関西電力主催の黒部ルート見学会。ラッキーにも、一発勝負で4.4倍の競争率を勝ち抜きました。母と中学生男子という組み合わせに、親子の並々ならぬ意気込みを感じたかもしれませんね(笑)。今回、キッズ&ジュニアは我が家だけでした。
 
①黒部峡谷鉄道(黒部峡谷トロッコ電車):宇奈月~欅平
 
台風は夜中に通過し、出発時には日差しも出てきました。
虹に見送られて、この日の一番電車で出発です。
 
幅も車両の長さもコンパクトサイズ。
急カーブを曲がるので、このサイズは納得です。
 
一番険しい箇所は、冬季は線路を外して、トンネルも扉を閉めるのだそう。そしてダムの管理や工事資材の運搬など、もともとがハードな環境での運用前提ですので、この日も安定の定時運行!!でも、これはハードな旅の序の口だったのです(笑)。
 
②黒部ルート見学会 その1 欅平(集合)から竪坑エレベーターまで
 
 
身分証明書のチェック、厳しい荷物検査とボディーチェックを経て、防煙マスクの使い方の説明……。なんとも物々しいスタートです(笑)。欅平のホームで、ヘルメットを手渡され、解散まで身につけます。乗り鉄の旅のはずだったのですが……。
 
写真右下の狭いトンネルは、冬季歩道。トロッコ電車の運休中は、ここを歩いて移動するのだそう。なんだか、ハードさのレベルが桁違いです。
トロッコ電車に再度乗り込み、終点の更に先へ。左下の写真の通り、隣の車両は安全装備の工事関係者の方々と共に移動です。
エレベーターの乗り場に到着。
 
 
 
③黒部ルート見学会 その2 竪坑エレベーター
荷物を運ぶ巨大なエレベーターで、200m上がります。50階のビルに相当とか。なんと戦前のエレベーターが、現役。このエレベーターに、鉄道じゃないけど、参加者の皆さんのテンション徐々にあがってます。
 
エレベーターを降りたところの展望台からの眺め。白馬連山は惜しくも見えなかったものの、晴れてきました。ヤマブドウをほおばるサルの姿も。実りの秋です。
 
 
④黒部ルート見学会 その3 上部専用軌道~黒部川第四発電所駅
上部専用軌道という、バッテリーカーがひく車両で移動。一両に10人しか乗れない、小さな車両で揺られ揺られ。硫黄のにおいと熱い岩盤を通り抜けたりします。なんと車両は耐熱仕様!もはや、リアル・インディー・ジョーンズ状態。みどりはもちろん、静かにハンターのような眼で見入り、写真のシャッターを押し続けます。
 
写真右下は、途中下車して遠景から見学した仙人峡ダム。大迫力。
更に移動して、黒部川第四発電所駅へ到着。
 
 
 
⑤黒部ルート見学会 その4 ダム見学
 
現在進行形で稼動中の水力発電所を見学するという、なんとも貴重な機会です。事前の厳しいチェックも納得の、手厚い説明。
 
写真右上の機械上部の丸いランプは、稼動中の印。この日は4基全て発電中でした。
水を効果的に受け止める水車の仕組みを詳しく聞き、写真左下の水車の実物(予備)にも触らせていただきました。わかばは、こういうの好きです(笑)。
 
圧巻は、水車の回転している軸の部分もこの左上のドアを開け、目の前で体感させていただけたこと!音と風圧の大迫力。
 
 
 
⑥黒部ルート見学会 その5  インクラインとバスで黒部ダムへ
 
ケーブルカーの荷物バージョンを「インクライン」と呼ぶのだそう。もはや人間を運ぶ用途ではない乗り物に乗るなど(爆)。ダムの皆さんに見送られて、20分ほどかけてゆっくり上っていきます。
 
真ん中で、逆ルートの見学会の皆さんとすれ違います。そう、ここで2グループが上と下で同時にインクラインに乗り込む必要があり、見学会のタイムテーブルがとてもきっちり管理されているのです。
 
 
インクラインを下りたら、今度はバスに乗り込みます。縦に横に、斜めにと、とにかく移動、移動、移動。ところどころ展望台に寄る以外は、全てトンネルか地下。ほとんどモグラの気分です。
 
左下は、タル沢という展望台。剣岳は残念ながら雲の中でしたが、とても美しい景色でした。とはいえ、息が白くなるほどの冷え込みです。かなりしっかりと冬の装備をしてきていたのですが、この気温には、みどりもさすがに音をあげていました。黒部ダムに着いて、解散。
 
 
⑦黒部ダム
 
壮大なスケールの黒部ダム。移動の時間を気にしながらの、クイック見学になりました。小走りに下から見学し、タル沢で冷えた身体を、売店のおやきで温めます。もの凄い強さの風が吹いており、スマホを飛ばされたら困ると恐怖を覚えるほどなので、写真は控え目に。台風後のせいか、観光放水もストップしていて、これはこれでレアな体験かも。
 
ナナカマドかな。綺麗な実も。山の上の方は、紅葉が始まっていました。シーズンにはさぞかし見事かと想像しますが、混雑や冷え込みを考えると、写真で楽しもうと思います(笑)。
 
外の階段を220段分上がって、屋内の階段を駆け下りバス停へ定刻着。
 
 
⑧関西電力トロリーバス(黒部ダム~扇沢)
 
この15分の乗車時間のために、3日間の旅と何日もの準備期間を費やしてきたのです! でも、呆気ないほど一瞬で終わりました(笑)。
 
ブルーの破砕帯通過も一瞬でした(笑)。
トロリーバスは、昭和の時代には街中でも走っていたのですが、今はこの立山でニ路線あるのみ。そして、この黒部ダムコースは、今年でトロリーバスは廃止され、来シーズンからは電気バスに変更されます。
 
後ろの角のようなポールから電気をとっていて、運転士さんは電車とバス両方の免許を持っていないと運転出来ないのだそう。音の静かさ、ドアの開閉音、車内放送は電車なのですが、一方で、見た目や乗り心地は間違いなくバスなので、脳が混乱します(笑)。
 
欅平からほぼオフにしていた、スマホのデータ通信をONにして、交通情報をチェック。
 
 
⑨バス 扇沢~信濃大町, 特急あずさ:JR大糸線・中央線(信濃大町~八王子)
 
午後のあずさは、運休のお知らせがない=予定通り運行と想定して、予定通り扇沢から信濃大町へ。ほぼ待ち時間なく、扇沢から信濃大町行きのバスに乗り、続いて20分ほどの待ち時間で、中央線直通のあずさ26号で、乗り換え無しで八王子へ。午前中の中央線は、かなりの運休でしたので、なかなかリスキーな選択でしたが、結果オーライ。
 
写真右下は、扇沢の展望スペースからの景色。もう紅葉始まってました。
バスの車窓からは北アルプスの美しい景色。こちら側(長野側)の方が、天候の回復早かったようですね。
 
 
あずさからは、美しい富士山や、ブドウ畑など眺めながら、旅の余韻を味わいました。
 
 
◆ひとこと
今回は台風24号の接近で、旅行そのものの中止や宿泊先での孤立も覚悟したハードな鉄旅(笑)。実際、黒部ルート見学会は、1/4以上の方が天候不順でたどり着けない等キャンセルされていました。関西方面から前夜や当日に移動しようとされた方や、夜行バス利用者の方はどうしようもないですし、こればかりは仕方ない感じ。
 
この黒部ルート見学会は、平日のみの開催で、しかも参加は小学校5年生以上のみ。今回は、夏休みの高競争率を避けて、都民の日で狙いました。実は、見学会の日のうちに東京に帰るには、2つあるコースのうち「欅平出発コース」がおすすめ。終了後に、長野から北陸新幹線or信濃大町から松本経由の中央線ルートになります。今回我が家では、中学生男子みどりが、帰宅のタイミングから逆算して、黒部ルート見学会の出発コースを選び、3日間の行程を組んでいます。
 
初日、二日目も移動多かったですけど、特に最終日は、13時間の稼動時間のほとんどを、電車や乗り物の上で過ごした1日でした。食事も、移動しながら(笑)。
 
個人的には、一つの街に3日かける位のペースが好みですので、今回のプランは駆け足感が否めません。まあ、家族旅行なんで、そこは納得の上ですけどね。台風の影響も最小限でしたし、とにかくけが無く帰りつけて、何よりです。
 
北陸へ足を運んだのは久しぶりで、地理や地名もずいぶんアップデート出来ました。
 
そして、電気のこともすごく考えさせられました。この水力発電所からは、大阪の高槻へ電気を送っているそう。多くの水力発電所は無人で遠隔操作とのことですが、有人の施設は2交代制で365日、特に冬はとてつもなく厳しい環境(マイナス20度)でも、変わらず運転するよう管理されているのだとか。台風で停電する等は理解していたものの、季節を問わず安定して電気が供給されていることの奇跡と、そこを維持管理されている人の手間に想いを馳せられるようになれたことも、今回の旅の収穫の一つです。