●地役権5-地役権の取得・消滅
問題1 同一の承役地の上に数個の用水地役権を設定する
ことができる。
問題1 正しい。
(1)用水地役権は,排他的権利ではないので,同一の承役地
の上に数個の用水地役権を設定することができる
(民法第285条2項)。
(2)よって,本股は正しい。
問題2 地役権を設定するためには,要役地と承役地が隣接
地であることを要しない。
問題2 正しい。
(1)地役権とは,地役権者が、設定行為で定めた目的に従い、
他人の土地を自己の土地の便益に供する権利です
(民法第280条)。
(2)したがって,この要件さえ満たしていれば,要役地と承役
地が隣接していることは,必ずしも要件ではない。
(3)よって,本股は正しい。
問題3 地役権についても存続期間を定めることができる。
問題3 正しい。
(1)地役権の存続期間については,民法上は規定がない。
(2)ところで,地役権は設定行為により定まる権利であるか
ら,当事者間で期間を定めることができる。
(3)よって,本股は正しい。
問題4 土地の所有者が隣地の一部を長期間通行すること
を継続しただけでは,時効により通行地役権を取得
することはできない。
問題4 正しい。
(1)地役権も時効により,取得する。
(2)ところで,地役権の時効取得については,民法第283条
が「地役権は継続的に行使され、かつ、外形上認識す
ることができるものに限り、時効によって取得すること
ができる。」と規定しており,「継続的、かつ、表現の地
役権」に限り時効取得される。
(3)ここで,継続的とは、通路を開設した通行地役権のよう
に、地役権の内容が間断なく継続する地役権のことで
ある。
(4)表現的とは、地役権の内容の実現が外部から認識でき
る地役権のことである。
(5)そして,「隣地の一部を長期間通行することを継続した
だけ」では,継続的かつ表現とはいえない。
(6)したがって,本問の場合は,時効により通行地役権を取
得することはできない。
(7)よって,本股は正しい。
問題5 甲土地を所有するAは,Bが所有する乙土地を通行
する権利を有している。Bが乙土地の所有権を第三
者に譲渡した場合に,Aが,乙土地の譲受人に対し,
この通行権を主張することができないことがあるか
は,この通行権が通行地役権であるか相隣関係に
基づく囲繞地通行権であるかによって結論が異なる。
問題5 正しい。
(1)地役権も不動産に関する物権であるから、これを第三者
に対抗するためには,原則として,登記を必要とする
(民法第177条)。
(2)これに対して,囲繞地通行権の場合は,所有権の内容と
して,囲繞地には,当然認められている権利なので,
これを第三者に対抗するには,登記は必要ではない。
(3)したがって,第三者への対抗要件の関係では,通行地
役権と囲繞地通行権では結論が異なる。
(4)よって,本股は正しい。
問題6 甲土地を所有するAは,Bが所有する乙土地を通行
する権利を有している。第三者が乙土地の所有権
を時効取得した場合に,Aの通行権が消滅すること
があるかは,この通行権が通行地役権であるか相隣
関係に基づく囲繞地通行権であるかによって結論が
異なる。
問題6 正しい。
(1)通行地役権の場合において,承役地が時効取得された
場合は,原則として,通行地役権は消滅する。時効取得
は原始取得だからである。
(2)これに対して,囲繞地通行権は,所有権の内容として,
囲繞地所有者に当然認められている権利であるから,
乙土地の所有者が誰であっても当然に認められる。
(3)したがって,結論が異なる。
(4)よって,本股は正しい。
問題7 地役権者がその権利の一部に関して地役権を行使
すれば,権利を行使していない部分についても時効
により消滅しない。
問題7 まちがい。
(1)地役権は,消滅時効により,一部消滅するかについては,
民法第293条の規定により,一部消滅する。
★民法第293条
地役権者がその権利の一部を行使しないときは、
その部分のみが時効によって消滅する。
(2)よって,本股はまちがいである。
…………………………以上
●地役権4-地役権の効力
問題1 甲土地を所有するAは,Bが所有する乙土地を通行する
権利を有している。Bが乙土地の通行を妨害する場合
に,Aが,その妨害の除去を請求することができるかは,
この通行権が通行地役権であるか相隣関係に基づく
囲繞地通行権であるかによって結論が異なる。
問題1まちがい。
(1)通行地役権は物権であるから,物権的請求権として,妨害
排除請求権がある。
(2)囲繞地通行権の場合は,所有権の1内容としての権利で
あるから,所有権に基づく妨害排除請求権が認められる。
(3)したがって,両者の間で結論は異ならない。
(4)よって,本股はまちがいである。
問題2 通行地役権を設定した承役地の所有者が,設定行為
により地役権者に対して負担している通路開設義務
は,その所有者からその承役地の所有権を譲り受け
た者もまたこれを負担する。
問題2正しい。
(1)通行地役権は,物権であり,債権ではないので,人的関係
のない権利であり,原則として,承役地所有者は,要役地
所有者の通行を認める という消極的義務を負うだけであ
る。
(2)しかし,本問のように,承役地の譲渡人が特約により通路
開設義務を負担している場合には,その承役地の譲受人
(特定承継人)は,その義務を承継するかについては,
(3)民法第286条が「設定行為又は設定後の契約により、承役
地の所有者が自己の費用で地役権の行使のために工作
物を設け、又はその修繕をする義務を負担したときは、
承役地の所有者の特定承継人も、その義務を負担する。」
と特別に規定している。
(4)したがって,本問の場合,承役地の譲受人は通路開設義
務を負担する。
(5)よって,本股は正しい。
問題3 通行地役権が設定されている承役地の所有者は地役
権者がその地役権の行使のために開設した通路を
使用することができない。
問題3まちがい。
(1)通行地役権が設定されている承役地の所有者は地役権者
が開設した通路を使用できるかについては,
(2)民法第288条(承役地の所有者の工作物の使用)が,
①承役地の所有者は、地役権の行使を妨げない範囲内
において、その行使のために承役地の上に設けられ
た工作物を使用することができる。
②前項の場合には、承役地の所有者は、その利益を受
ける割合に応じて、工作物の設置及び保存の費用を
分担しなければならない。
と規定している。
(3)よって,本股はまちがいである。
…………………………以上
●地役権2-地役権の随伴性
問題1 A及びBは,甲土地を共有しているが,隣接する乙土地
の所有者Cとの間に,甲土地の利用のために乙土地
を通行する旨の地役権設定契約を締結した。AがDに
対する債務を担保するために,甲土地に対する自己の
持分に抵当権を設定した場合において,その抵当権
が実行されたときは,その持分の買受入Eは,Cの承諾
なくして,乙土地の地役権を行使できない。
問題1 まちがい。
(1)まず,地役権は要役地の所有権以外の権利の目的にも
なり得るかであるが,民法第281条2項に「要役地につい
て存する他の権利の目的となるものとする。」と規定され
ており,肯定される。
(2)次に,要役地が共有で,共有者の一人の持分が譲渡され
た場合に,地役権も当然に移転するかであるが, 民法
第281条1項に「要役地の所有権とともに移転する」旨
規定されており,移転する。
(3)したがって、要役地の売買によって、地役権は当然に、
買主に移転し、売買の当事者間で地役権移転の意思
表示(合意)をする必要はない(大判T13.3.17)。
(4)故に,本問の場合,持分の買受入Eは,Cの承諾なくし
て,乙土地の地役権を行使できる。
(5)よって,本股はまちがいである。
問題2 甲土地を所有するAは,Bが所有する乙土地を通行
する権利を有している。AとBで,Aが甲土地の所有
権を他人に譲渡した場合には,この通行権が消滅
する旨の合意をすることができるかは,この通行権
が通行地役権であるか相隣関係に基づく囲繞地
通行権であるかによって結論が異なる。
問題2正しい。
(1)地役権の場合は,原則として,要役地の譲渡に伴い,
地役権も移転するが,民法第281条1項但書に「設
定行為に別段の定めがあるときは、この限りでは
ない」と定められており,当事者間の特約により随
伴性を否定することもできる。地役権は,契約によ
り生じる権利だからである。
(2)これに対して,民法第210条の公道に出るための囲
繞地通行権は,所有権の内容として,民法上当然に
認められている権利であるから,これを当事者間の
合意で制約することはできない。
(3)よって,本股は正しい。
問題3 甲土地を所有するAは,Bが所有する乙土地を通行
する権利を有している。Aがこの通行権を甲土地の
所有権から分離して譲渡することができるかは,この
通行権が通行地役権であるか相隣関係に基づく
囲繞地通行権であるかによって結論が異なる。
問題3まちがい。
(1)まず,地役権は,要役地の便益のための権利である
から,要役地から分離して譲渡することはできない
(民法第281条2項)。
(2)次に,相隣関係に基づく囲繞地通行権も,囲繞地の
所有権の内容として当然に民法が定めている権利
であるから,土地所有権と分離して譲渡することは
できない。
(3)したがって,両者は,結論が同じである。
(4)よって,本股はまちがいである。
…………………………以上
●地役権1-地役権の意義
問題1 地役権は,要役地所有者が承役地において植物を植栽
する目的のために設定することはできない。
問題1 正しい。
(1)地役権は,「他人の土地を自分の土地の便益に供する」
ために成立権利である。
(2)そして,「便益に供する」とは、要役地の利用価値を増大
させるために供するという意味である。
(3)そして,他人の土地で植物を栽するということは,他人
の土地の利用ではあっても,他人の土地を自分の土
地の利用価値を増大させるために供している,という
関係ではない。
(4)したがって,本問の場合は,地役権の設定はできない。
(5)よって,本問は正しい。
(6)なお,本問の場合は,賃借権とか永小作権となる。
問題2 Aが「電線路及びこれを支持するための鉄塔を施設
し,保持すること」を目的として,Bからその所有する甲
土地、(1筆の土地)について地上権の設定登記を受
けていた。当該地上権が甲土地の全部を対象として
設定されたものである場合には,Aは,「電線路(支持
物を除く。)を施設,保持し,その架設・保守のために土
地に立ち入ること」を目的として,Bから別途,地役権
の設定を受けることはできない。
問題2 正しい。
(1)地役権は,民法第280条により「他人の土地を自己の土
地の便益に供する権利」であるから,要役地と承役地は
別の土地であることが要件となる。
(2)ところが,本権の場合は,地上権の対象土地と地役権の
対象土地が同一であるから,本権の場合には,地役権
は成立しない。
(3)よって,本問は正しい。
(4)なお,地上権者も自らの地上権に基づく土地利用のため
に別の土地に地役権が必要な場合には,地役権の主体
者となることができる。
しかし,それは本問とは別の次元のことである。
問題3 Aが「電線路及びこれを支持するための鉄塔を施設し,
保持すること」を目的として,Bからその所有する甲土地
(1筆の土地)について地上権の設定登記を受けていた。
当該地上権が甲土地の全部を対象として設定されたも
のである場合には,Aは,第三者Eのために「電線路(支
持物を除く。)を施設,保持し,その架設・保守のために
土地に立ち入ること」を目的とする地役権を設定するこ
とができる。
問題3 正しい
(1)まず,地上権者は,地役権設定の当事者となり得る。
(2)そこで本肢を見るに,第三者Eの地役権は,地上権者Aが
甲土地に有する地上権の内容の範囲内であるから,Aは
Eのために地役権を設定することができる。
(3)よって,本問は正しい。
問題4 要役地及び承役地がともに1筆の土地の一部であって
も,地役権を設定することができる。
問題4 まちがい。
(1) 地役権は,地役権は,民法第280条に規定されていると
おり「他人の土地を自己の土地の便益に供する権利」
である。
(2) そして,この場合,承役地はその土地一部であっても
良いが,要役地は一筆の土地どあることを要する。
(3)なぜならば,地役権は,土地の便益に供するものである
が,その場合の土地とは,土地の一部ではなく,全部
の意味である。
(4)よって,本問はまちがいである。
問題5 Aが「電線路及びこれを支持するための鉄塔を施設し,
保持すること」を目的として,Bからその所有する甲土
地(1筆の土地)について地上権の設定登記を受けてい
た。当該地上権が甲土地の一部のみを対象として設
定されたものである場合には,Bは,甲土地のその余り
の部分について,通行地役権を設定することができる。
問題5 正しい。
(1)地上権者も地役権設定の当事者となることができる。
(2)ところで,本問の場合は,地上権が設定されているの
は,甲土地の一部であり,地役権が設定されたのは,
甲土地の地上権が設定されていない部分であるから,
地役権が設定された部分にまでは地上権は及ばない。
(3))そして,その土地の所有者が,その部分につき,通行
地役権を設定しても,地上権者を害することはない。
(4) したがって,判例は,このような地上権の範囲外の土
地については,土地所有者は地役権を設定できると
判示している(大判大6.9.6)。
(5))よって,本肢は正しい。
…………………………以上

