「用がある時は、私の部屋に 来てね。」
スキー場のホテル内カフェで 仲良くなった、バイトの女の娘の言葉だった。
帰ってからも連絡をとり、ドライブに誘った。
少し遠かったけど、彼女の家まで迎えに行った。
どこまでも回るA12型エンジンのGX-5、

それに、何度聴いても あきないホテル・カリフォルニアをかけ続けながら。
まだ雪もチラついていた。。
彼女の家の裏には、スキー場と違う彼女が立っていた。
ゴージャスな毛皮のコートを身にまとい、庭には林や川が流れていた。

コートを脱ぎ捨て 車に乗り込むと、、
きれいな、まるで旧型メルセデスのようなくびれのある ボディラインが目に入ってきた。
いつものように会話をしながら、アクセルを踏み込んで車をスタートさせたが、
雰囲気はいつもと違っていた。
会話はいつもより楽しくはずみ、
景色が次々と移り変わっていった。当然、初めての場所だからかも知れない。
ホテルカリフォルニアはBGMとして鳴り続け、
まるでトワイライトゾーンに迷い込んだかのようだった。
彼女はマドを少し開け、冷たい風を入れると、
髪の毛が踊るようになびいていた。
夢を見ているのか? ふっとそう思ったら、
赤信号でも いつの間にか 突き進んでいた。
”あっ”、とブレーキをかけて、
道路の端に車を止めた。
「ごめんね?、ビックリしたでしょ?」
「いいのよ。そんなの慣れっこ。」
相変わらずホテルカリフォルニアは鳴り続けていたが、
まわりを見渡すと、そこは現実の世界に戻っていた。


