昨日は最後の診察でした。
がんが発覚してから2年余り、手術、抗がん剤治療とお世話になってきた病院です。
先日の緊急入院から退院したものの体調は絶不調。ひょっとしてまた緊急入院するかもしれないなぁ、と危惧していましたが、どうやらそれは免れました。
血液検査の結果は肝臓の数値はあいかわらず悪いが、入院前よりは回復してきているとのこと。
ただ肺のがんは広範囲に散らばっていて、だいぶ進行している。
特に肺の下の方は白く見えるほどがんが広がっているとのこと。
肝臓のがんはそれほど散らばってはいないが、ひとつひとつのがんが確実に大きくなってきているとのことでした。
近頃の食欲不振やお腹の痛みなどの不調は総体的にがんが増大してきていることが原因でしょう、と内科医。
それら痛みをしっかりと抑えるために、麻薬系の薬などが処方されることになりました。
麻薬系のオキシコンチンに鎮痛薬のアセトアミノフェンとボルタレン。
他に痛みが強い時の緊急用としてオキノーム。
胃酸を抑える消化器系のお薬タケキャブも処方。
漢方の六君子湯は食欲不振など、消化器系の衰えに効果があるとのことで、夫のすすめでドラッグストアで購入していましたが、内科医曰く「とてもいい薬ですよ」とのことで、こちらもあわせて処方してもらいました。
「鎮痛薬はそれぞれ効き方が異なるので、必ず全部を処方箋通りに飲んでください」
と内科医。まるまる1か月分を処方され、すごい薬の量になりました。
内科医に気になることを質問する。
「退院してから絶不調で歩くのも息苦しくて、死期が近いと感じました。先生から見て、今のこの状態は死期が近い段階にまできているでしょうか?」
内科医は少し口ごもりながらも
「ミンさんは今は自分でなんとか身の回りのことができているようなので、まだそこまでではないと思う。あと一段階、二段階を経て、という感じになるかと思いますね…」
と先生の見解を頂きました。
そうか、まだなのか。でも、近いことは近いのだろうな、そんなことを内科医の口ぶりから推察しました。
「とにかく今日出したお薬をしっかり飲んで、痛みをとりましょう。咳もおさまると思うし、食欲も回復してくるかもしれません。転院されてからも、何か相談ごとがあれば、いつでも予約してきてください」
との言葉を頂き、少し気持ちが明るくなりました。
とにもかくにも内科医には本当にお世話になりました。
素晴らしい先生でした。
先生、ありがとうございました!と夫婦でお礼を述べ、病院をあとにしました。
帰り道の車内でほっとひと息つきます。
窓の外、年の瀬の雰囲気を漂わせている繁華街の様子を眺めながら、し~んと静まり返った、穏やかな気持ちになりました。
とにかくひと区切りついた。
人生の残り時間はそれほど残されてはいない。
できるだけ穏やかに残りの時間を過ごしていこう。
そんなことをぼんやり思いました。
きっと来年の今ごろは、私はこの世にはいないのだろうなぁ。
そう思うと夕陽に照らされた街路樹の金色の葉も、喧騒に満ちた都会の風景もキラキラと輝いて美しく見えてくる。
とても安らいだ気持ちであらわれては消えゆく街の風景を眺めました。
気持ちがラクになったのか、夜は久々にお寿司が食べたい、という意欲がわき、買って帰ります。
そして、食後すぐに今日処方された薬を服用しました。
ほどなくして、私は薬の劇的な効果に驚かされることになる。
いつも食後に感じていた重苦しい胃もたれ感、みぞおちの痛みが消えました。
そして、就寝。最近は夜中に必ず目覚めるほどの腹痛に襲われていたのにそれもない。朝までぐっすりと眠れました。
咳もほとんど出てきません。
食欲も完全復活とまではいきませんが、今日はだいぶ食べられました。
いやぁ、すごいもんですね!麻薬(?)の力って…。
体が久しぶりに静けさを取り戻し、安らいでいるようです。
ありがたいなぁ~
医療技術の進歩にただただ感謝!🙏
ずっと低空飛行で必死に地面に落ちないように羽ばたいてすっかり疲弊していましたが、薬という止まり木を経て、今、安息を得た思いです。
苦痛のない生って、こんなにも素晴らしいものなのか。
今はとにかくすべてにありがとう、と感謝の気持ちでいっぱいです。
このまま痛みが抑えられればよいのだけど…。
来週は初めての緩和ケア病院の診察です。
どんな先生だろう?
God bless us!
