そうして続けた生活もなかなか大変になっていきました。
秋が深まったある日、T先生と廊下ですれ違ったときに、呼び止められました。
ちょっとお話ししない?
と。
その先生はとてもゆったりとしていてそれでいてなんだか落ち着く雰囲気の方です。
はじめはたわいもない世間話をしていたのですが、話は私の私生活に変わりました。
私は自分の家のことについて人に話したことはありませんでした。なぜなら、それが普通だと思っていたからです。
そして極度の人見知り、人間不信も相まって結局終始笑顔で話をしたのですが、先生は、私を労ってくれて、
またおいで
と言ってくれました。私はなぜか号泣していました。