先日のお昼過ぎ
勤め先の病院で、ちょっとした騒ぎがありました。
癌治療に外来でみえていた患者さんが
診察が終わって昼食後、奥さまとはぐれて行方不明になってしまったのです。
その方は癌であり、認知症でもありました。
お歳は69歳。
癌を発症してから、意識が曖昧になってきたのだそうです。
その日、食事を終えて
奥さまと同じタイミングでトイレに入り
先に出てきてしまったために起きた事故でした。
病院スタッフ総出で探し回り
結局、1キロ以上離れた駅で1時間半後にみつかりました。
その見つかった時の様子が、とても印象的で
今でもはっきりと思い出せます。
この方は、駅の雑踏の中、
意識の境界が曖昧な人特有の空気感を放って
一人ポツンと立っていました。
あ、この方かも。
半分以上の確信とともにお声をかけました。
ご本人でした。
ご自身の名前にしっかりと反応され、
「奥さまがお待ちですから、病院に戻りましょう」と話しかけると
あ、とうなづき、私の後についてタクシーに乗ってくださいました。
無事に奥さまへ引き渡した後も
雑踏の中立つ姿が頭から離れませんでした。
その姿は、怯えた様子はほとんどなく、むしろ穏やかそのものでした。
チリチリしたオーラのようなものに包まれ、安全そのもの、といった雰囲気だったのです。
『全体』と繋がっている。。
守られている感覚を身にまとっているようでした。
きっと、何があったとしても
こんな風に境界なく『全体』と繋がることで
例えそれが意識的でも無意識でも
混乱のない平和な世界にいられるのでしょう。
あるがまま、の本質を
みた思いでした。

