ロコモーション
吉田まゆみ
講談社 KCmimi
全3巻
1巻発行日 1983/8/12

学校帰りの改札口、自分とは違う制服の女子に待ち伏せされていたロコ。そして、かけられた言葉は、「修ちゃんと、もう会わないで」だった。声をかけてきたのは修ちゃんこと修一くんの彼女、明美。そして、ロコと修一は付き合っているわけでもないのに、キスを交わした仲。この時既に、明美は修一との別れは覚悟していたようだと、後のストーリー展開で判明する。最後のあがきだったのかもしれない。

修一は、ロコと母が住むアパートの隣に住んでる女子大生の加代子の弟。ちょくちょく姉を訪ねてきていたらしい。ロコの母親は高校の養護教諭で、修一は彼女が勤務する高校の生徒でもあり、先生と生徒としてお互い顔を知ってもいた。

加代子はしょっちゅう違う男を連れ込んでいるようで、アパートの壁が薄いせいもあって夜の声が漏れている。「あたしはいいけど、母親は長い間独身なので、刺激を与えたらかわいそう」と、ロコは彼女に伝えるなど大人な対応をしている。

ロコと修一のラブストーリーであるが、もうひとつ物語の軸がある。

両親はロコが幼い頃に離婚しているので、母子家庭で育っている。父親は有名なテニスプレーヤー。離婚後新たな家庭を築くが、３年前に死亡している。ロコは父の血をあまり引いてないのか、テニスを始めるもののイマイチ上達しない。一方、父親が新しい家庭でもうけた息子（ロコにとっては腹違いの弟）雅之は、大会で好成績を残しており、ちょっとした有名人になっていた。

単行本のカバー絵はテニスが全面に押し出されているが、テニスをテーマにしたスポーツ漫画ではない。ロコと修一のことだけでなく、周囲の恋愛模様も（母親のことまで）それなりにフォローされていて、全３巻の短い物語ながら、綺麗にまとまっている。

（漫画所持作品リスト　1390）