士が組んだとしても、身体の使い方を理解せずに2人の間にある動きが噛み合っていなければ、更に筋力が必要になりただスタミナが削られて行くだけである、とも言われました。
筋力があるのはとても大きな強みで、それがきちんとした理解の元に使われるのであれば非常に良いダンサーになれる。けれど筋力があるが故に間違っていても力づくで踊る事ができてしまう為に、それを続けているとある時から伸び悩んだり、また酷い時は怪我をする、との事。(実はこれは私達にとってとても耳が痛いのです)
また、ダンスで発揮される力は2人の間で生み出されるもの、個々の身体能力で上限や下限が決まる訳では無い。とも。
とは言うものの、この先生も全く筋力が無くて良いと言っている訳ではありません。男女共にしっかりと自分でバランスを保つ事ができ、尚且つ最低限の距離を動ける事を前程としており、その為の特に関節を滑らかにコントロールする筋力はその使い方を知る事と共に必要だとしています。
三人の先生方は言い方こそそれぞれ違いますが、踊れる筋肉を作る為には先ず身体の使い方を理解する事、どんなに強い筋肉を持っていても使い方を知らなければ意味が無い、と言われているのだと私は理解しています。
また、私もパートナーもジムへ行き筋トレや走り込み等をしており、個々に充分な筋力やスタミナを持っているにも拘らず、何故だか踊っている最中に思うようなパワーが生み出せない、またはスタミナが続かないという場合がよくあります。
そんな時はただ闇雲にトレーニングを増やすのでは無く、本当に正しく身体が使えているのか?パートナーとの間でお互いの動きやパワーが噛み合っているか?反発し合っていないか?等を見直す事が大切だと教えられました。そしてその部分に対しどの先生方からも”年がら年中”それはそれは毎回の様に注意を受けています。
ここ迄、如何でしたか?
英語で教えられている事を日本語に訳しながらなので、もしかすると実際に先生方が仰った事とのニュアンスの違いもあるとは思いますが、結構頑張って私のダンスの引き出しを整理してみました。
私自身このブログを書きながら、耳や心臓がズキズキ・グサグサしっぱなしです
こんな風に今後も不定期にブログを更新していく予定です。
他にもダンスの事だけでは無く、オーストラリアの日常についてもつらつらと書いて行きます。
よろしくお願い致します。